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hiyd どうもm(*_ _)m

夏なので怖い話していきます!じゃスタート





私が通っていた小学校には、「隙間男が出る」という噂がありました。

隙間男というのはタンスと壁の隙間とか、冷蔵庫の下とか、ほんの数センチしかない隙間にひそんでいる男のことで、目が合った人はその隙間引き込まれてしまうらしいのです。

その他にも、全身緑色をしているとか、時速百キロで進むことができるとか、色々な噂がありましたが、うちの学校で1番有名だったのが…

「隙間男は理科準備室に住んでいる」というものでした。

なんでも、隙間男の正体は昔この学校にいた先生で、自分の体を使って色々な実験をしている間に、隙間男になってしまい、今でも実験に使うための子供の体を求めて、準備室にひそんでいると言うことなのです。


もっとも、6年生になると、本気で信じている子はほとんどいませんでした。

わたしも、危ない薬品が沢山ある準備室に子供達を近寄らせないようにする為に、先生がひそかに流した噂だろうなと思っていました。あの日までは……



「俺見ちゃったんだ」

三学期も終わりに近づいた、ある日の昼休み。K君が、わざわざ体育館の裏に私たち仲良しグループを集めて語り出したのは、隙間男の目撃談でした。

昨日の放課後、理科室に忘れ物を取りにいったK君は、視界の端でなにかが動いたが動いたような気がして、振り向きました。

理科室の黒板の横には、理科準備室に通じるドアがあるのですが、よく見ると、いつもは閉じているはずなのそのドアが僅かに開いています。

気になったK君は、ドアを開けて準備室に入りました。

初めて目にする準備室の中は、鍵のかかった薬品棚がところ狭しと並んでいて、薬品の臭いがツンと鼻をついたそうです。

何やら怪しげな薬品の入ったビンを物珍しげにながめていたK君は、次の瞬間、ハッと凍りつきました。棚と棚の間のほんの2、3センチの隙間から、こちらをじっとにらんでいる緑色をした男と目が合ったのです。

K君が金縛りにあったように動けないでいると、男は甲高い声で、こういったそうです。

「見たね」

「ちょうどその時、先生が理科室来てくれたおかげで、なんとか助かったんだけど……」

K君がそういうと、

「嘘つけ」

S君が胸の前で腕を腕を組んで言いました。

「嘘じゃないよ」

K君が口をとがらせて反論します。

「もうちょっとで、連れていかれるところだったんだからな」

「隙間男なんて、いつまで信じてるんだよ。俺達来月からもう中学生だぞ」

S君の言葉に、K君が顔を赤くして、何かを言い返そうとした時、

「だったら確かめに行こうぜ」

Tくんが宣言するように言いました。

そして、顔を見合わせるK君とS君に、

「大丈夫だって。居なかったら居なかったでなんの問題もないわけだし、もし本当に何かいたとしたら、後輩の為にもそいつのことちゃんと調べておくのが、俺たちが卒業生の役目だろ」

