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今日も独り埃が舞うだけの何も無い徒広い部屋に閉じ込もる。

否、閉じ込められる。


家族同居人は皆、私を腫れ物の様に扱う。

其れに恐らく理由は無い。

強いて言うのなら ‘ 気に喰わないから ’ といった心底クダラナイ理由だろう。


毎日ろくな食事は摂らせて貰えない。

無論、外にも許可無く出られない。


出るとしたら誰かと行くか、若しくは首輪GPSを付けられるか。


何方にせよ、私に自由など無いのだ。


此の儘、死ぬ迄。






「 君が佐伯らんかな? 」






大人びた声に私の思考は絶たれた。


外部から堅く施錠されていた筈の扉は無謀にも開けられ、其処には1人の男がだらし無く凭れ掛かっていた。


同居人は外出中らしく不法侵入して来た男は怪我のひとつも無かった。


黒いロングコートを羽織り、瞳の視えないサングラスを掛けた妖しい男だった。


そんな印象に反して見知らぬ男は私を見るや否や口元に柔らかな笑みを浮かべる。


「 何方様でしょうか … 」


恐かった。

同時にこうも思った。


自由に成れるのでは無いか?


「 煙崎稜人、悪いが急ぎだ。 」


そう言う也、彼は生気を感じさせない冷たい手で私の指を掬った。


「 あの、御用件は? 」


声には芯が有るものの脚は竦んでばかりで歩くどころか上手く立てそうに無い。


「 シンデレラを怪盗しに来た。 」


彼は不思議な事を口にした。


「 とか?笑 」


妖艶な笑みを浮かべた所為で冗談か否か、私には判らなかった。

緊張と恐怖と僅かな期待で脚に力が入らない私を軽やかに姫抱きした男。


「 ちゃんと掴まっとけよ 」


心地良い重低音が鼓膜を揺らした。






此の時


無理矢理にでも戻れば良かったのか、

其れとも此れで良かったのか、


どうすれば貴方を巻き込まずに済んだのか。






未だに判らない私は、


永遠とわに城の住人で。













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