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#一次創作
ruruha
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突然前を行く彼の肩が大きく揺れた。
「フレディ!」
膝をついたフレディに駆け寄る。
「どうし……!?」
何気なく触れた手が氷のように冷たかった。
慌てて頬を触り、確認する。
冷たい!!
あまりの冷たさに鳥肌が立った。
「だ、大丈夫!?」
どうしよう、なんで!?
確かにこの場所は少し寒い。
それなのに、この冷たさは普通じゃない。
さっき手を繋ごうとした時は、こんなんじゃなかったのに。
どうして?どうしたらいい!?
ああ!
病気には慣れているはずなのに、それが何の役にも立たないなんて!
私は一生懸命彼の体をさすった。
「へいき……」
私につかんで立ち上がろうとしたフレディは、バランスを崩してもう一度膝をついた。
「戻ろう!一度外に出て……」
「だ、めだ」
掠れた声が、私の提案を却下する。
「行こう……戻ってる暇はないよ」
「でも……!」
また彼は立ち上がって歩こうとする。
でも全然歩けてなんか、いないじゃない。
「行くんだ……!」
震える声とは裏腹に、そこには強い意志があった。
「…………」
どうしても逆らえず、彼に肩を貸して立ち上がる。
「フレディ、しっかりして……!」
彼の様子も気になった。
ただ肩を貸している体重のほとんどを支えているため、自分の足取りに気を配らなくちゃいけない。
私が転んだら、フレディも一緒に転んじゃうわ……。
崩れ落ちそうな彼を抱えて、私は必死に道を下る。
どうしよう、このままじゃ……。
薄く暗い洞窟を抜け、ようやく少し開けた場所に辿り着いた。
そこはたくさんの蝋燭に埋め尽くされている。
地面には、うっすらと魔法陣の模様が描かれていた。
これほどのたくさんの炎があるのに、暖かさは感じない。
炎が冷たく見える。
「…………」
荒い息の向こうで、フレディが何かを訴えた。
わずかな仕草から、降ろしてと言っているのが伝わってくる。
彼をなんとか壁際まで引きずっていくと、壁際の蝋燭を足で薙ぎ払って場所を作った。
フレディを壁にもたれかけて座らせ、その前に膝をついて座り込む。
「大丈夫!?ねえ!」
一生懸命彼の頬をさすった。
見れば大丈夫じゃないことくらい分かる。
朧な蝋燭の明かりの下で見たフレディの頬は、ほとんど血の気がない。
さする頬が冷たい。
私の手の熱がどんどん奪われていった。
それなのに、息は熱に浮かされたのか速い。
何かを堪えるよう。
「はは、ちょっとマジでやばい感じ……」
彼が力無く笑った。
「フレディ」
「昨日一晩抑え込めたから、このままいけるかと思ったんだけど……やっぱそう甘くはないか……」
「昨日?」
聞き返そうとして、息が止まる。
「!!」
まさか。あのとき。マシューと戦ったとき、入蝕されて。
全身の血が一気に凍りついた気がした。
「わ……たしを……」
声が掠れる。
激しい耳鳴りと眩暈がした。
「庇ったから……?あのとき……私を……!」
私を庇ったフレディ。
喉に突っ込まれたマシューの舌。
口から溢れ出した、禍々しいまでの赤い色。
「……そんな顔しないでよ」
震える声が続けた。
「いいんだ……なんとなく予感はあったから」
「だって、私が!私があのとき、迷ったりしたから!!」
「違う。姉ちゃんのせいじゃない」
フレディは震える声で、ぴしゃりと言葉を遮る。
ふうと息を整えた。
「それは俺の問題なの……俺が姉ちゃんを見捨てられなかったって、それだけのこと」
渦巻く感情をどこに持っていいのか分からなくて、握りしめた拳で彼の胸を叩く。
恨み言を言ってくれた方が楽なのに。
私を責めればいいのに。
なんでこんな時まで、私を庇うの?
「優しすぎるわ!フレディ、あなた優しすぎだよ!!」
「優しい?あは、ちょっと違う、かな……」
彼は顔を歪めて笑った。
「俺にとって姉ちゃんを見捨てるってことは、自分が見捨てられる事と同じなんだよ。だから耐えられないだけ……。姉ちゃんを見てると、なんか自分を見てるみたいで……」
「なにそれ……私とフレディじゃ全然違うじゃない……全然違うよ!!」
「それは俺の問題なの……俺が姉ちゃんを見捨てられなかったって、それだけのこと」
渦巻く感情をどこに持っていいのか分からなくて、握りしめた拳で彼の胸を叩く。
恨み言を言ってくれた方が楽なのに。
私を責めればいいのに。
なんでこんな時まで、庇うの?
「優しすぎるわ!フレディ、あなた優しすぎだよ!!」
「優しい?あは、ちょっと違う、かな……」
彼は顔を歪めて笑った。
「俺にとって姉ちゃんを見捨てるってことは、自分が見捨てられる事と同じなんだよ。だから耐えられないだけ……。姉ちゃんを見てると、なんか自分を見てるみたいで……」
「なにそれ……私とフレディじゃ全然違うじゃない……全然違うよ!!」
激しく首を振った私を見上げるフレディの目は、不思議な色を帯びている。
「違わないよ……俺らって似てる。中途半端なところとか、さ……」
私には理解できなかった。
フレディが中途半端?
強くて優しいフレディ。
いろんなことを知っていて、何でも一人でこなせる。
そんなはずないのに。
「俺が姉ちゃんを切り捨てるしかないなら……それしか方法がないなら、俺もいつかこの世界から切り捨てられることになる。そんなの……悲しいじゃん。そんな未来を予想しながら生きていくなんて」
掠れた声にふっと力が戻った。
「吐き気がする!」
私の知らないフレディの激しさを、垣間見た気がする。
けれど、すぐに喋り疲れたのか息をついて声を落とした。
「だからいいんだ……たぶんこうなるって分かってたけど、俺、姉ちゃんを助けたこと後悔してない。だから姉ちゃんも……俺に助けられたこと、後悔しないで」
「嫌ッ!!」
私は叫んで、次第に冷えていく体にしがみつく。
「嫌だよ……何でそういうこと言うの!嫌だ、全部、嫌!!」
私を庇ってあなたがいなくなるのも。
一人残されるのも。
何一つできない自分も。
こんな時にさえ、あなたを安心させてあげられるいい子の返事もできないことも。
後悔しないで、なんてずるい。
後悔するに決まってるじゃない。
あなたを助けたかったって思うに決まっているじゃない。
コメント
1件
**はる。だわ。** いやもうこの回…胸が締め付けられるわ…。フレディの「姉ちゃんを見捨てる=自分が見捨てられる」って自己投影の感覚、それでいて「後悔してない」って言い切るのが優しすぎて辛い。姉ちゃんが自分を責めて拳で叩くシーン、感情が溢れてるのが伝わってくる。設定の「入蝕」の伏線回収も熱いし、この温かさのない蝋燭の描写が状況の絶望感を増してて痺れた🔥 続きが気になりすぎる…!