テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
休日のような穏やかな昼。
アラタとエリは街へ買い物に来ていた。
アラタは両手に紙袋を持ちながら笑う。
アラタ
「いや〜、地球のパン屋さんってほんとすごいよね。匂いだけで幸せになるっていうかさ!」
エリ
「ふふ、アラタ食べ物の話になると子どもみたい」
その時だった。
アラタの足が止まる。
「……あれ?」
胸を押さえる。
次の瞬間――
ゴホッ!!
激しく咳き込む。
紙袋が地面に落ちる。
エリ
「アラタ!?」
アラタの体がぐらりと揺れ、そのまま倒れ込んだ。
呼吸が荒い。
額には汗。
スカイックパワーの光が微かに漏れている。
エリ
「どうしよう……!アラタ、しっかりして!」
周囲がざわつき始めたその時。
背後から低い声。
???
「どけ」
振り向くと――
赤いコートを翻す男。
キャプテン・マーベラス。
マーベラスはしゃがみ込み、アラタを見る。
一瞬で状況を察する。
マーベラス
「……ただの体調不良じゃねぇな」
空を見上げる。
「ハカセ。転送準備だ」
空間に光。
次の瞬間――
三人は消えた。
ゴーカイガレオン 医療スペース
アラタはベッドに寝かされていた。
側には
ルカ・ミルフィ と
アイム・ド・ファミーユ。
ルカが腕を組む。
ルカ
「天使って言っても倒れるのね」
アイム
「でも……体のエネルギー反応が不安定ですわ」
アラタの体から淡い光が揺らぐ。
まるで形を変えようとしているように。
ブリッジでは。
モネ
アグリ
ハイド
全員が落ち着かない。
アグリ
「アラタのやつ……大丈夫なんだろうな」
ハイド
「スカイックパワーが乱れている。嫌な予感がするな。」
沈黙。
そこへ。
扉が開く。
ルカとアイムが現れる。
ルカ
「エリ。ちょっと来て」
表情がいつもより真剣だった。
エリの胸がざわつく。
医療室へ入る。
……そして告げられる事実
ベッドを見る。
そこに眠っていたのは――
長い髪。
小さくなった肩。
萌え袖の大きなパーカーに包まれた身体。
まるで守られる存在のような姿。
エリの呼吸が止まる。
エリ
「……え?」
アイムが静かに言う。
アイム
「アラタさんのスカイックパワーが暴走し……」
ルカが続ける。
ルカ
「身体構造が変化したわ」
少し間。
そして。
ルカ&アイム
「――女の子になったの」
ベッドの上。
眠るアラタが小さく身じろぎする。
「……エリ……」
無意識に名前を呼びながら。
エリの袖を、きゅっと掴んだ。
エリの顔が一気に赤くなる。
エリ(心の声)
(えええええええええ!?)
医療室の扉の前。
エリはまだ状況を飲み込めずにいた。
頭の中でさっき聞いた言葉が何度も反響する。
「女の子になったの」
視線をもう一度ベッドへ向ける。
長い髪。
華奢な肩。
萌え袖のパーカー。
そして――
安心するように、自分の袖を握るアラタ。
エリ(心の声)
(これ……ほんとにアラタだよね……!?)
次の瞬間。
エリは勢いよく立ち上がった。
廊下
扉が開く。
エリが飛び出す。
エリ
「モネ!!モネちょっと来て!!」
ブリッジで待っていたモネが振り向く。
モネ
「え?どうしたのエリ?アラタ目覚めた?」
エリは首を激しく横に振る。
エリ
「目覚めてないっていうか……
目覚めたら大変っていうか……!」
医療室へ
モネは半ば引っ張られるように連れて行かれる。
後ろではアグリとハイドが怪訝な顔。
アグリ
「なんだあいつら」
ハイド
「……嫌な予感しかしない…」
🚪医療室
扉が静かに開く。
モネが中へ入る。
モネ
「もう〜エリ、大げさ――」
言葉が止まる。
視線の先。
ベッド。
眠る少女。
長い髪が枕に広がっている。
小さく丸まり、パーカーの袖に顔を埋めている。
数秒。
完全沈黙。
モネ
「……誰?」
エリ、震えながら指差す。
エリ
「アラタ」
沈黙。
さらに数秒。
モネ
「…………は?」
近づく。
顔を覗き込む。
その瞬間。
少女が小さく動いた。
「……モネ……?」
聞き慣れた声。
完全にアラタ。
モネ、後ずさる。
モネ
「ええええええええええええええええ!?」
思わず叫びそうになるのをエリが慌てて口を押さえる。
エリ
「しー!!男子に聞こえる!!」
🪽眠る女アラタ
アラタは眠ったまま。
不安そうに眉を寄せる。
そして。
無意識に手を伸ばす。
「……エリ……どこ……」
エリの腕を探すように空を掴む。
エリがそっと手を握ると――
安心したようにぎゅっと抱き寄せた。
モネ、固まる。
モネ(小声)
「ちょっと待って……」
震える指で指差す。
「これ……」
「めちゃくちゃ可愛くない?」
エリ、真っ赤。
エリ
「今それ言う!?」
モネ、完全にスイッチON。
モネ
「女子チーム集合案件じゃん!!」
その頃、廊下。
アグリ。
「さっきから静かすぎないか?」
ハイド、ため息。
「……絶対に見てはいけない何かが起きています」
医療室の中では。
女子二人が。
**“女体化アラタ保護体制”**を静かに決定していた。
医療室の前。
妙に張り詰めた空気。
壁にもたれながら腕を組む
アグリ。
その横で静かに立つ
ハイド。
中からは時々――
「え!?」「ちょっと可愛い!!」
という女子の小さな悲鳴が聞こえる。
アグリ
「……なあハイド」
ハイド
「なんだ?」
アグリ
「絶対なんか隠してるよな」
即答。
ハイド
「ああ。確実に」
そこへ足音。
コートを翻しながら現れる男。
キャプテン・マーベラス。
状況を見るなり眉をひそめる。
マーベラス
「お前ら、なんで廊下にいんだ」
アグリが振り向く。
アグリ
「いや、それがさ……」
頭をかきながら。
「なにがなんだか分かんなくて」
マーベラス、医療室の扉を見る。
中からまた歓声。
「モネそれ似合う!」
「エリ動かないで!」
沈黙。
そして一言。
マーベラス
「……なら見ればいいじゃねぇか」
歩き出す。
その瞬間。
横から飛び出す影。
ドン・ドッゴイヤー(ハカセ)。
ハカセ
「ダメです!!!」
同時に。
ハイドが腕を伸ばし進路を塞ぐ。
ハイド
「ここから先は立入禁止だ。」
空気が止まる。
マーベラス、片眉を上げる。
マーベラス
「……ほう?」
アグリが前に出る。
アグリ
「いやいやいや!アラタのことなんだろ!?
