〇やべぇよ本家でそろそろ誰か死にそう怖ぇよ
〇誤字脱字あるかもです報告お願いします!
雨と華太(鶴城×華太)
土やコンクリートの匂いが立ち込める昼下がり、俺は新しく出来たカフェの中から外を見ていた。
窓から空を見上げれば灰色一面が広がっており、雨粒が落ちてくるのが目に見える。
「…最悪だ」
俺の名前は小峠華太。シマの見回りを終え休憩がてら近くのカフェで昼食を終えた中堅の極道だ。
思ったより見回りが長引いたため時刻は2時。店内は比較的空いておりぽつぽつ客がいる程度だった。
「雨か…。予報では半分より下の確率だったんだがなぁ」
しかし不幸中の幸いか、俺は偶然にも前回ここへ来た際傘を忘れていたらしく店主からビニール傘を受け取る事が出来た。
(業務に支障が出たらまずいし、 さっさと帰るか)
そう思いドアノブを回してカフェから出ると、息切れを起こしながらこちら側の通路へ歩いてくる黒髪に赤色のメッシュを入れた男性がいた。恐らくさっきまで走っていたのだろう、中々息切れが治まる様子は無い。
加えて来た道にコンビニがあるが、そこに寄らなかったという事は傘を買う所持金が無いのだろう。
(この人も運が悪いな…)
雨に打たれているだけでなく、汗もかいているはずなのでこのままでは明日の体調に影響が出るかもしれない。
見過ごすのも目覚めが悪いため、俺はひとまずその男性に声を掛けることにした。
「おい、アンタびしょ濡れだけど大丈夫か。このままじゃ風邪ひくぞ」
そう声をかけ傘を男性の体にさすと、俯いていた男性が「えっ 」と言葉を発して顔を上げた。
(うわ、まつ毛長ぇし顔も整ってる…。これはまた凄い美形だな…)
香月の兄貴で美顔は慣れてると思ったがやはり慣れるものでは無い。美しいものには惹かれるのが人間というものなのだろうか。
あまりの美しさに少し見とれていると、男性はバツが悪そうに顔を背けた。
「あの…俺の顔になにかついてますか?」
そこで俺は正気に戻った。
「ああ、いや、何でもない…。雨は結構続くようだから傘持ってないと体調崩すぞ。」
「そうなんですね…。でも大丈夫です、もうすぐ着くので。」
そうかしこまって言うと男性はふにゃりと笑った。
これは全世界の女性がハートを撃ち抜かれる顔だな。俺も少し絆されかけた。
しかし、本人は大丈夫と言ってはいるが男性は既にずぶ濡れな為今すぐ暖かくしないと危ない状況だろう。それなのにまた雨に打たれてしまっては確実に風邪をひく。
「だが…」
「いや、本当に大丈夫なので…ぶえっくしゅっあ!」
くしゃみは意外と豪快。
「…これも何かの縁だ。近いなら送ってってやるよ。時間あるし」
「えっ…そんな、悪いですよ」
「予定もないし良いんだよ。ほら、早く案内しろ 」
本当は書類が沢山たまっているし傘を買い与えても良いのだが、このまま見過ごすのはやはり気持ちがいいものでは無いし残念ながら俺も今手持ちがない。
よって、俺はこの方法を選択したのだ。
男同士の相合傘とはどうもロマンがないがまぁ気にしないで欲しい。
「…ありがとう、ございます」
俺が絶対引かないことを察したのか諦めて俺の横に移動してきた。
「傘持ちますよ」
「ああ、ありがとう」
こうして俺は男性と一緒に歩き始めた。
「俺の名前は小峠華太。お前は?」
「俺は…鶴城史之舞です。つるのおにぎりっていうおにぎり屋さんやってるんだけど…」
鶴城史之舞?この人の名前もどこかで聞いたことあるような…
梢さんのことと言い、最近物忘れが酷い気がする。気をつけなければ。
「そうか、よろしくな鶴城さん。ちなみにどこへ向かっているか聞いても?」
そう聞けば鶴城さんは少しだけ嬉しそうに笑い質問に答えてくれた。
「友達がメロンパン屋さんをやっていて、今日はそこへ遊びに行こうと思っていたんです」
「へぇ」
メロンパンといえば確か瓜生さんも営業していたな。此処って貴凛町だしもしかして瓜生さんの知り合いだったりして。
「いや、まさかなぁ…」
「え、今なんて?」
「いや、なんでもない」
そんな偶然あってたまるか。
そんな事を思いながら歩いていると、俺は違和感を覚えた。そう、俺は初対面なのに対して彼にタメ口を使っていたのだ。
「あ、そういえば初対面なのにタメ口でしたね、すみません…傘を差し出すことだけ考えてしまって 」
