蓮「……は?」
次の日、目が覚めてスマホを見ると恋人から連絡が来ていた。内容は「もう別れよう。」それだけだった。
全身から力が抜けていくのがわかった。悔しさと苦しさ。全てが相まってソファに倒れ込んだ。けれど、なぜか涙は出なかった。悲しくないのかと聞かれればこれ以上ないほど悲しい。
蓮「はぁ……。準備しよ。」
どんなに動く気力が湧かなくても、仕事には行かなきゃいけない。ソファとの拘束を解き、身だしなみを整えて荷物を用意するそんな日常。けれど、朝起きたら「おはよう」って言ってくれて一緒に二度寝をして、時間がギリギリになって焦って準備をする、そんな君が居ないだけで日常は一気に非日常と化した。
辰「お、めめおはよ」
蓮「おはようございます、ふっかさん。」
心ここに在らずといった感じで楽屋に入ると、ふっかさんが先に到着してスマホをいじっていた。
辰「どう?阿部ちゃんとは。」
蓮「別れましたよ。」
辰「え?昨日の今日で?」
蓮「はい、向こうは別れたかったらしくて。」
辰「あー振られたのか。」
蓮「そうなりますね。」
淡々と話す俺を見て、ふっかさんはたまに心配そうに眉間に皺を寄せるシーンもあった。昨日の今日で別れたにしては、自分としても吹っ切れすぎているとは思う。きっと、展開が急すぎて理解が追いついていないんだと思う。
ス「スタジオ入りお願いしまーす。」
辰「はーい、行こ、めめ」
蓮「はい。」
収録を終えて楽屋に戻ると同時に、ふっかさんのスマホに着信が入った。
辰「あ、めめこれ見て。」
蓮「はい…?」
仕事の案件だろうか。そう思い目線を落としたけれど、メッセージは岩本くんからだった。メッセージの内容は、
照[泣いてんだけど。]
というひと言と、どこかの所在地だけだった。
辰「行きなよ。」
何があったのかとかは一切分からない。誰が泣いてるのか。場所だってよく分からない。けれど、心より先に体が動いて送られてきた場所へ必死に走った。
着いた場所は駅の裏にある小さな公園だった。息が切れながらも公園の中に入ると、数万回、数億回と見慣れた背中が視界に入った。話しかけたからなんだ、だからどうなるんだ、そんなことを考えている余裕は無い。ただ、今を逃せば次は無い。そんな気がしてならなかったんだ。
蓮「亮平!」
?「……?」
to be continued…