俺だって仲間なんだから――」
一歩踏み出した瞬間。
ハイドの手が肩を掴む。
ガシッ。
ハイドが低い声で
「行ったらだめだ。」と言った
アグリ
「なんでだよ!?」
ハイド、真顔。
「おまえの精神が無事では済まん!」
アグリ停止。
「……は?」
その横。
静かに歩き出す人物。
ジョー・ギブケン。
無言で扉へ向かう。
ハカセが焦る。
ハカセ
「ジョーさんまで!?」
ジョーは扉の前で止まる。
中から聞こえる声。
「アラタ、袖通してみて?」
「かわいい〜!」
沈黙。
ジョーの目が細くなる。
状況を瞬時に理解。
数秒後。
くるりと背を向けた。
ジョー
「……今は入るべきじゃないな」
静かに壁にもたれる。
ハイド、心の中で深く頷く。
(さすがだ。ジョーさん!!)
アグリだけが混乱。
アグリ
「え!?なんで!?
俺だけ分かってないの!?」
マーベラス、小さく笑う。
マーベラス
「面白ぇことになってんのは確かだな」
腕を組む。
「出てくるの待つか」
その瞬間。
医療室の中から――
「エリぃ……離れないで……」
甘える声。
完全にアラタ。
廊下、凍結。
アグリ。
「…………今の」
ハイド即答。
ハイド
「聞かなかったことにしてください」
ゴーカイガレオンの廊下に。
男たちの理解不能な沈黙が広がった。
重苦しい沈黙に包まれていた廊下。
その空気を――
勢いよく破壊する声。
???
「ゴセイジャーの皆さん!!いるじゃないですか!!」
全員振り向く。
走ってきたのは。
キラキラした目。
テンションMAX。
伊狩鎧。
鎧
「はじめまして!!伊狩鎧と言います!」
アグリが少し安心した顔になる。
アグリ
「お、よろしく!」
しかし鎧は周囲を見渡し、首を傾げる。
鎧
「あれ?」
指を折りながら数える。
「ゴセイブルーさんとゴセイブラックさんはいる……」
さらに周囲確認。
「ゴセイレッドさんとゴセイイエローさんとゴセイピンクさんは……?」
沈黙。
全員の視線が自然と医療室へ向く。
ジョー、静かに目を閉じる。
ジョー(心の中)
(……一番ややこしいやつが来た)
その時。
医療室の中から。
「モネ、それ大きいよぉ……」
「じっとしてアラタ!」
女子の声。
鎧の耳がピクリと動く。
ゆっくり顔が上がる。
戦隊オタクの勘が発動。
鎧
「……うん?」
一歩前へ。
「なんか騒がしいですね」
さらに一歩。
目が輝き始める。
鎧(確信)
「まさか……!!」
拳を握る。
「スーパー戦隊の――」
深呼吸。
鎧
「新戦隊加入イベントですか!?」
全員
「違う!!」
心の中で同時ツッコミ。
鎧、完全にスイッチON。
鎧
「これは歴史的瞬間!!
見届けなければ戦隊ファン失格!!」
ダッシュ。
だが。
左右から同時に腕を掴まれる。
ガシィ!!
右:ハイド
左:ハカセ
ハイド(真顔)
「行ったらだめだ…!!」
ハカセ(必死)
「今だけはダメなんです!!」
鎧、暴れる。
鎧
「なぜです!?
