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付き合い始めて、二週間。
二人の関係は、今のところ誰にも知られていない。
仕事中の康二と翔太は、あくまで「カフェの店員と、そこに撮影で訪れるアイドル」。
連絡を取るのも、会うのも、人目につかないようにしている。
それでも――
少しずつ、難しくなってきていた。
*
ある日の昼休み。
康二がスマホを見ると、翔太からメッセージが届いていた。
翔太:今日、店行く
康二:撮影?
翔太:うん
康二:了解。仕事モードにしとく笑
翔太:俺も
少しして、
翔太:でも、ちょっとだけ会いたい
康二は思わず笑った。
康二:俺もやで
その数時間後。
店に翔太が入ってきた。
今日は雑誌の撮影。
スタッフも何人かいる。
「よろしくお願いします」
翔太はいつも通り、完璧な笑顔。
康二も、
「いらっしゃいませ」
と店員として接する。
目が合う。
一瞬だけ。
それだけ。
*
撮影の途中。
康二が翔太のテーブルにドリンクを置いた。
「お待たせしました」
「ありがとうございます」
他のスタッフもいる。
いつも通り。
でも――
「……あれ?」
撮影スタッフの一人が、二人を見ていた。
「翔太くん、この店員さんと知り合い?」
康二の心臓が跳ねる。
翔太も一瞬だけ止まった。
「え?」
「なんか、前より距離近くない?」
「そうですか?」
翔太は笑ってごまかした。
「何回か撮影で来てるんで、顔覚えてるだけですよ」
「そっか」
スタッフはそれ以上追及しなかった。
康二はほっと息を吐いた。
けれど。
その日の撮影が終わったあと。
翔太からメッセージが来た。
翔太:さっき、ちょっと怖かったな
康二:うん……
翔太:ごめん
康二:翔太が謝ることちゃうよ
翔太:でも、俺のせいで康二まで大変なことになるの嫌だから…
康二はしばらく画面を見つめた。
そして、
康二:俺も気をつける
と送った。
すぐに返信が来る。
翔太:ありがとう
そして少し間が空いて、
翔太:でも
翔太:やっぱり康二に会いたい
康二は思わず笑った。
康二:俺もやで
*
その夜。
翔太は仕事を終えたあと、康二に電話をかけた。
「もしもし?」
『もしもし』
「今日、大丈夫やった?」
『うん』
「ほんま?」
『うん。ちょっと怖かったけど』
『……俺も』
しばらく沈黙。
「なあ、翔太」
『ん?』
「俺、別に嫌じゃないよ」
『何が?』
「秘密にすること」
『……』
「翔太が大切にしてる仕事も、今の生活も、全部大事やから」
翔太はしばらく何も言わなかった。
『……ありがとう』
「うん」
『俺も、康二のことちゃんと大事にする』
「……うん」
『だから』
「ん?」
『これからも、俺の隣にいて』
康二は小さく笑った。
「……当たり前やん」
『……それ、反則』
「何が?笑」
『嬉しすぎる』
電話の向こうで翔が笑う。
その声を聞きながら、康二も笑った。
秘密だから、不安になることもある。
普通の恋人みたいにはできないこともある。
それでも。
二人は、少しずつこの恋を守っていこうとしていた。
――けれど。
数日後。
SNSに、一枚の写真が投稿される。
そこには。
康二の働くカフェと、翔太の姿。
そして、その写真についた一つのコメント。
「この店、最近翔太くんがよく行ってない?」
二人の秘密に、初めて小さな亀裂が入った。
はんぎょ
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#ふかこじ
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