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だが扉は無情に沈黙したまま。
七人が揃っている限り、最後の鍵は動かない。
重苦しい空気の中、真綾がふらりと一歩前に出た。
「……わたしが、残る」
「だめだよ!」
菜乃花が即座に叫んだ。
「ずっと一緒に頑張ってきたのに、ここで置いていけるわけない!」
「でも……ずっとわたしばかり狙われてた。もしかしたら、最初から“そういう役目”だったのかもしれない」
真綾は涙を浮かべ、弱く笑った。
「やめてよ! 勝手に決めないで!」
瑞希が拳を震わせる。
だが、他の者の心にも揺らぎが生まれていた。
――本当に、真綾が犠牲になるしかないのか?
――それとも、別の誰かが……?
「みんなで出られる方法を探そうよ! 必ずあるはずだよ!」
里奈の叫びは空しく響く。
香里が唇を噛みしめ、冷静な声で言った。
「もし誰も決めなければ……夜明けまでに全員が閉じ込められる。それだけは、絶対に避けなきゃ」
沈黙。
誰もが視線を逸らし、互いを疑い、恐れた。
その時――放送が最後に鳴り響いた。
――ジジジッ。
『……夜明けまで、あと一時間。選べ。六人の生か、一人の犠牲か。さもなくば……全員が“学校の影”となる』
扉の前に立つ七人。
手に握られた最後の鍵は、冷たく重く、誰も回せない。
運命の選択は、目の前に迫っていた――。