新戦隊誕生は宇宙的文化遺産ですよ!?」
マーベラス、腕組みしながらニヤリ。
マーベラス
「まあ間違っちゃいねぇな」
アグリ混乱。
アグリ
「だから何が起きてんだよ!!」
その瞬間。
医療室の中から。
少し甘えた声。
「……エリぃ……」
廊下、完全停止。
鎧の動きが止まる。
ゆっくり振り向く。
鎧(震え声)
「……今の声」
ハイド、即答。
ハイド
「幻聴だ。」
鎧、確信顔。
「違います」
指を立てる。
鎧
「今のはゴセイレッドさんの声です!!」
ジョー、天井を見る。
ジョー(心の中)
(終わったな)
鎧、目を輝かせる。
「つまり!!」
「ゴセイレッドさんに――」
ドアノブへ手。
ハイド&ハカセ絶叫。
「ダメーーーーー!!!」
医療室前。
ドアノブに手をかけた
伊狩鎧。
あと少し。
あと数センチで――
扉が開く。
その瞬間。
医療室の中。
アラタが何かを感じた
長い髪が揺れる。
状況を理解するより早く。
外の気配を感じ取る。
スカイックパワーがざわつく。
アラタ(小声)
「……え?」
扉越しに聞こえる声。
「見せてください!!」
「新戦隊かもしれません!!」
数秒。
沈黙。
そして理解。
アラタ(青ざめ)
「……え?」
「ちょっと待って」
「男子の声……?」
エリが振り向く。
エリ
「アラタ落ち着い――」
その時。
ドアノブが回る音。
カチャッ。
アラタ、完全覚醒。
顔真っ赤。
アラタ
「む、無理無理無理無理!!」
萌え袖パーカーを押さえながら周囲を見る。
そして視線が止まる。
机の上。
テンソウダー。
アラタが飛びつくように掴む。
カードを震える手で差し込む。
アラタ
「ゴセイカード!!」
深呼吸。
「天装!!」
スカイックパワー爆発。
淡い風と光が医療室全体を包む。
同時刻・廊下
鎧が勢いよく扉を開けようとした――
瞬間。
ドォン!!
突風。
光の波。
鎧
「うわああああ!?」
アグリ
「なにぃ!?」
ハカセ
「ぎゃあああ!!」
男たち全員がまとめて吹き飛ばされる。
廊下を滑るように後退。
数メートル先まで強制排除。
ジョーだけ壁に手をついて耐える。
髪が揺れる。
静かに呟く。
ジョー
「……結界か」
光が消える。
医療室の扉。
完全封鎖。
近づこうとすると柔らかい風の壁。
床に転がる鎧。
目を回しながら。
鎧
「い、今のは……」
ゆっくり起き上がる。
「ゴセイジャー特有の……」
息を呑む。
鎧
「極秘イベント!!」
ハイド、額を押さえる。
ハイド
「違う。」
アグリ。
アグリ
「だから中で何が起きてんだよ!!」
マーベラス、笑う。
マーベラス
「守りてぇもんがあるって顔だな」
扉を見る。
「……アラタ」
医療室の中
天装を終えたアラタ。
力が抜けてその場に座り込む。
アラタ
「……見られるかと思った……」
涙目。
エリの袖をぎゅっと掴く。
アラタ(小声)
「エリ……助かった……」
女子全員。
(可愛い……)
ゴーカイガレオン内で。
**“絶対に男子に見せてはいけない存在”**が正式に誕生した瞬間だった。
スカイックパワーの突風が収まり。
廊下には――
見事に吹き飛ばされた男たち。
床に座り込む
伊狩鎧。
髪ボサボサ。
コート乱れ。
だが目だけは真剣だった。
鎧
「……おかしい」
ゆっくり立ち上がる。
医療室の扉を見る。
「なぜ今……」
腕を組む。
完全に考察モード。
鎧
「なかにいるゴセイレッドさんは……」
振り返る。
「スカイックパワーを使ったんでしょう?」
沈黙。
誰も答えない。
代わりに。
壁にもたれていた男が口を開く。
ジョー・ギブケン
淡々と。
ジョー
「……お前を危険粒子だと思ったんだろう」
数秒。
理解。
鎧
「ちょっと!!」
勢いよく立ち上がる。
鎧
「ジョーさん!!」
指差す。
「バイオマンのバイオ粒子みたいに言わないでくださいよ!!」
アグリ吹き出す。
アグリ
「危険粒子ってなんだよお前!」
鎧、必死。
鎧
「僕は無害です!!
むしろ戦隊愛100%の安全素材です!!」
ハカセ、小声。
ハカセ
「いや好奇心は有害レベルだけどね……」
ハイド、深いため息。
ハイド
「正確には“接触禁止対象”だ。」
鎧ショック。
鎧
「分類が悪化してません!?」
その横。
マーベラスがくくっと笑う。
キャプテン・マーベラス
マーベラス
「まあ間違っちゃいねぇ」
扉を見る。
「中のやつ、必死だったぞ」
鎧、さらに考え込む。
鎧(推理モード)
「つまり……」
「ゴセイレッドさんは今――」
ゴクリ。
「極めて秘匿性の高い状態にある!!」
全員
(だいたい合ってる)
その時。
医療室の中から小さな声。
「……エリ、外まだいる?」
廊下、再び凍る。
ジョー、目を閉じる。
ジョー(心の中)
(だから近づくなと言った)
鎧、震える。
鎧
「今の甘えた声……」
拳を握る。
「絶対に何か起きてますよね!!!」
ハイド&ハカセ同時。
「起きてません!!!」
ゴーカイガレオン。
現在。
男子 vs 真実 の攻防戦、継続中。
医療室前。
依然として封鎖状態。
ハイドとハカセが壁のように立ちはだかる中――
赤いコートの男が小さく笑った。
キャプテン・マーベラスだ。
マーベラス
「正面がダメなら……」
レンジャーキーを取り出す。
「別ルートだ」
キーを掲げる。
マーベラス
「ゴーカイチェンジ!」
光が弾ける。
「カーークレンジャー!」
ニンジャレッド!!
