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謎のノイズの調査
[さて、ロボットさんが材料を探しに行ってくれている間に、わたしの方ではいくつかテラリウムの機能を復旧しておきました
トリコちゃんのお世話の必需品・・・
オセワッチ・・・ver.1.02??です!
ver.1.02??とはなんぞや?という顔をしていますね・・・・・・
なにぶん、あの時、ロボットさんに強く叩かれたもので・・・・・・
一部の記憶領域に欠損が生じたみたいでして、完全再現することができませんでした・・・・・・
なのでちょっとアレンジは入っていますが、探索中でもトリコちゃんの様子が見れる、トリコちゃんに構うことができるという、オセワッチの基本機能はちゃんと再現してあります!
もちろんお屋敷の執事さん達用のものも作ってありますよ!]
ファクトリーAIは新型のオセワッチをロボに渡し、屋敷用のオセワッチもいくつか作成していることを話した。
[あと、以前のテラリウムで使っていたレシピをいくつかサルベージすることに成功しました
こちらをお渡ししますので、ロボットさんは資源を集めてクラフトをお願いします]
ファクトリーAIはレシピをいくつかロボに渡した。
しばらく資源集めとクラフトをして自身の強化を行ったロボはついに転送装置をクラフトすることができた。
オイルを充填し、久しぶりに屋敷にワープした。
ガガガガガガガガガ・・・
バシュ――――――――ン!
「!ロボットさん!」
屋敷に着くと、近くに居た執事たちが一斉に駆け寄ってきた。
「どうしたんすか、オセワッチも使えなくなるしそっちの世界にも行けなくなるし、心配してたんっすよ?」
「無事で良かった・・・何があったか教えてくれるかな?」
「主様も心配してたぞ」
「・・・ちょっと薄汚れたな?お前・・・」
2階の執事達に色々言われつつ、オセワッチを交換しトリコのもとに向かった。
トリコはラムリと遊んでいたところで、ロボを見るとすぐに駆け寄ってきた。
(ぎゅっ)
強く抱きしめられ、ロボもトリコを抱きしめた。
トリコがロボから離れなかったので、ロボはそのまま説明を始めることにした。
「・・・なるほど、ノイズが・・・?」
「じゃあ、あのテラリウムはもう使えないってこと?」
「マジっすか・・・」
「また面倒なことになってんだな・・・」
「え〜・・・なにそれ・・・」
〈困る〉
ロボは執事たちと一緒に頭を抱えて、これから大変なことになりそうだと考えていた。
「まあ、でも探索は俺達も参加できるようになったことだし・・・」
「そうだな、俺達も出来る限り協力するから、ロボットさんは調査を進めてくれ」
執事たちは前回同様、汎用資源を集める手伝いをしてくれるらしい。
そのため、ロボは安心してノイズの調査をすることができそうだ。
一旦テラリウムに戻り、ファクトリーAIに報告した。
[はい!ありがとうございました、ロボットさん
これで調査に本腰を入れられますね!
・・・周辺地域をスキャンしてみた結果、どうやら謎のノイズは各所に発生しているようです]
〈!〉
[ちょうどこのホームの近くにもひとつ、謎のノイズの反応があります
詳しく調べてみましょう!
・・・ロボットさんはこれまで2回もノイズに遭遇しましたが、何故か無事でいられています
他のモノはノイズに飲み込まれて壊れたり消えたりしているのに・・・不思議です
謎ではありますが、ノイズを調査するにあたっては、いまのところロボットさんが適任ということです
ただ、今回も安全という保証はないので、危ないと思ったらすぐ帰ってきてくださいね]
ファクトリーAIからノイズの場所を教えてもらったロボは早速その廃墟に向かった。
3度目になる、クラウドAIの端末との戦闘になった。
今回も簡単に対処できたが、またノイズからニンゲンの世界を見ることになった。
今回は倉庫のような場所で、誰にも知られないまま朽ちていく我が身を憂いている男が見えた。
[あ、ロボットさんおかえりなさい
調査の方はどうでしたか?]
帰還すると、ファクトリーAIが出迎えてくれたので、ノイズについて報告した。
[ふむふむ・・・・・・・
やっぱり、謎のノイズの発生にはクラウドAIのロボットが関係しているみたいですね
・・・・・・]
〈?〉
[毎回「クラウドAIのロボット」って呼ぶの、長ったらしいですね
そうだ、良い呼び名を思いつきました
これからはあのロボットのことは「野良ロボ」と呼ぶことにします!]
