テラーノベル
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ダリンの襲撃から逃れたケイシの配下が、早馬を駆って急ぎケイシの元へ向かった。
休む間もなく二日ほどをかけて到着したその顔は、真っ青にこわばり、目からは止めどなく涙があふれていた。
「殿!殿!」
ケイシは、その光景を見ただけで、ただならぬ事態であることを察した。
身体が凍りつき、頭の中であらゆる可能性が一瞬にして駆け巡る。
まず側近の武将が口を開いた。
「なにごとか!これからいよいよ戦場へ向かうところだ!」
「は、はい、それは……
それは承知しております、ですが……」
一瞬、言葉が途切れた。
「リーシ様が……さらわれました!」
「いま、なんと……?」
ケイシは瞬き一つせず、その言葉を受け止めた。
(リーシが……さらわれただと……?)
城内には信頼できる側近たちも何人か置いてきた。
それでも、わずかの間に何が起こったのか、頭の中で考えが渦巻いた。
時間が止まったように思えた。
「誰にだ!」
ケイシの瞳に、怒りと憎悪の血柱が立つ。
「ジーファ国のダリンです!」
(前にも一度、リーシを狙い失敗した、あの下衆か……!)
「ケイシ軍、全軍城へ戻れ!」
叫ぶより早く、ケイシはすでに馬の鞭を打ち、城へと駆け出していた。
戦など、今の彼にとってはもはやどうでもよかった。
リーシが全てであり、生きる意味そのものだった。
もちろん二人の子も愛していたが、ケイシの中心にあるのは、リーシ。ただリーシへの愛だった。
ケイシの側近や兵士たちもまた、彼を尊敬し、愛するリーシのことを知っていた。
その美貌だけでなく、心の美しくもある彼女を守るために、全員が死に物狂いで馬を駆った。
大地を蹴る蹄の音が、嵐のように響き渡る——
ケイシ軍の全員が、愛する者のもとへ、命を賭けて突き進んだ
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