高校2年を修了し3年に上がる年の春、父親が事業に失敗し、一家が路頭に迷うことが確定的になった。
倒産の予兆は、2年の秋ごろからあって、家の電灯が明らかに暗めになったり、夕飯のおかずが妙に寂しくなったりとさすがに俺でもわかるような目に見えた変化が家庭内で立て続けに起こっていた。
しかし、そこへ救世主が現れた。
その人物は、佐久間財閥の社長。
国内では知らないものはない、佐久間グループを牽引する佐久間財閥は、戦後すぐに先代が興した小さな芸能プロダクションから始まり、意欲的に色んな分野へと裾野を広げ、その全ての事業が奇跡的に大当たりし、今やボールペン1本からロケットまで作ると言われる大企業の集合体となった。
その何千何万もの会社の頂点に立つ二代目佐久間社長は、少し変わり者で知られている。
佐久間社長はうちの父親とは中学時代の同級生だとかで、昔、一度だけ家に来たことがあるらしい。
その頃俺はまだ小学生で、幼なじみの涼太と外遊びに夢中だったから家にいなかったのかもしれない。
とにかく、その佐久間社長が、急に父親に連絡をよこして、融資をしてやると言って来たそうだ。
俺たち家族は助かった、とほっと胸を撫で下ろしていた矢先に、融資にあたってとんでもない条件を突きつけられた。
💙「は?絶対やだ!なんで俺がそんなことしなきゃいけないんだよ」
目の前には頭を下げる両親、そして、生意気ざかりの妹。
「翔太、あと1年だけだからなんとか頼む」
「佐久間さんは本当に良い方なのよ、ちょっと普通の方と感性が違うだけで…」
「お兄ちゃん、私、みんなと中学校行きたい!もう制服だって佐久間さんに買ってもらったし…」
💙「お前、お兄ちゃんなんて呼んだことねえじゃねえか」
融資の条件。
それは、俺が高校3年生の最後の年を全寮制私立の名門、素乃学園に編入して、無事に過ごし、卒業すること。
ただし、女生徒として。
もし男であることがバレたら融資は即刻引き上げ、我が家はまた路頭に迷う未来に逆戻り。
渡辺家の明るい未来は、俺のこの細い双肩に託されたのだった。
コメント
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今度は女性として学校へ通う⁉️ どんな内容になるんでしょうが?まだ全然予測がつきません。これから楽しみに次の話に進みます!
バカな新連載始めるよ❣️🤣🤣🤣 初めての学パロだよ💙💙