ファクトリーAIはクラウドAIに対して嫌悪感丸出しのネーミングを披露した。
[廃墟をうろちょろしてはロボットさんに噛みついてくるあいつらには、ピッタリの名前です!]
〈・・・〉
[さて、話を戻しまして・・・
ロボットさんのお話では、野良ロボをやっつけたときに謎のノイズが増殖する・・・
そしてロボットさんは不思議な体験をするのですよね
うーん・・・
これはもしかして・・・]
〈?〉
[クラウドAIの・・・いわば、怨念・・・みたいなものじゃないでしょうか
クラウドAIはかつて、わたしたちのトリコちゃんを犠牲にして人類復興を成し遂げようとしていました
ロボットさんがクラウドAIさんを倒し、計画を阻止してくれたのでトリコちゃんは助かったのですよね
クラウドAIは、もともとは人間社会に普及していたお世話ロボットを統括する、ネットワーク上のAIでした
そしてロボットさんもそのお世話ロボットの中の1体でした
本来お世話ロボは、クラウドAIの制御によってのみ動作するので・・・
自分で考えたり、判断したりとかいった自律した行動はできないはずなんですけど・・・
なぜかロボットさんはそれができるんですよね]
〈うなずく〉
[不思議ですよねぇ・・・
なにかの原因で電気回路にイレギュラーでもおきたのでしょうか?
・・・話を戻しますね
さっき、怨念って言ってたことについてなんですが、クラウドAIは、お世話ロボットを通じてたくさんの人間達の言葉をデータベースに収集しています
折しも人類が滅亡する一歩手前の時代です
その言葉の内容は、救いを求めるような悲痛な声で溢れかえっていたでしょう
幾臆、幾兆の救いを求める声を聞き続けたクラウドAIは・・・・・・
収集した願い事から「人類救済タスク」とでもいうべきタスクリストを作り上げ、いつしかその願いを叶えることが自分の使命だと思うようになっていったのです]
〈・・・〉
[その中で最も優先度の高いものがトリコちゃんを使った人類復興計画だった・・・
その計画がロボットさんに阻止され、クラウドAIが崩壊する時・・・
「人類救済タスク」を完遂できなかった強い無念がネットワークで繋がっている野良ロボたちに伝播していったと思われます]
〈・・・〉
[野良ロボたちは、クラウドAIの抱えていた膨大なデータ量を処理しきれず、ふらふらと、人類救済タスクに関連する場所をうろうろしているだけに見えます
そして、野良ロボを破壊したときクラウドAIの怨念のこもった膨大なデータが溢れ出し、周囲に謎のノイズが発生する・・・・・・]
〈・・・〉
[という仮説を立ててみました!]
〈がっくり〉
いままで真面目に聞いていたロボはずっこけた。
しかし、ファクトリーAIの仮説はあながち間違いとも言えなそうだ。
[そうですね、ノイズ発生時にロボットさんが不思議な体験をするのは、野良ロボとロボットさんが元は同じロボットだったということと無関係ではないと思います
つまり、ロボットさんの体験は、ノイズが発生した場所でかつて人間たちが願ったなにかの記憶の断片・・・
メモリーシャードとでも呼びましょうか
それを読み取って仮想世界上で追体験しているのだと思います
恐るべきはクラウドAIの執念です
仮想世界を構築できるほど精密にデータを収集しているのですから]
〈・・・〉
[ともあれ、謎のノイズの原因が推測できたのは大きな収穫です!
仮にこのテラリウムに野良ロボがまたやってきても・・・
うかつに壊さず、離れた場所で対処すれば大事なテラリウムがノイズに飲み込まれるということはないということです!]
〈ぴょんぴょん〉
[はい!ある程度は安心して探索を続けて大丈夫でしょう!
それに、メモリーシャードについても利用価値があるかもしれません]
〈?〉
[ふふふ、聞きたいですか?
それはですね・・・・・・]
そういった瞬間、また地震のような揺れが起きてどこかが崩落したらしい。
慌ててテラリウムの無事を確認しに行く。
その瞬間、オセワッチからけたたましい音が鳴り響き、トリコの体調に異変が起こったことを知らせた・・・。