【能力者名】 独絵転々
【能力やる名】 ローリン•ガール
《タイプ:友好型》
【能力】 でんぐり返しをすることで
頭の回転を早くする能力。
(最大で三回、頭の回転を早くできる。)
【以下、細菌達の記録】
《放課後、米津高校一年B組の教室にて》
「お姉ちゃんお姉ちゃん!!一緒に帰るネ!!」
放課後、転々は双子の姉である独絵三十九秒に
抱きつきながらそう言った。
三十九秒は鬼気迫る顔で 数学の参考書の問題を解きながら、
「ごめん、もうちょっと勉強するから一人で
帰って。」
と転々の顔を見ずに言った。
「分かったアル…….。」
と転々はしょんぼりした顔で言い教室を
去った。
《放課後、米津高校付近の河川敷にて》
「アイヤー!!!」
転々は悩みごとをするとよく、米津高校付近の河川敷の坂道をでんぐり返しで転がり回る習性があった。
転々は顔と制服を泥まみれにしながらどう
すれば 姉と仲直りできるのかを考えていた。
(お姉ちゃん、こないだ小テストで満点を取れなかったから更に自分を追い詰めてるアル…..。 最近は誰とも話さずに机にかじりついて昼休み中も勉強しているヨ…….。
お姉ちゃん辛そうネ……..。)
転々は姉の体調を心配していた。
転々は河川敷でバク転を繰り返していた。
(お姉ちゃんは何故毎回ケアレスミスをしてしまうのだろう?お姉ちゃんの能力
《アンハッピーリフレイン》には何か副作用があるカ?それともプレッシャーによるものアルか?…….分からないアル …….。)
転々は最後に後方屈伸3回宙返りを決め、
最後にとても綺麗な着地をした。
高難易度な技を決めても、転々は浮かない顔をしていた。
その時だった。
「ゼェ……ゼェ……やっど……見づげた
じゃんね……。」
見るからにボロボロの男子が転々に話しかけてきた。
その男子は転々と同じ米津高校の 制服を着ていた。
その男子は転々の前で 倒れてしまった。
「アイヤー!!?ダイジョブか!!?」
転々は慌てて自分のカバンから救急箱を取り出しその男の手当てをした。
「…..すまなかったじゃんね……。」
包帯でぐるぐる巻きにされながらその男子は
言った。
「…….それで、私に何の用アルか?」
ペットボトル入り緑茶を飲みながら転々は
言った。
「僕は黒小場じゃんね、お前と同じ米津高校一年生じゃんね。僕は次の体育祭であの憎き
ロカ•タランティーネに悪鬼退治を仕掛けるつもりじゃんね。
そこで学園中の能力者、非能力者達に声をかけて回ってたじゃんね。このケガはその時の
ケガじゃんね……。独絵転々、 今日は米津高校で一番頭の回る お前をスカウトしにきたじゃんね。頼む、 どうか一緒にあのロカ先生を倒す作戦を考えて欲しいじゃんね!!」
無駄に美しい土下座をしながらじゃんねは
言った。
「お断りネ。」
そう言って転々はさっさと帰ろうとした。
「待つじゃんね!!!もちろんただでとは言わないじゃんね!!!お前のことはよく調べたじゃんね。僕はお前の知らないお前の姉の裏アカを
知ってるじゃんね。無事にロカ先生を倒せたら、お前の姉、独絵三十九秒の好きなキャラクターとスイーツをお前に教えてやるじゃんねぇ?きっとお前ら姉妹の仲直りに役立つはずじゃんねぇ?」
揉み手をしながらゲスい顔でじゃんねは言った。
転々は戸惑った。
転々の頭脳を持ってすれば 姉の裏アカを覗くことぐらい造作もないことだった。
しかし転々は姉に嫌われたくない 一心で裏アカを覗くことが出来なかった。
そんな姉、独絵三十九秒のトップシークレットを知るチャンスが現れたのだ。
それは転々の願いである《お姉ちゃんとの仲直り》を 叶えるきっかけになるかもしれないのであった。
「…….だとしてもお断りネ。」
そう言って転々は首をぷいっと横にふった。
「どうしてじゃんね!!?」
「まず、ロカ先生に勝とうなんて無謀過ぎるネ。全校生徒が束になって相手をしても……
ロカ先生に勝てる可能性は0.001%もないアルよ。」
「0%じゃないじゃんね?ならやる価値は
あるじゃんね。」
じゃんねの言葉を無視して転々は続けた。
「そして私にはロカ先生に敵対する理由が
ないネ。私は別に能力があってもなくても
困らないヨ?でも心をへし折られる危険を
おかしてまで勝てる見込みのない勝負をしたくないネ。じゃんねはどうしてそこまでロカ先生にこだわるカ?本当はじゃんねだって、
