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君のものだったら
【 注意⚠️⠀】
青桃
桃片思い
nmmn
⬇
届かない距離の、青い光俺はずっと、まろのことが好きだった。
結成したての頃、まだ誰もお互いの本当の顔を知らない時期から。
あの頃のまろは、いつも笑ってて、柔らかい口調で
「ないこー! おもろいわ〜笑」
って言ってくれるだけで、胸が熱くなった。でも、まろが昔
「学生の頃、彼女と何回かヤったことあるからないこと違って童貞じゃないんですーっ」
って笑いながら話したとき、
静かに理解した。
まろの恋愛対象は、女性なんだって。それでも、諦めきれなかった。
まろは多様性を否定しない。
「誰が誰を好きになってもええやん、幸せならそれでええし」
って、さらっと言ってくれる。
その言葉が、俺にとっては優しさでもあり、残酷でもあった。まろはよく、ないこ俺自身のことを褒めてくれた。
「ないこ、ビジュめっちゃええよな」
「今日の髪型かわいいわ」
「ないこたーん、だいすきっ!」
そんな言葉を無邪気に投げかけてくるから、毎回、勘違いしそうになる。
いや、勘違いしてるのはわかってるのに、
「もしかして」
って期待を捨てきれなくて、どんどん深く落ちていく。そんなある日、FCイベントが終わった後。
楽屋の隅で、まろがぽつりと言った。
「なあ、ないこ。ちょっと後で二人で話したいねん」
「……うん、いいよ」
心臓がうるさかった。
悪い予感も、良い予感も、全部混ざってぐちゃぐちゃだった。その夜、Discordで二人きり。
まろの声が、いつもより少し高揚してる。
「実はな……彼女できたねん」
一瞬、世界が止まった。
「めっちゃええ子やで。優しくて、笑顔がほんま可愛くて……もう、毎日会いたなるわ」
俺は、喉がカラカラだった。
でも、いつもの調子で、笑顔の声を出さなきゃいけない。
「……まじ!? おめでとう、まろ」
「ありがとな! ほんま嬉しいわー。ないこに最初に言いたかったねん」
その言葉が、また胸を刺す。
最初に言いたかった。
友達として、相棒として、大切なメンバーとして。まろは話し続けた。
彼女の好きな食べ物、初めてデートした場所、LINEのやり取りで笑ったこと。
全部、幸せそうに。相槌を打ちながら、心の中で何度も繰り返した。
俺だったら。
俺だったら、もっと……ッ!!
30分ほど経って、俺は耐えきれなくなった。
「ごめん、まろ。用事入っちゃって……また今度話そう?」
「え、もう? あかんかった?」
「ううん、大丈夫。またね」
通話を切った瞬間、床に崩れ落ちた。
声にならない声で、ただ
「っ……は、」
と嗚咽を漏らした。
それからはまろを避けるようになった。楽屋では端の席に座る。
配信中も、まろが近づいてきても
「ちょっとトイレ」
とか
「喉乾いた」
とか、適当な理由で離れる。
まろが
「ないこ、最近元気ないんちゃう?」
と心配そうに聞いてきても、
「いや、大丈夫だよ。ちょっと疲れてるだけ」と笑って誤魔化した。でも、ある日。
控室に二人きりになったとき、りうらが静かに口を開いた。
「ないくん」
「……ん?」
「まろのこと、避けてるよね」
俺は目を逸らした。
「りうら、気づいちゃったよ。……まろのこと好きなんだ?」
「……違うって」
「ううん、違うじゃない。目を見ればわかるよ」
俺は唇を噛んだ。
もう、誤魔化せない。
「……好きだよ。ずっと。 最初から。メンバー内恋愛禁止だなんて俺が言ったのにね、せめてもメンバーには取られたくないって……もし禁止にしてなくても まろは……俺のこと、そんな風に見てない。わかってるのに」
りうらは黙って、俺の隣に座り直した。
そして、そっと手を重ねてきた。
「辛かったね。ずっと一人で抱えてたんだ」
「……うん。 彼女できたって聞いたとき、頭真っ白になって。 おめでとうって言ったけど、本当は……壊れそうだった」
「うん。りうら、わかるよ。
ないくんの気持ち、全部受け止めるから」
りうらは俺をそっと抱き寄せた。
俺は抵抗せずに、その温かさに身を預けた。
初めて、誰かにこんな気持ちを全部話せた。
「これからも、辛くなったらりうらに言ってね。 一人で抱えなくていいように、りうらはずっとそばにいるから」
「……ありがと、りうら」
その日から、少しだけ息がしやすくなった。
でも、まろの笑顔を見るたびに、まだ胸が痛むのは変わらなかった。
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