姿は
ニンジャレッド。
気配を消し、壁際へ。
マーベラス(小声)
「忍び込みは専門分野だろ?」
天井通路へ跳躍。
換気ダクトを通り――
医療室の裏側へ。
🪽潜入成功
静かに着地。
誰にも気づかれない。
完璧な潜入。
(さて……何を隠してやがる)
カーテンの隙間から中を見る。
そして。
マーベラスの動きが止まった。
ベッドの上。
長い髪の少女。
大きめのパーカー。
萌え袖。
頬をほんのり赤くしながら――
エリの腕に抱きついていた。
アラタ(女体化)
「エリぃ……袖うまく通らない……」
モネが笑いながら髪を整える。
モネ
「じっとしてってば!」
ルカ、腕組み。
ルカ
「なによこれ、完全に妹じゃない」
アイム、微笑み。
アイム
「守りたくなりますわ……」
そしてアラタ。
安心しきった顔で。
女子たちに囲まれながら笑っている。
沈黙。
ニンジャレッド姿のまま。
マーベラス、心の中。
(……アラタ…)
(お前……)
数秒後。
小さく吹き出す。
マーベラス(小声)
「はは……」
肩を揺らす。
「なるほどな」
その瞬間。
アラタがふと顔を上げる。
気配を感じた。
アラタ
「……?」
視線が天井方向へ。
マーベラス即座に隠れる。
アラタ、不安そうにエリの袖を掴む。
アラタ
「……なんか誰かいる気がする」
女子全員警戒。
マーベラス、静かに後退。
ダクトへ戻る。
数分後・廊下
光が解ける。
元の姿へ戻る。
ジョーがちらりと見る。
ジョー
「……どうだった」
マーベラス、ニヤリ。
マーベラス
「入らねぇ方がいい」
鎧、食いつく。
鎧
「なぜですか!?」
マーベラス歩きながら一言。
「――天使の秘密だ」
ハイド、深く頷く。
(理解者が増えましたね)
その頃医療室では。
女アラタがエリに寄りかかりながら。
「……なんか安心する」
男子禁制区域、完全確定。
医療室。
さっきまでの緊張感はすっかり消え。
完全に――
女子会空間になっていた。
ベッドの上。
女体化した
アラタ が足をぶらぶらさせて座っている。
長くなった髪が肩に落ち、
萌え袖パーカーに包まれた姿はもう完全に守られる側。
アラタが周囲を見回す。
そして。
エリを見つけると目を輝かせた。
アラタ
「エリー」
少し甘えた声。
「ヘッドホンちょうだーい」
エリ
「え?あ、うん!」
慌てて自分のヘッドホンを渡す。
アラタはそれを受け取ると――
頭につけず。
首にくるん、と巻きつけた。
コードを指でいじりながら。
少し照れたように。
アラタ
「……どう?」
沈黙。
時間停止。
エリの手が震える。
指をこすり合わせる。
顔は平静を装っているが。
エリ(心の中)
(かわいいーーーーーーーー!!!)
破壊力直撃。
理性が崩壊寸前。
モネ、横で吹き出す。
モネ
「エリ顔やばいって」
ルカ腕組み。
ルカ・ミルフィ
「完全に妹コーデじゃない」
アイム微笑。
アイム・ド・ファミーユ
「とてもお似合いですわ」
アラタ、少し不安そうに首を傾げる。
長い髪がさらっと揺れる。
アラタ
「変じゃない……?」
エリ、限界突破。
両手で口を押さえる。
エリ
「へ、変じゃない!!」
一歩近づく。
「むしろ……」
小声。
「すっごく可愛い……」
アラタ、ぱぁっと笑顔。
安心したように。
そのままエリの肩にもたれかかる。
アラタ
「よかったぁ……」
目を閉じる。
「エリが言うなら安心」
エリ、硬直。
脳内。
(近い近い近い近い!!!)
モネ、小声。
「ねえこれ男子に見せたら世界終わるよね」
ルカ即答。
「終わるわね」
その頃廊下。
なぜか再び医療室から漂う平和オーラに。
鎧が震えていた。
鎧
「……尊い気配がします」
ハイド即答。
ハイド
「近づくな」
ゴーカイガレオン。
現在。
女アラタ保護レベル:最大。
医療室前。
男子立入禁止区域。
そして――
完全に状況が逆転していた。
さっきまで突破しようとしていた
キャプテン・マーベラス が。
今は。
後ろから羽交い締めにしている。
対象。
もちろん。
伊狩鎧。
鎧
「離してくださいマーベラスさん!!
歴史的瞬間が!!」
マーベラス
「お前は行くな」
真顔。
「絶対ダメなやつだ」
横で様子を見ていた
ジョー・ギブケン が静かに口を開く。
ジョー
「……鎧」
低い声。
「これ以上すると」
一拍。
「デカレッドがお前をジャッジメントしに来るぞ」
空気が止まる。
ハカセ、心の中でガッツポーズ。
ハカセ(心の声)
(ナイス!!ジョーさん!!)
