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天空は赤く染まり、戦場の空気がひしめく。地面は震え、空気すらも異常をきたす。その中で、二人の最強が対峙していた。ルシファーとマデス、かつて互いに深い絆を結んだ仲間であり、今は神と悪魔として、命を賭けた戦いを繰り広げようとしていた。
しかし、戦いが始まるやいなや、思い出話が空気を支配した。
「覚えているか?最初に出会った時のこと。」ルシファーが微笑んだ。その声は穏やかで、戦う準備をしているようには思えなかった。
マデスもまた、満面の笑みを浮かべながら答える。「ああ、覚えているとも。あの日、俺があの天空の店の料理長をしていた時、君が料理の邪魔をしに来たんだっけ。」
二人は、最初に出会った瞬間を、どこか懐かしむように語り始めた。
「君の切り方がなってなかったから、つい…ずっと思ってたんだ。」ルシファーはクスクス笑いながら、鋭い眼差しを向けた。
「それはこっちのセリフだよ、ルシファー。君があの日、『これじゃダメだ』とか言って、焼き魚をぶっ壊してくれたのを覚えてるか?もうちょっと気を使って欲しかったな。」マデスは首をかしげて、苦笑いを浮かべた。
その瞬間、二人の間に、空気が変わった。まるで戦っているのではなく、ただ懐かしい友人と昔話をしているような、微笑ましいひととき。しかし、この空気の中でさえ、どこか不穏な緊張感が漂っていた。
「でもな、マデス。仲良かったとしても、今は戦わざるを得ない。」ルシファーは一歩踏み出し、空気を切り裂くように言った。
「当然だ。だが、ただのものではない。」マデスは心の中で決意を固めた。「お前との戦いが、俺の最期の戦いになるだろうな。」
その言葉に、ルシファーはにっこりと微笑んだ。「俺もだ。」
そして、戦闘は始まった。
マデスの戦闘スタイルは、まさに料理の技術を駆使したものだった。彼の能力は、切断、突沸、燃焼、さらには冷却、発酵など、料理の工程を応用して戦うもの。刃物のように切断技を放つと、ルシファーの体を引き裂こうとするが、ルシファーはそれを軽々と避け、手を伸ばして反撃する。
「お前の切り方、上手くなったな。」ルシファーは空中を舞いながら言った。
「君に教わったからな、ルシファー。君も進化したようだな。」マデスは、地面に落ちた刃を拾い、即座にそれを焚き火のように燃やし始める。火の勢いが増すと同時に、炎の刃が形成され、彼はそれをルシファーに向かって放った。
ルシファーは、かつて神々の中でも最高位にあった存在であり、その能力は常識を超えていた。彼の力は、破壊と再生を司るものであり、瞬時に空間を操作する力を持つ。彼が手を伸ばすと、周囲の景色が歪み、時間の流れさえも一瞬のうちに変わる。
マデスが放った炎の刃を、ルシファーは手のひらで受け止め、炎を一瞬で消し去った。「俺を止められると思っているのか?」
「どうかな、ルシファー。火を消してばかりじゃつまらんだろ?」マデスはにやりと笑った。
その瞬間、マデスは地面に手を突き、物質を一斉に蒸発させ、空中に浮かび上がる。熱波が、周囲を一瞬で焼き尽くそうとする。
「お前の火は俺の火より弱い。だが面白いな。」ルシファーは両手を広げ、時間と空間を歪めながら、その熱波を軽々と避ける。
戦いが激しさを増していく中で、二人はまた、戦いの合間に思い出話を挟んだ。
「本当に、あの時の料理の味は最悪だったな。君が作ったスープ、味も匂いも覚えている。」ルシファーが呟いた。
「お前の焼き肉だって、まるで鉄の塊を食べてるみたいだった。」マデスも応じる。
「でもな、その時はあんなにも楽しかったんだ。」ルシファーの目が少しだけ優しさを帯びる。「でも、今はもう戻れないんだな。」
マデスもその言葉を受けて、少し黙り込む。だが、すぐにその顔を険しくし、力強く戦いの姿勢を取る。
「お前がそう思っても、戦いをやめるつもりはない。」マデスは微笑みながらも、その瞳には冷徹な決意が宿っていた。
そして、再び二人の激しい戦いが繰り広げられる。空気が震え、地面が裂け、光と闇が交錯する中、彼らの戦いは単なる戦闘の域を超えて、どこか感傷的なものを感じさせた。