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「ねぇ、怪我大丈夫なの?」
学校に登校すると、私と松井くんの周りにクラスの人が押し寄せた。
一躍有名な人になってしまったのだろう。
廊下にはひっきりなしに「走るな」って書いてある紙が貼られている。
これが卒業するまで続く…と思うと恥ずかしくて仕方がなかった。
私はおでこに怪我をしてしまったから、バレエのような髪型をすると傷口がひどく目立つようになった。
だから、これを機にバレエを辞めた。
たった数ヶ月間だけど、美術部に入って外の風景をひたすら描くことになった。
こんな形でバレエを辞めるとなると、なんか恥ずかしい…。
でも人生で初めて前髪を作って、やっと自分らしさが出てきたかもしれない。
私はずいぶん明るくなれた気がした。
あの日から松井くんとすれ違うたびに、他の野球部の人たちからいじられるようになった。
「バレエちゃん、イメチェンまでしてお前に恋したんじゃねーの?」
時々、胸が苦しくなるぐらい嫌なことを言われたりもする。
松井くんのことが好きな女子からは距離を置かれたりとか、人間関係のウザさを感じた。
そんなおかしくなるぐらいなら、恋愛なんてしなくていい。
恋愛の煩わしさをまたさらに知った。