(さすがに戦隊好きの鎧さんでも
戦隊にジャッジメントされるのは――)
鎧、硬直。
震える。
全員期待。
鎧、ゆっくり顔を上げる。
目が――
キラキラ。
鎧
「デカレッドさんに……」
拳を握る。
「ジャッジメントされる……!?」
沈黙。
嫌な予感。
次の瞬間。
鎧(歓喜)
「素晴らしいことじゃないですか!!!!」
全員
「は?」
鎧
「公式に裁かれるなんて光栄です!!」
暴走。
鎧
「そんなことなら見に行くーーーー!!」
ダッシュ。
マーベラス
「逆効果かよ!!」
再拘束。
アグリ腹抱えて笑う。
アグリ
「こいつ止まんねぇ!!」
ハイド、頭を抱える。
ハイド
「戦隊愛が防御を突破している……!」
ジョー、小さくため息。
ジョー
「……想定外だ」
その時。
医療室の中から。
「エリぃ……眠くなってきた……」
廊下、静止。
マーベラス。
真顔で鎧をさらに締め上げる。
マーベラス
「……絶対通さねぇ」
鎧、感動。
鎧
「守秘任務……!?」
ゴーカイガレオン現在。
✔ 女アラタ保護
✔ 男子総動員封鎖
✔ 鎧=最大脅威
廊下。
鎧は相変わらず暴れていた。
鎧「離してください!!絶対なにか隠してますよね!?ゴセイレッドさんに何が――!」
ハイド「落ちつけ!」
ハカセ「鎧さんストップストップ!!」
マーベラスも腕を押さえ込み、三人がかりでなんとか動きを止めている。
完全に注意が鎧へ向いた。
――その瞬間。
アグリの目が細くなる。
(……今なら)
誰も見ていない。
医療室のドアは、すぐそこ。
アグリは静かに歩み寄り、
そっとドアノブへ手をかけた。
ジョー「……おい、アグリ」
気づいたジョーが低く声を出す。
アグリ「一瞬見るだけだ」
ジョー「やめろ」
だが――
カチャ。
ドアが開いた。
ほんの数秒。
だがアグリの視界に飛び込んできたのは。
ベッドの上。
長く伸びた髪。
萌え袖のパーカー。
首にヘッドホンをかけ、
エリに髪を整えてもらいながら笑っている――
女の子の姿のアラタ。
「ねえエリー、これ似合う?」
甘えるように少し身体を寄せるアラタ。
モネ「動かないでってば!」
エリ(心の中)
(かわいいいいいいいい!!!!)
完全に女子だけの空間。
そして。
いつも隣にいる“兄”の面影を残したままの、
あまりにも距離の近い光景。
バタン!!
アグリは反射的にドアを閉めた。
勢いが強すぎて廊下に音が響く。
全員が振り向いた。
マーベラス「……見たのか」
ハイド「中はどうなって――」
アグリは答えない。
数秒沈黙。
そして壁に手をつきながら。
「……ダメだ」
ジョー「だから言った」
アグリ「……あれは」
言葉を選ぶように息を吐き。
「心の準備なしで見るもんじゃねぇ」
ハカセ「えぇ!?」
鎧「だから何なんですかーーーー!!」
アグリは真顔で振り返る。
「鎧。」
鎧「はい!」
「絶対入るな。」
鎧「余計入りたくなりました!!」
ジョー「だからこうなるんだ……」
廊下。
鎧は腕を組み、真剣な顔で考え込んでいた。
鎧「……なるほど。」
ハカセ「え、なにが?」
鎧はキラリと目を輝かせる。
鎧「正面突破がダメなら――呼び出せばいいんですよ!」
ジョー「嫌な予感しかしねぇな」
次の瞬間。
鎧は医療室のドアへ向かって大声を出した。
鎧「ゴセイピンクさーーーん!!」
廊下に響き渡る声。
ハイド「!? やめろ鎧!!」
しかし――
ガチャ。
ドアが開いた。
エリ「え? 鎧くん?」
エリが顔を出してしまった。
鎧「やっぱり中に――」
その時だった。
医療室の奥。
エリが外へ出ていく背中を見たアラタ。
長い髪が揺れる。
萌え袖の袖をぎゅっと握りしめる。
アラタ(心の中)
(……エリが……)
(知らない男のところに……)
(連れていかれる……?)
胸がざわつく。
呼吸が浅くなる。
そして――
感情が暴走した。
バンッ!!
