TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

シェアするシェアする
報告する


「――なるほど。亡霊のドワーフがそれをアックさまに……」

「首輪の他にもあるらしいが、集めて封じろって言われてもな。遺跡巡りに時間をかけるつもりは無いのに、参ったよ本当に」

「……ええ。あたしもここまで寄り道をするつもりは無かったですけれど……、敵が侵攻して来ていることですし、ついでに問題を解決されてはどうです?」


いつものようにミルシェに話をしてみると意外にも前向きだった。おれとシーニャが水遊びをしている間、ルティ率いる彼女たちはそれなりに大変な目に遭っていた。


その時の行動でミルシェにも心境の変化があったということらしい。


「要するに、各ダンジョンを回りながらついでに敵を片付けるってことだよな?」

「そういうことですわ。現にあちらさんはあたしたちに気付くなり、すぐに襲って来ていますし」

「……本当にな。逃げた奴の手際が良すぎる」


おれたちはチャルカ給水拠点から外のロネード丘陵地に出た。そこにはあらかじめ待ち構えていた魔導士たちの姿があり、すぐに攻撃を仕掛けられた。


シーニャが対応していた魔導士の一人がダンジョンから逃げ出し、仲間を呼んで来たうえで出口付近で待ち伏せていたらしい。魔導士にはサンフィアとフィーサ、それとシーニャが相手をしている。


ルティだけが給水拠点に残り、亡霊ドワーフの痕跡を調べている最中だ。各地で会えると聞かされていたドワーフに会えなかったのが、よほど悔しかったらしい。


「くだらん。たかが魔導士に精霊を使うまでも無い」

「それはそうに決まっているなの! イスティさま以外で持たせてやってるのだから、余裕で片付けて欲しいなの」

「――ふん」


魔導士たちは一定の距離を取り、攻撃と防御で陣形を揃えながら属性魔法を放ってくる。それに対し、神剣フィーサを手にするサンフィアが放たれた魔法を弾き返す――といった状況だ。


「ウガウゥッ!! 今度は逃がさないのだ!」


シーニャは魔導士の集団を崩そうと防御側の魔導士に突っ込み、攻撃を始めた。しかし防御魔法のせいなのか、向かって来るシーニャを上手く交わしているように見える。


「……それにしても、あの娘《こ》は何を探しているんでしょうね」

「ドワーフの形見でも探してるんじゃないのか」

「あのエルフのようなものをです?」

「まぁ、そう簡単に見つからないと思うけど」


魔導士との戦いを見守りつつ、おれとミルシェは遺跡出口に待機中だ。それというのも、ルティの場合は泣きじゃくって勢いよく飛び出して来る可能性がある。


念のため、万が一に備えて待ち構えているという状況だ。


「それにしても、魔導士は寄せ集めの傭兵連中とはまるでレベルが違うな」

「確かにそう見えますけれど、魔導士たちのランクも低い方では?」

「ランクか。ザームの本国にどれだけの精鋭を残しているかによるな」


イデアベルクを狙っているザーム共和国は、戦いに備えて戦力の増強を始めた。その未来を知ったことで先手を取る為におれたちは動き出した。


しかし奴等はすでに他国や遺跡の侵略を始めていて、そこにおれたちが出くわしてしまった。苦戦するような相手には出会えていないが、おれたちと同様に手の内を見せていないのは敵も同じだ。


それだけに、本国の状況が見えないのは気になるところ。


「――ですけれど、全く問題はありませんわ」

「どういう意味でだ?」

「アックさまは全てを超越していますもの! あたしたちはその力の一部を賜っている。要するに、楽勝ですわ!」

「そうだな」

「何にしても、今は練習相手がいると思って楽しめばよろしいかと」


軍師的な役割を果たしているミルシェも水棲怪物の時の力を取り戻している。それでもまだ本調子じゃない。


「遺跡探索がそういう時間ってことか?」

「フフッ、楽しまないと! ですわ」

loading

この作品はいかがでしたか?

0

コメント

0

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