勝てないって分かってるんじゃないアルか?」
転々はじゃんねの顔をじっと見つめていった。じゃんねは言った。
「勝てないとか、無理とか関係ないじゃんね!!!!!僕はアイツに僕の能力《くろおばあないと》を破壊された!!!!! そりぁ、ロカ先生の言うことが100正しいのは分かってるんじゃんね!!!!でも、心を折られたまま、負け犬のまま終われないじゃんね…..!!!あいつをギャフンと言わせないと 気が済まないじゃんね…….!!!!」
じゃんねの発言は合理性の欠片もない、
子供のワガママのような感情論であった。
転々は今にも泣きそうなじゃんねの顔を
じっと見つめた。
(ちょっと似てるネ、必死なところが、お姉ちゃんに。……まぁ、お姉ちゃんはここまで
アホじゃないけど。)
転々はじゃんねにデコピンした。
「痛っ、何するじゃんね!!!」
「… .分かったアル。手伝ってあげるネ。ただし条件があるヨ。なるべく怪我人を出さない方法で戦うこと。お前の復讐で余計な犠牲者を増やさないこと。それでもいいなら
力を貸すアル。」
そう言って転々はじゃんねに手を差し出した。
「……分かったじゃんね。」
じゃんねは転々の手を握った。
交渉成立である。
それから転々とじゃんねは家に帰り、二人でZoom会議を開き打倒ロカ先生への作戦を練った。
「まず第一にロカ先生の一番の弱点。それは
じゃんねも分かってるはずネ?」
「……そのぐらいは僕でも分かるじゃんね。
ロカ先生の弱点は《生徒を殺せないこと》。
…….その弱点があってもどうにもならないほどの力の差が僕たちにはあるじゃんね。」
「その通りヨ。だからじゃんねがこれから
すべきことは駒集めネ。さっき米津高校にいる生徒のデータを調べあげてロカ先生の天敵とも呼べる生徒を二人ピックアップしたから、 この生徒達に悪鬼退治に参加してもらうようじゃんねは説得するネ。」
そう言って転々は《口裏痛見》と《半田緋色》の写真をじゃんねに送った。
「……おいおい痛見はロカ先生側の生徒じゃんね?いつを寝返らせろって言ってるじゃんねかー?それに半田緋色…..あのパッとしないヤツが本当にロカ先生の天敵と言えるじゃんねか?」
じゃんねは訝しげに言った。
転々は言った。
「その二人はロカ先生の天敵ネ。まず口裏痛見は声をかけた相手にタイマンを強制でき、更に 痛みを受けた分だけ回復できる《とてもいたいいたがりたい》を持ってるネ。ロカ先生だって痛見を殺さずに倒す方法はないはずヨ。 だからこそ、ロカ先生は痛見を仲間に引き入れた。そしてそんな痛見をこちら側の仲間に 加えれれば……..。」
「こちら側は強力な壁役を手に入れることが
できる上に相手の戦力を大幅ダウンできる
ってことじゃんね。わかったじゃんね。なんとか説得してみるじゃんね。」
「その通りアル。そして《半田緋色》、この
生徒はなぜかロカ先生の《エンプレス•ディスコ》を受けてもなお、能力が使えるらしいネ。この生徒もこちら側につけておきたいアル。…….あとは相手のやっかいな影踏先生もなんとかしないと話にならないネ。
影踏先生をなんとかしないと最悪私ら全員影踏先生の《ハイドアンドシーク》に捕らえられて 一網打尽アルよ。」
「それと兵力の補充と人を傷つけずに無力化できる武器の確保……やることが多いじゃんね……。」
ぐぬぬ…..。とじゃんねは唸った。
「もう弱気になったカ?とりあえずじゃんねは兵の確保と武器の確保、それと痛見とパンダの説得をするネ。…….私は体育祭実行委員になって2か月後の体育祭の日の悪鬼退治のステージを整えるヨ。」
「分かったじゃんね。ヘマするじゃないじゃんねよ、転々。」
「それはこっちのセリフね。」
そう言いながらも転々は姉、三十九秒に思いを馳せていた。
(…….そっか、絶対に勝てない相手と戦う
気分ってこんな感じアルか…..。意外と悪くない気分アルね…..。お姉ちゃんの気持ちが、ほんのちょっとだけ分かった気がするネ…..。)
かくして心強い参謀を引き入れたじゃんね
率いる《クローバー同盟》、彼らは学園最強の 教師、ロカ•タランティーネ打倒のために
暗躍を続けるのだった。
(世紀の大事件、CROW OVER NIGHTまで
あと2ヶ月。)
(最後まで読んでくださりありがとうございました。)
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