勢いよくドアがさらに開く。
全員が振り向いた。
そこに立っていたのは。
長い髪を揺らし、
少し涙目になった女体化アラタ。
鎧「……え?」
マーベラス「……は?」
ジョー「…………」
理解が追いつかない男子組。
アラタは一直線にエリへ歩み寄り――
ぎゅっ。
エリの腕を掴み、
そのまま優しく引き寄せた。
そして。
守るように抱きしめる。
エリ「ア、アラタ?」
アラタはエリの肩へ顔を埋め、
震える声で言った。
「……エリを……」
涙が滲む。
「……返せ……」
廊下、完全停止。
鎧「…………」
ハカセ「…………」
アグリ「…………」
マーベラス「…………」
ジョー(なんとなくわかっていたが…理解した)
(……だから止めてたのか)
アラタはエリを抱いたまま、
男子組を警戒するように睨む。
アラタ「エリは……ぼくのだから……」
モネ(後ろから飛び出してきて)
「ちょっとアラタ落ち着いて!!」
アイム「完全に依存状態ですわ!」
ルカ「誰よ刺激したの!」
全員の視線。
――鎧へ。
鎧「えっ!?僕ですか!?」
アグリ「お前以外誰がいる」
鎧「いやでも!!ゴセイレッドさんが女の子に!?」
アラタはさらにエリへ抱きつく。
「エリ……いなくならないよね……?」
エリ(顔真っ赤)
「い、いなくならないよアラタ!」
その瞬間。
安心したように頬を寄せるアラタ。
男子組。
完全沈黙。
マーベラス、小さく呟く。
「……想像以上だったな」
ジョー「……ああ」
エリを抱きしめたままのアラタ。
廊下にはまだ重たい沈黙が流れていた。
アラタ「……エリ……」
エリ「アラタ……?」
その時――
アラタの体がふわっと光り出す。
ハイド「!? 反応が変わった!」
モネ「え!?」
淡いスカイックの光が全身を包み込む。
そして。
シュン――。
光が消えた瞬間。
長かった髪は元に戻り、
萌え袖パーカーも消え、
いつものゴセイレッド。
完全に元のアラタになっていた。
数秒の沈黙。
アラタ「……あれ?」
自分の手を見る。
アラタ「俺……なにを……」
ふと違和感。
首元に何か当たっている。
アラタ「……ん?」
触る。
柔らかいコード。
アラタ「……首についてるヘッドホンなに!?!?」
エリ「!!」
アラタ、周囲を見る。
マーベラス。
ジョー。
アグリ。
鎧。
ハイド。
ハカセ。
男子全員集合。
アラタ「え……?」
ゆっくり視線を下げる。
自分の腕。
――エリをしっかり抱きしめている。
アラタ「……」
脳内処理開始。
状況整理。
停止。
再起動。
アラタ「え!?!?!?!?!?」
勢いよく離れる。
アラタ「な、なんで俺エリに抱きついてんの!?!?」
エリ「わ、私もわからないよ!?」
アラタ「ていうかマーベラス!?なんでいるの!?」
マーベラス(腕組み)
「こっちのセリフだ」
ジョー「全部お前が原因だ」
アグリ「……仲間として複雑なんだけど」
鎧、震えながら。
鎧「ゴセイレッドさんが……ヤンデレ化して……」
アラタ「ヤンデレ!?!?」
ハカセ「泣きながら『エリ返せ』って言ってました」
アラタ「言ってない!!……よね!?」
全員、無言で頷く。
アラタ「うわああああああああ!!」
頭を抱えてしゃがみ込む。
モネ「だから見せたくなかったのよ!」
ルカ「完全黒歴史ね」
アイム「とても可愛らしかったですけれど」
アラタ「やめてぇぇぇぇ!!」
エリはまだ顔を赤くしたまま。
小さく呟く。
エリ「……でも」
全員「?」
エリ「ちょっと……嬉しかったかも」
アラタ「!!!?」
再びフリーズ。
マーベラス、ニヤッと笑う。
「なるほどな」
ジョー「面白ぇもの見た」
アグリ「忘れろ!!全員忘れろ!!」
鎧「無理です!!一生語り継ぎます!!」
アラタ「やめてぇぇぇぇぇぇ!!」
ゴーカイガレオンに、
絶叫が響き渡った――。
ゴーカイガレオン・医療室前。
騒ぎが一段落し、
ようやく空気が落ち着き始めた――その時。
腕を組み、真剣な顔で考え込んでいた男が一人。
伊狩鎧。
鎧「……なるほど……」
ジョー(嫌な予感)
マーベラス「やめとけ」
しかし鎧は顔を上げた。
キラキラした瞳。
鎧「わかりました!!」
全員「?」
鎧、アラタを指差す。
鎧「もしかして……!」
アラタ「え?」
鎧「ゴセイレッドさんは……」
一拍。
鎧「ゴセイピンクさんに構ってほしくて……女体化したんじゃないですか!?」
――静止。
世界が止まる。
エリ「!?」
モネ「ぶっ」
ルカ「アウト」
ハカセ「核心突いた!?」
ハイド「理論的には否定できない…」
アグリ「否定しろ!!」
そして。
アラタの脳内。
フラッシュバック。
『エリー、ヘッドホンちょうだーい♡』
『エリを…返せ…』
『エリ……行かないで……』
『ぎゅっ』
アラタ「…………」
顔が真っ赤になる。
耳まで染まる。
震える。
アラタ「……やばい」
ジョー「来るぞ」
アラタ、両手で顔を覆う。
アラタ「全部……思い出した……」
エリ「えっ」