実をいうと、俺から話しかける奴は大体シマを荒らすやつか水商売関係や闇金関係の人物な為タメ口で話す癖がついてしまっているのだ。まぁそんな事を彼に話すのは無粋だと思う為話さないが。
「いや、そんな…。タメ口の方が関わりやすくて俺的には良いです」
そう言うとまた無邪気に笑った。
俺の周りにはカッコイイ奴が多すぎる、少女漫画かよ。
「そうか、なら俺にもタメ口で話してくれないか?その方が俺も楽でいい」
そう俺が話しかけると、
「ああ、勿論…だよ。俺も小峠さんと仲良くなりたい」
そう鶴城は目を輝かせて言った。やめろ、これ以上俺をときめかさないでくれ。
そんな会話をして10分程、俺達は1つの広場についた。
「…ぁあ、、、ここって…」
そう、先程の予想が的中。瓜生さんのメロンパン屋さんがある広場だ。
成程、俺は偶然の神に好かれているらしい。良い偶然なら大歓迎だが要らん方向へ発揮してもらっては嬉しくない。
そう項垂れている俺を置いて鶴城は広場の端にとめてあるメロンパンカーへ向かっていった。
「死龍、カリン。久しぶり」
「おお、鶴城じゃねぇか。待ってたぜ」
「鶴ちゃん最近会えて無かったけど大丈夫?体壊してない?」
「はは、そんな柔じゃないよ」
「コイツが体壊すなんて想像できねぇ」
そう3人は談笑し平和な雰囲気が漂った。気づけば雨は止んでいた。
(はは…楽しそうだなあの3人…)
よし、この隙に逃げよう。
この感じで強い人と関わったら面倒な事になるのはよく知ってるので俺はすぐさま行動に移す。しかしそれを見逃してくれる鶴城ではなかった。
「あ、まって小峠さん。この2人のこと紹介させてほしい。」
「げっ」
「…ん?小峠さんって…?…おお!小峠君じゃないか!久しぶりだなぁ」
「えー久しぶりぃ!幸真とは上手くやってる?」
やはりこうなるか。
「えっと…お久しぶりです……。小林の兄貴の事は一生理解出来る気がしません」
「いやめっちゃ正直ぃ」
「華太でも無理かぁ」
そう2人は楽しそうに笑った。そんな2人を横目にふと鶴城の方を見た。すると、
「ひぇっ」
そこには先程まで俺に背を向けていたはずなのに自分の方をガン見している鶴城が居た。圧はかかってないが何故か命が狙われてる気がして少し怖い。
「な、何か顔に着いてるか……?」
俺は恐る恐る聞いた。すると鶴城は楽しそうに口角を上げおれにぐいっと近寄ってきた。
「君が噂の小峠君なんだね!いつも死龍やカリンから君の事を聞いてたんだ、君は極道でトップを争う頑張り屋さんだって!」
「が、頑張り屋さん……?」
「それに優しいって事や真面目って事も聞いてたよ。どれも全部聞いた通りでびっくりだなぁ」
そう鶴城は夢中で喋った。 待ってくれあの2人そんなこと鶴城に喋っていたのか恥ずかしすぎる。
その会話を聞いていたのか聞いていないのか、瓜生さんは愉快そうに笑って俺の頭を撫でた。
「な、コイツ良い奴だろ?絶対気に入ると思ったんだよ 」
「うん、言われた通り良い人だったよ。でもまさか偶然会うとは思わなかった。」
続いてカリンさんが会話に入る。
「にしても相合傘なんて羨ましいじょー。今度私達ともやってよ」
「は?お前小峠君と相合傘した訳??流石に許せん」
「いや何でですか。」
「鶴ちゃんと言えど華太は渡さないからね、華太を落とそうなんて考えないでよ」
「そうだそうだ!お前はすっこんでろよ顔良いんだから」
「それは死龍達もだろう?…ま、いいや。小峠さん、今度2人で出かけないかい?おすすめのカフェがあるんだ」
「え…はい、是非?」
「はぁ!?お前牽制したそばからデートに誘うとかメンタル強すぎだろ!」
「そうよ!少しは自重しなさい!」
「えあの今って何の話ですか???」
そんなこんなで2人は仲良くなった。
華太
鶴城さんってあのなんかめっちゃ強い人だよな認識。なのであんなにほんわかイケメン系だと思ってなくてギャップに少々戸惑ってる。華太がつるのおにぎりに行ってうまっ!なってなる話はまたいつか。
鶴城
死龍やカリンから話は聞いてたけどここまで可愛くて真摯だとは思ってなくて見事にハートを撃ち抜かれた人の1人。ここから積極的にデート(仮)に誘うし毎回おにぎりを握って持ってくる。
コメント
5件
!!!!鶴ちゃんと華太きゅん最高ですぅぅぅう!(人*´∀`)
久しぶりの投稿やぁぁぁぁ!!!! まじでこの関係最高すぎません?しかも美しいとか、 つるちゃんとかぶちゃんの年齢知りた過ぎる、、