T君の言葉には説得力があったので、わたしたちは何となく押し切られるようにうなずきました。

だけど、わたしは頭の隅で、かすかに不安を感じていたのです。

K君が無事に戻ってこられたのは、こうやってわたしたちをおびき寄せるためだったんじゃないかって……



放課後。下校をうながす校内放送を聞きながら、わたしたちは足音を忍ばせて理科室へと向かいました。

理科室には鍵がかかっていますが、後ろのドアはたてつけが緩くなっていて、ちょっとしたことで簡単に開けることができるのです。

誰もいない、放課後の理科室はなんだか空気がひんやりしていて、長袖でも寒いくらいです。

いかにも何かが出てきそうな雰囲気だな、と思っていると、

「おい、あれ見ろよ」

T君がわたし達の方をポンと叩いて、前方を刺しました。

わたしはそれを見て、息をのみました。

理科準備室に通じるドアが、まるで私たちが来るのを待っていたかのように、細く開いていたのです。

「よし、いくぞ」

T君は早足で近づくと、準備室へと入っていきました。

わたしたちも一歩遅れて、部屋に足を踏み入れたのですが、すぐにあることに気づいて、部屋の真ん中で、立ち尽くしました。

先に入ったT君の姿が、部屋のどこにも見当たらないのです。

「おどかそうとして、そのへんに隠れてんじゃないか?」

S君がひきつった笑顔を浮かべて、部屋の中を歩き回りながり、

「おーい、出てこいよ。そのに居るのはわかってるんだぞー」


と呼びかけました。

だけど、声が響いて余計不気味になるだけで、返事はどこからもかえってきません。

(T君、どこにいったんだろう……)

わたしたちは手分けして探していると、

「なぁ、……」

部屋の奥からS君の震える声が聞こえてきました。

振り返ると、S君が背の高い薬品棚のそばにもたれかかるようにして、今にも泣き出しそうな顔をしています。

「お、おれたち、友だちだよな。」

「いきなりなんだよ」

K君が声をかけながら近づくと、

「おれ…」

S君は声をしぼりだすようにして、棚から少しだけ離れました。

それを見てわたしたちは言葉を失いました。

薬品棚と壁の隙間から、緑色をしたぺたぺたしたの手が伸びてSくんの腕をしっかりと掴んでいたのです。

私たちが何も出来ずにいると、

シュルシュルシュルッ!

へびが素早く移動するような音とともに、S君の体がまるで紙のように薄くなって、棚と壁の隙間に吸い込まれて行きました…

シン、と静まり返る部屋の中、これで残されているのは、わたしとK君の2人だけです。


私が立ちすくんでいると、

グスッ……グスッ……

どこからか、鼻をすすりあげるような音が聞こえてきました。

K君が泣いているのです。

「どうしたの?」

私が聞くと

「僕のせいだ」

K君はしゃくりあげるようにして、呟きました。

「僕がみんなを連れてきたから……」

「そんなことより、早く逃げよう」

私はK君の言葉をさえぎって、手を掴みました。そして、K君をひっぱって準備室を出ようとしたとき、

「危ないッ!!!」

突然、K君がわたしの体を思い切り突き飛ばしたのです。

床にしりもちをついて呆然とする私の目の前で薬品棚と天井のわずかな隙間から、緑色の腕がするすると伸びてきて、K君の両肩をがっしりとつかみました。

そして私が手を伸ばすまもなく、K君はまるで吸い込まれるように、その隙間へと消えていったこです。

わたしは、はうようにして準備室を後にすると、そのまま校舎を飛び出して、校門から外に駆け出しました。

そのとき、私の目の前にトラックが………







わたしが次に目を覚ましたのは病院のベットでした。

トラックが直前でハンドルをきってくれたおかげでわ、かすり傷ですんだのですが、その拍子に転んで頭を打った私は、そのまま高熱を出して、ずっと寝込んでいたのだそうです。

私が寝込んでいた2日の間に、学校は大騒ぎになっていました。

お見舞いに来てくれた友人から聞いたのですが、私が事故にあった日から、T君、S君、そしてK君の3人が行方不明になっていたのです。

私は両親・学校の先生にあの日、理科準備室であったことを正直に話しました。

残念ながら、隙間男のことは信じてもらえませんでしたが…最後に立ち寄った場所ということで、理科室と準備室は徹底的に調べてくれました。

だけど、なんの手がかりも見つからなかったそうです。


入院が長引いた私は、結局そのまま登校することなく、卒業してしまいました。

後日、仲のいい友達に、K君が私のことを好きだったらしいと聞きました。

だからK君は最後の最後に勇気を出して、私を助けてくれたのでしょうか…

小学校を卒業して何年も経ちますが、未だに3人の行方は分かりません。




そして私は今でも隙間を見つけると、K君の姿を探してしまうのです……









どうだったでしょうか!

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