アラタ「無理無理無理無理!!!!」
しゃがみ込む。
床を軽く叩く。
アラタ「だれか俺殴って!!今すぐ!!」
マーベラス「自覚あんのかよ」
ルカ「潔いわね」
モネ(笑い崩壊寸前)
「アラタが甘えん坊女子だったの思い出してる…!」
アラタ「言うなぁぁぁ!!」
鎧、さらに追撃。
鎧「つまりこれは愛のスカイックパワー――」
アラタ「やめてぇぇぇぇ!!!」
アグリ「よし任せろ」
ゴッ。
アラタ「痛っ!!」
本当に軽く殴るアグリ。
アラタ「ほんとに殴るなよ!?」
アグリ「お前が言ったんだろ!」
エリはというと――
顔を真っ赤にして俯きながら。
エリ「……でも」
全員「?」
エリ「……構ってほしかったなら……」
小さく。
エリ「普通に言ってくれればよかったのに」
アラタ「!!!!」
再・精神爆散。
アラタ「もう無理!!!!宇宙行きたい!!!!」
マーベラス、大笑い。
ジョー、肩を震わせる。
ハイド、真面目にメモ。
ハイド「興味深い……感情干渉型スカイック暴走……」
ハカセ「研究対象決定ですね」
アラタ「研究するな!!」
そして鎧。
感動した顔で拳を握る。
鎧「これぞスーパー戦隊の絆!!」
全員「違う。」
――ゴーカイガレオンの一日は、
まだまだ騒がしく続くのだった。
床にしゃがみ込み、
魂が半分抜けかけているアラタ。
アラタ「……もうゴセイ星帰りたい……」
モネ「地球守って?」
ルカ「逃げないの」
ジョー「どこだそれ」
そんな中。
そっと近づく影。
伊狩鎧。
鎧は真剣な顔で、
励ますようにアラタの肩へ手を置いた。
鎧「ゴセイレッドさん。」
アラタ「……なに……?」
鎧「大丈夫です。」
全員(嫌な予感)
鎧「もしですよ?」
アラタ「?」
鎧、親指を立てる。
鎧「ゴセイピンクさんがホスト系男子化したら、バランス取れるかもしれませんよ!」
――沈黙。
エリ「え?」
モネ「は?」
ハイド「待て」
だが。
遅かった。
アラタの脳内スイッチが入る。
アラタ「エリが……」
想像。
長い髪を後ろで束ね、
スーツ姿。
低い声。
『アラタ、今日は俺の隣いろよ』
『寂しかったんだろ?』
顎クイ。
微笑み。
アラタ「…………」
顔がみるみる赤くなる。
アラタ「エリが……ホスト系男子……」
ジョー「まずいな」
マーベラス「完全に入った」
アラタ、両手で顔を覆う。
アラタ「無理!!!!!!」
エリ「なんで!?」
アラタ「絶対ドキドキするじゃん!!」
エリ「!?」
ルカ「自爆した」
モネ「今の完全に本音!」
鎧「成功ですね!」
ハイド「成功ではない」
アラタ、混乱状態。
アラタ「いや待って!?エリが俺よりかっこよくなったらどうすんの!?俺守られる側じゃん!!」
マーベラス「もう守られてただろ」
アグリ「さっき完全にヒロインだったぞ」
アラタ「やめろぉ!!」
すると。
エリがゆっくり近づく。
少し照れながら。
エリ「……じゃあさ」
全員注目。
エリ、わざと低い声を作る。
エリ「アラタ。」
アラタ「!?」
エリ「こっち来いよ。」
肩を軽く引き寄せる。
アラタ「!!!!!!」
瞬間。
アラタ、真っ赤になってフリーズ。
煙が出そう。
ハカセ「オーバーヒート!」
ジョー「完全停止だな」
マーベラス、大笑い。
マーベラス「弱すぎだろアラタ!」
アラタ「むり……エリ強い……」
鎧、感動。
鎧「新しい戦隊関係性の誕生ですね……!」
ハイド「原因はほぼ君だがな」
そして。
アラタは小さく呟く。
アラタ「……もう女体化しないよね?」
ハイド「保証はない」
アラタ「え?」
全員ニヤリ。
――次のカオスの予感しかしなかった。
ゴーカイガレオン・医療室前。
一通りの大騒動が終わり、
ようやく静けさが戻り始めていた。
マーベラスは肩をすくめながら笑う。
マーベラス「まあ……」
腕を組み、背を向ける。
マーベラス「面白いもん見れたし、帰っていいだろ」
ジョー「賛成だ」
ルカ「十分楽しんだわね」
ハカセ「今日は情報量多すぎましたよ……」
鎧「歴史的瞬間でした!!」
ハイド「歴史に残すな」
男子組がぞろぞろと離れようとした――その時。
エリの声が静かに響く。
エリ「……アラタ。」
アラタ「ん?」
まだ顔の赤みが残ったまま、
少し疲れた様子で振り向く。
エリは柔らかく微笑んだ。
エリ「こっちおいで。」
アラタ「?」
言われるまま近づくアラタ。
次の瞬間。
エリはそっとアラタの肩を引き――
ベッドへ横に寝かせた。
アラタ「え、エリ?」
そして。
自分の膝をぽん、と叩く。
エリ「今日はいっぱい大変だったでしょ?」
優しい声。
エリ「少し休みな。」
アラタ「……」
一瞬迷ったあと。
安心した子どもみたいに、
アラタは頭を預けた。
膝枕。
モネ(尊い)
ルカ(これは反則)
ハイド(心理安定効果が顕著)
エリはアラタの髪をゆっくり撫でる。
指先が優しく動くたび、
アラタの表情がほどけていく。
エリは小さな声で――
子守唄を歌い始めた。
戦いの時とは違う、
