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私
の名前は橘真由里。
真由里という名前は両親がつけてくれたものですが、女の子らしい名前だとよく言われます。
でもその名前のおかげで昔から男の子たちにはよくいじめられていました。
特にひどいことをされた記憶があるのは同じクラスの佐藤君でしょうか。
彼は私が困っている姿を見て楽しもうとするタイプなので苦手意識を持っています。
もし彼以外のクラスメイトたちが助けてくれなかったら今頃どんなことになっていたんだろうかと考えるだけで恐ろしいですね……。
中学三年生になりましたが未だに友達と呼べる人は少ないです。
でもこれから先の人生を考えるとやはり信頼できる友人を作っておきたいところですよね。
そのためにまずは勇気を出して話しかけてみようと思うのだが……
「おーい、天宮さん?」
「ひゃいっ!?」
突然名前を呼ばれてしまったせいなのか、彼女は驚いた声を上げて椅子ごと後ろへ倒れそうになった。
そのままでは危ないので慌てて彼女の体を支えることにする。
「おっと!大丈夫かい?」
「えっ?あっ!」
支えた瞬間、柔らかい何かに触れた気がしたが気にしないことにした。
今はそれよりも彼女を助けることが先決であるからだ。
それにしても華奢な体の割には意外とあるんだね……などと不謹慎なことを考えていたら背中に強い衝撃を受けることになった。
「ぐふぅっ!!」
「この変態!!セクハラ野郎!!!」
背後から聞こえてきた怒号と共に脇腹辺りに強烈な蹴りを食らう。
その一撃によって僕はあっさり吹き飛ばされてしまい、地面へと叩きつけられていた。
「げほっ!ごほぉっ!!」
あまりの痛みに耐えきれず咳き込んでしまうが、それくらいで許してもらえるはずもなく更なる追撃が加えられる。
今度は鳩尾への鋭い突き上げだ。
「うぼぁっ!?」
呼吸困難に陥りながらも何とか顔を上げると、そこには鬼のような形相をした女子生徒の姿があった。
肩口あたりで切り揃えられたストレートヘアに整った目鼻立ちをしており、スタイルの良い長身の女性である。
しかしその表情からは明確な敵意が感じられ、こちらを完全に敵視しているようだ。
「よくも私の胸を揉んでくれたわね!この痴漢め!」
どうやら僕は彼女に攻撃されているらしい。
だが全く身に覚えがないことだし、そもそも彼女と初対面だというのに酷い言い掛かりだと言わざるを得ない。
しかもそれに加えて小春のお姉さん的存在でもあるため、妹には優しく接するのが当たり前だとも思われているらしい。
「……いや、普通に接してよ」
と、いつものように独り言を口にしてしまうくらい小春にとって沙耶架の存在は大きいようだ。
ただ最近はその気持ちに変化が生じており、小春自身もよく分かっていないのだが少しずつ変わってきていた。
とはいえこの変化が良いことなのか悪い事なのかは判断できないが、少なくとも小春自身は前向きになっているのだけは確かであった。
「あのさぁ、ちょっといいかな?」
不意に声がかけられた方向に顔を向けるとそこにはクラスメイトの女子生徒がいた。
彼女は小春と同じクラスで友達でもあり、最近になって急接近してきた人物でもあった。
ちなみに名前はまだ覚えていないが、とりあえず彼女の事は友人Aと名付けておくことにしよう。
「うん、何か用があるなら言ってみて」
小春としては断る理由もなく、むしろ話を聞いてくれるならありがたいと思ったので素直に応じた。
「実は昨日ね、変なものを見たんだよ!」
友人Aは興奮気味に話し出したが、その内容はとても信じられるようなものではなかった。
なんでも友人の家の近所に廃墟があり、そこで夜中に人影のようなものを目撃したそうだ。
それだけ聞けばよくある怪談話でしかなかったが、問題はその目撃者の友人が実際に見たものが幽霊ではなかったという点にあった。