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彼女が目を覚ますと、学校の廊下にいた。その場所に見覚えはなかったが、クラスの名札があったり、建物の作りから学校であることは分った。そして彼女は自分が下着しか身につけていないことに気づいた。
昼間だが薄暗く静かで、周りには誰もいない。
「……」
なぜこんなところにいるのかは分からないが、ともあれ誰かが来る前に着替えてしまおう――そう思って自分の服を探そうとした時だった。カシャッ! というシャッター音がなった気がした。しかし、振り返ると誰もいない。
「気のせい……?」
そう呟いた直後、彼女の足元に一枚の写真が落ちていることに気づく。そこには教室の中で裸になって立っている彼女の姿が写っていた。
「えっ!?」
慌てて拾い上げて周りを見たが、やはり誰もいない。
「な、なんで私、裸で……。」
しかし、何も思い出せない。そもそも、なぜ自分はここにいるのだろうか? そんなことを考えながら、写真を眺めているとチャイムが鳴る。その音を聞いて、なぜか彼女は背筋がゾクっとした。
急いで服を探して外に出たかったが、近くの教室には鍵が掛かっていた。窓の外を見ると高い場所にあり、飛び降りることもできなさそうだ。
仕方なく、しばらく廊下をうろついていると、階段を見つけた。下着姿のまま外には出られないので、上へと登っていく。すると屋上へ出る扉を見つけた。しかし、そこで彼女は妙なことに気付いた。
ドアノブの下に紙のようなものが貼ってあるのだ。それを手に取ると、「この先立ち入り禁止」と書かれている。さっきの写真といい、やはり誰かがいるのだ。一体どうなっているのだろう。不安は高まるが、頭の中は霧がかかったようにぼんやり重い。ともかく今は服を着たいと思い、紙を捨てようとした時だった。
突然、目の前の空間が歪んだように見えた。驚いて後ずさりした瞬間、バタンという大きな音がする。何事かと思って顔を上げると、あったはずの屋上への扉が無くなっていた。
「嘘……。」
まるで狐につままれたような気分だ。呆然と立ち尽くしていると、またもや背後からシャッターを切る音が聞こえた。振り返ると、いつの間に現れたのか制服を着た女子生徒が立っていた。
「あなた、誰?」
彼女は恐る恐る尋ねた。相手は無言だったが、代わりに手に持っていたカメラを構える。それを向けられた途端、彼女の体は硬直してしまった。そのまま動けない彼女を尻目に、相手はファインダー越しに彼女を観察する。
「ちょっと待って!」
彼女は慌てて叫んだが、もう遅い。カシャリ。写真の撮られる音だけが響く。
「あの、どうして私がこんな格好してるか知ってますか?」
返事はない。しかし、相手が何かを知っていることは間違いなかった。なぜなら、今撮った写真をすぐに確認し始めているからだ。
「お願いです! 教えてください! ここはどこですか? 私はどうなったんですか?」
必死に問いかけるが、やはり答えはなかった。ただ黙々と写真を見ているだけだ。その態度に苛立って、思わず声が大きくなる。
「ねえ! なんとか言ってよ!!」
そう叫んだとき、彼女は自分が裸になっていることに気づいた。さっきまで下着をはいていたのに?
さらに彼女は2つのことを思い出した。カメラを構えた女子生徒の着ている服は、自分が来ていたものではなかったか? それからさっきの写真、裸で写っていたのは自分ではなく、今目の前にいる……
そのとき、初めてカメラを構えた女子生徒が言葉を発した。
「もう逃がさない。記憶、服、下着……最後はそれももらうね」
カシャ! もう一度シャッター音が聞こえた後、そこに残っている人影は、ひとつだけだった。