穏やかな旋律。
ゴーカイガレオンの機械音の中に、
静かに溶けていく。
アラタ「……エリ……」
半分眠りながら呟く。
アラタ「……なんか……安心する……」
エリ「ふふ。」
撫で続ける。
しばらくして。
アラタの呼吸がゆっくりになる。
完全に眠っていた。
気持ちよさそうな寝顔。
モネ、小声。
モネ「完全に赤ちゃんじゃん……」
ルカ「さっきまでヤンデレだったのに」
ハイド「精神的疲労が極限だったのだろう」
扉のところで見ていたマーベラスが、
ふっと笑う。
マーベラス「……なるほどな」
ジョー「?」
マーベラス「こいつが強ぇ理由、わかった気がする」
視線の先。
安心しきって眠るアラタと、
優しく見守るエリ。
マーベラス「守る場所がちゃんとあるやつは強ぇ」
そう言い残し、
静かに立ち去った。
医療室には――
エリの子守唄と、
穏やかな時間だけが残った。
ゴーカイガレオン・医療室。
エンジン音だけが低く響く夜。
エリの膝の上で、
アラタはすっかり眠り込んでいた。
規則正しい寝息。
戦闘中には絶対見せない、
無防備な顔。
エリは優しく髪を撫で続ける。
エリ(今日はほんと……大変だったね)
女体化。
大騒ぎ。
混乱。
恥ずかしい記憶。
全部乗り越えて、
今ようやく安心して眠っている。
その時。
アラタが小さく動いた。
アラタ「……エリ……」
エリ「?」
寝言だと気づき、
少し身を乗り出す。
すると――
アラタは穏やかな声で呟いた。
アラタ「……俺……」
一呼吸。
アラタ「エリと……結婚したいんだ……」
――時間停止。
モネ「!?」
ルカ「……は?」
エリ「え……?」
アラタは眠ったまま続ける。
アラタ「だから……結婚できる日……待ってる……」
エリの頬が一気に赤くなる。
心臓の音が自分でもわかるほど大きい。
そしてさらに。
アラタ「……それに……」
小さく笑って。
アラタ「その結婚式の会場には……マーベラスが来てほしいな……」
――医療室の入口。
ちょうど戻ってきていた本人。
マーベラス。
マーベラス「……」
ジョー「聞いたな」
マーベラス、数秒黙る。
そして鼻で笑う。
マーベラス「勝手に呼ぶな」
だが。
ほんの少しだけ、
表情が柔らかい。
鎧(号泣寸前)
「戦隊を越えた友情ぉ……!」
ハカセ「静かにしてください!」
エリはというと。
完全に固まったまま。
顔を真っ赤にして、
視線を落とす。
エリ(……アラタ……それ……)
撫でる手が少し震える。
でも。
逃げなかった。
むしろ――
そっと。
アラタの頭を抱えるように撫でる。
エリ「……ばか。」
小さな声。
エリ「寝てる時に言うのずるいよ……」
アラタは安心したように、
さらに深く眠った。
その様子を見て。
マーベラスが静かに言う。
マーベラス「……その式、本当にやるなら」
振り返らずに。
マーベラス「海賊代表で行ってやるよ」
ジョー「代表なのか」
ルカ「もう出席確定ね」
医療室には、
少し照れくさくて、
でも温かい空気が広がっていた。
翌朝。
ゴーカイガレオンの窓から、
静かな朝日が差し込んでいた。
医療室のベッド。
アラタ「……ん……」
ゆっくり目を開ける。
見慣れない天井。
数秒の沈黙。
アラタ「……あ。」
一気に記憶が戻る。
女体化。
大騒ぎ。
男子組。
鎧。
そして――
アラタ「やばい……」
勢いよく起き上がる。
アラタ「そろそろ地球に帰らないと!」
ゴセイジャーとしての任務を思い出し、
慌てて立ち上がろうとしたその時。
くいっ。
袖が引かれた。
アラタ「?」
振り向く。
そこにはエリ。
少し眠そうで、
でもどこか決意した顔。
エリは視線を合わせないまま、
アラタの袖をそっと掴んでいた。
アラタ「エリ?」
エリ、小さな声で。
エリ「……アラタ。」
アラタ「うん?」
少し間。
エリの指に力が入る。
エリ「私……」
深呼吸。
そして。
エリ「……いいかも。」
アラタ「?」
完全に理解していない顔。
アラタ「……なにが?」
エリ「!!」
一瞬で顔が真っ赤になる。
エリ「な、なんでもない!!」
ぱっと手を離す。
後ろを向く。
エリ「ほら!早く準備しよ!みんな待ってるし!」
アラタ「???」
状況が読めないまま首を傾げる。
その様子を――
ドアの隙間から見ていた影たち。
ルカ「鈍感すぎる」
モネ「これは長期戦だね」
ハカセ「昨夜の寝言、完全に効いてますね」
ハイド「感情変化を確認」
そして壁にもたれていたマーベラス。
ニヤッと笑う。
マーベラス「面白くなってきたじゃねぇか」
ジョー「放っておけ」
マーベラス「いや?」
腕を組みながら。
マーベラス「こういう航海は嫌いじゃねぇ」
その頃。
歩き出したアラタの後ろで。
エリは小さく呟いた。
エリ「……結婚式、か。」
頬を押さえる。
エリ「……ほんと、ばか。」
でも――
嬉しそうに笑っていた。
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!