星降る夜に、君を想う
雨の降る放課後、傘を忘れた少女・咲(さき)は、無口でどこかミステリアスな同級生・千景(ちかげ)に声をかけられる。
「半分こな」——その一言から始まった、小さな恋。
やがてふたりは、図書室や屋上、秘密の小道など、ささやかな日常を重ねながら距離を縮めていく。
でも千景には、誰にも言えない夢と、隠された過去があった。
彼の見つめるその“遠く”を、咲は知りたいと願うようになる。
そして文化祭を前に、突然千景が姿を消す——。
彼のいない時間の中でも、咲は“あの傘の約束”を信じて待ち続ける。
満天の星が降る夜、ふたりは屋上で再会する。
「待っててくれて、ありがとう。」
交わした言葉と手のぬくもり。
それは、ふたりの世界をそっとつなぎなおす、運命の一瞬だった。