テラーノベル
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上弦の弐・童磨の冷徹な冷気が、無限城の空気を凍りつかせていた。毒を打ち込み、自らの命を糧にしてでも仇を討とうとする胡蝶しのぶ。彼女がその華奢な体を童磨に抱き込まれ、骨が砕ける寸前のその時、城の静寂を切り裂いて金属音が響き渡った。「氷の術だかなんだか知らねえが、こいつの装甲を貫けると思うなよ!」
場違いなほど現代的な、紺青色の強化装甲。一般隊士、村雨雄大がそこに立っていた。背負った特殊強化服「GENERATION 3」、通称G3の電子音が駆動する。
童磨が不思議そうに首をかしげる。「ええ? 何だいその格好。派手だねえ。でも、呼吸も使えない君に何ができるのかな?」
村雨は答えず、手にした自動小銃型武器「GM-01 〈スコーピオン〉」を構えた。引き金が引かれ、特殊弾丸が連射される。日輪刀ではない。だが、近距離から放たれる衝撃波は童磨の氷の蓮を粉砕し、その再生をわずかに遅らせるだけの威力があった。
「しのぶさん、下がってろ! 俺は呼吸は使えねえ……けど、こいつの出力なら、あんたを助ける隙くらいは作れる!」
村雨の叫びとともに、右腕に装着された高周波振動ソード「GS-03 〈デストロイヤー〉」が激しく震え、童磨の扇を真っ向から受け止めた。金属と氷が激突し、火花が散る。G3のパワーアシストが、一般隊士の筋力を無理やり上弦の速度に追いつかせていた。
しのぶはその隙に童磨の拘束を脱し、大きく距離を取った。驚きで目を見開く彼女の前で、村雨はバッテリーの警告音を鳴らしながらも踏みとどまる。
「村雨くん……その奇妙な装束は……?」
「話は後だ! 毒を回す時間は稼いでやる!」
村雨は左腕の「GG-02 〈サラマンダー〉」を起動し、榴弾を放った。爆炎が童磨の視界を遮る。童磨は笑いながらも、見たこともない科学兵器の連射に苛立ちを見せ始めていた。
「面白いね、人間。でも、それじゃあ僕の首は斬れないよ?」
「首を斬るのは俺じゃない。柱の仕事だ!」
村雨の捨て身の突撃。装甲が凍りつき、内部回路が悲鳴を上げる。しかし、彼が稼いだわずか数十秒が、しのぶに「死なずに勝つ」ための次の一手を打たせる決定的な時間となった。
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