『 きっと私にしかできない人生 』
あなたは気づいてたかな。
わたしが初めてあなたに恋をした日、
そして告白をした日。
まさかあんなことになるなんてね。
わたしは記憶から消したいのに、
あの時を永遠に覚えてる。
曇りのち晴れで、気温は30.7度。
わたしが久しぶりに
戻ってきた配信アプリを開き、
配信の準備をする。
時間は22時くらいだっただろう。
月が部屋を照らし、部屋は明るくなる。
22時になった瞬間に
“配信”という言葉をクリックする。
「みんなー!久しぶりー!」
わたしの声が久々に部屋に響く。
「あ!成(なる)くんだ!」
そう、この日はわたしが
初めてあなたに恋をした日。
相手は成くん。
同じ学校の人でもあるが、
学校ではそんな話す仲じゃない。
わたしは コメント欄だけで、
成くんと話す仲だ。
この日、コメント欄だけでわたしは
成くんに恋をしたのだ。
成くんはわたしのしょうもない会話に
必死についてきて、楽しく会話をした。
学校で話したことなかったから
成くんの性格をよく知らなかった。
配信で話すまでは
“友達が多い人で彼女持ち”
としか知らなかった。
だけど配信で話すうちに、
わたしは成くんの性格に惹かれた。
優しいところ、面白いところ、
人の話を一生懸命聞いてくれるところ。
そんな性格に惹かれた。
成くんは彼女持ち。
だめなことはもちろんわかってて、
なのにわたしは恋に落ちた。
だからわたしは一生懸命あたまの中で
誤魔化し続けた。
“好きなんかじゃない…”
“これは恋なんかじゃない…”と、
何度も誤魔化した。
だけどね、そんな誤魔化しは
次の日には通用しなかった。
次の日、いつもの通り配信をする。
時間は昨日と同じ、22時。
成くんはまた、配信に来てくれた。
成くんはまた、一生懸命話を聞いてくれた。
丁度その時は先生に対して
悩んでた時期だった。
話を聞いてくれるだけですごく落ち着いて、
癒された。
こんなに落ち着く人がいるんだ、って
はじめて気づいた。
その日、わたしは成くんのことが
ほんとに好きなんだと感じた。
次の日の朝、”怖い”という気持ちがありながら
学校へ向かう準備をする。
その日の天気予報なんて頭に入らないくらい、
学校が怖かった。
けど、『ピコン』という音が携帯から聞こえた。
普段は通知を切っているのに、
昨日は通知を切り忘れていたのかな。
携帯を見ると、そこにはメールの通知。
名前を見ると『成』と書かれていた。
『りうおはよ!』
『今日も一日頑張っていこー!』
君からのはじめての”おはよう”は
すごく嬉しかった。
君の優しさの”おはよう”のおかげで
わたしは学校に行く気になって、
1日頑張れそうな”おはよう”だったんだ。
学校に行けば、学校に着いた瞬間に
メールをくれた。
『学校来て偉いやん!』
と一言。
学校では話す仲ではなかったから
わたし達は学校にいてもメールで話す仲。
そんな仲が少し嬉しかったりもした。
学校が終わっても、君からはメールが届く。
『お疲れ様!!
今日よく頑張ったやん!偉いよ!
これからも頑張ってこ!!』
その言葉が嬉しくて、
わたしはどんどん”恋”という言葉に
パズルのピースがぴったしのように
恋に落ちた。
彼女持ちとはわかってた。
だけど、好きになっちゃったんだ。
成くんのおかげで今日1日頑張れた。
わたしは君に早くも依存しちゃったみたいだよ。
“でも成くんだめだよ。”
“彼女いるのに他の女の子に
優しくしたらだめだよ”
そう、届きもしない言葉を
心の中で何度も呟いた。
彼女いるのにみんなに
優しくする 理由がわかんないよ。
普通なら彼女いたら優しくしないでしょ?
どうして君は彼女がいるのに優しくするの?
どうしてそんな思わせ振りな態度ができるの?
成くん、彼女いるんでしょ?
それなのに、その思わせ振りな態度はなんなの?
思わせ振りが一番きらいだよ…。
でもその優しさは誰でも好きになっちゃうよ。
ねぇ、成くん、本当に好きになっちゃうよ?
もう遅いけど…もう気持ちは変えられないけど…
それともこの優しさは嘘の優しさなの?
コメント
2件
辛いなぁ… れうは彼氏が出来たらその人には他の誰にも優しくしないで欲しいんだね その気持ち分からんでもない が、多分 酷だけども 友達として仲良くしてるだけだと思うよ 想いは止められないだろうから、好きだって思うのは全然いいと思う。 ただ、それで何か行動してはいけないと思う。 その人に彼女さんがいるなら、悲しいけど諦めるしかないね… れうが少女漫画に出てくる悪者の方になっちゃうよ