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ガタガタっと大きな音がして目が覚めた。
あれ、ここどこだ?えっと、たしか昨日は全部が嫌になって、家を飛び出して、あぁ、若井の家に来たのか
昨日は恥ずかしいところ見せちゃったな
「若井、おはよう。すごい音したけど大丈夫?」
「ん、あぁ、おはよ。大丈夫だよ。ごめんね、起こしちゃった?」
「んーん、大丈夫」
なんかいい匂いするな
「何か作ってんの?」
「元貴のために久しぶりに朝ごはんを作ってみました!」
「え、すご!」
「ちょっと焦げちゃったけど気にしないで」
「ははっ笑 ありがと!」
朝ごはんなんて久しぶりだ。てか、まともなご飯がそもそも久しぶりかも。
あの人と住んでる時はだいたい1人だったし、テキトーに胃に詰めてただけだったからな
あぁ、人と食べるご飯ってこんなに美味しいんだ
あれ、なんか涙出てきそう。昨日もあんなに泣いたのに
「え!? ちょ、元貴、なんで!?」
「え? あれ、なんでだろ」
おかしいな。泣くつもりなんてなかったんだけど。
勝手に涙が頬を伝って落ちていく
「え、ど、どうすれば、えっと、大丈夫だよ、元貴。大丈夫だから」
慌てふためく若井がなんだか面白い。面白いはずなのに、僕の口から出るのは笑いではなく嗚咽だった
「…ごめん、若井」
「ううん、大丈夫?」
「うん、ありがと」
しばらくして涙が止まり、ようやく話せるようになった
「ほんとに大丈夫?」
「うん、大丈夫」
「…よし、じゃあご飯の続き食べるか!」
「うん、ごめんね、若井」
「大丈夫! また泣きたくなったら俺の胸、いつでも貸してあげるから笑」
「ははっ、さすが若井笑」
その後はご飯を食べ終わって買い物に行こうという話になった
…着いたけどここってこんなに広かったんだな。いっつもしたばっか見てたから気づかなかった。
「ん?なんか気になるのある?」
「あ、いや、ここってこんなに広かったんだなぁって」
「…じゃああそこのお店にも行ったことない?」
若井が指を指したお店はカフェだった
「…ない。てか、そもそもああいうお店に入ったことない」
「え、まじ?それは行かなきゃ」
手を引っ張られてお店に入った。店内は少しレトロでゆったりとしたBGMが流れていて落ち着く。
「どお?ここ俺好きなんだよね」
「うん、僕も好き」
「それならよかった」
僕たちはカフェでゆっくりしてから色々なところを回った。
…もう夕方か。やっぱり楽しいと時間の流れは早く感じるんだなぁ。
「…!」
「え、元貴どうした?」
僕が急に止まったから若井が心配してきた。けど僕はそれどころじゃない。
向こうも僕に気づいたようでこっちに向かってくる
「こっち来い」
「え、は?あんた誰だよ」
そうか、若井はあの人見たことなかったな
僕は抵抗できず、手を引っ張られて裏路地に連れていかれる
「元貴、お前どこに言ってたんだ」
「ぁ、あの、ごめんなさい、」
「ごめんなさいじゃねぇだろ!」
怒号を浴びせられ、体が硬直してしまう
言葉も上手く出てこず、あの人の言葉を頭から浴びることしか出来ない
「ぁ 、ごめんなさ、」
「あの、あなた誰ですか?」
若井が僕の言葉をさえぎってあの人に問う
だめだ、
「あ?お前こそ誰だよ」
やめて、
「俺は元貴の友達だ」
「はっ、友達ね。俺たちは恋人だもんな、元貴」
「っあ、はい…」
僕が我慢すれば全部終わるから
「恋人ならなんで怖がらせてんだよ!」
お願いだからやめて
「あ!?お前に関係ないだろ!」
そうだよ、若井には関係ないから
「関係ないわけないだろ!俺にとって大切なんだから!」
「うるせぇ!!」
あ、若井が殴られた。血出てる。
若井、痛そう、痛い、若井が痛いと、僕も痛い
「元貴、帰るぞ」
あの人に手を引っ張られるが僕の体はピクリともしない
「おい、元貴」
なんでだろ、体動かないな
「おい!!」
近くで怒鳴り声が聞こえてようやく体が動くようになった。
あの人の手を振り払い倒れている若井近づいた
「若井!!」
「元貴、俺は大丈夫だから」
大丈夫に見えないよ…
「お前、俺に着いてこないんだな。」
「当たり前だろ!若井を殴ったヤツにはついて行かない!」
ついに言えた。自分の意見、ちゃんと言えるじゃん
「そうか、ならお前も用済み」
あの人の拳が飛んでくる。やべ、避けれない
「元貴!!」
若井が助けようと飛び出してくるが、あの人の拳の方が早かった
バキっという音とともに僕の顔に痛みが走った
「っぐ、ぅあ、」
「元貴、元貴、!」
僕の近くであの人が笑ってる
「ははっ、俺に着いてこないからそんなことになるんだよ」
痛い、いたい、
今までのは少し加減してくれていたんだ。比にならないくらい痛い
涙が勝手に溢れる。
…最近泣いてばっかだな
「お前…元貴のこと殴ったな」
「あ?当たり前だろ。俺に着いてこなかったんだから」
若井、だめだよ。わかったでしょ、あの人は危険なの
早く逃げて、僕だけでいいから
恐怖からか声が上手く出ず、はくはくと息だけが口から出ていく
「ふざけんな!」
若井があの人を殴った。
「痛てぇな、お前、俺の事殴ったな」
あ、また若井殴られちゃう、
だめ、だめだ
「やめて!」
あの人と若井の動きが止まる
「僕、帰るから、だからもうやめてください…」
「は!?だめだよ元貴!」
「ふははっ、いい子だ、元貴」
若井は僕が帰ろうとするのを必死に止めてくれる
ごめんね、若井。1日だけだったけどすごく幸せだった。
若井とあの時出会わなければ、この幸せは味わえなかったよ、ありがとう。
裏路地を出ようとした時、警察がやってきた。
どうやら騒ぎを聞き付けて隠れて見に来た人が通報してくれたみたい
「やだなぁ、ちょっとした喧嘩ですよ。よくあるじゃないですか、恋人の痴話喧嘩」
よく言うよ、痴話喧嘩なんて、そんな甘いものじゃないでしょ
けど、そんな雰囲気では無いことを警察は察したのか詳しく話を聞かれることになった
あの人は少し距離をあけて別の警官と話してる
「あの…あ、や、なんでもないです。ほんとにただの痴話喧嘩なんで」
弱虫。助けてって一言言うだけなのに言葉が喉につっかえて出てこない
「違います。」
え、若井?
「元貴が、あの人に暴力を受けてて、このまま返したら何されるかわかんないです」
それを聞いた警官に僕にあるアザを見せ、あの人は僕たちに近づくことを禁止された
変なとこでとめます
最近眠過ぎてやばい
コメント
1件
もうほんとに感動の極み🥹リアルに泣きました😭😭