side渡辺
あの後、メンバーに凄い心配された
どこ行ってたのと、質問攻め
それでも、めめとふっかがなんとか返してくれたから、無事、解決した
今はみんな帰って、俺だけ1人、ベッドの上
消灯時間はもうとっくに過ぎている
でも、眠れない
ベッドに潜り込んで目を閉じても、
今日の出来事が目の裏に浮かんで
目を開けてしまう
嘘だと信じたかった
帰ってきてから、いつものふっかだった
だから、嘘だと思った
でも、みんなが帰った時、俺に送られたメッセージ
『俺らは敵だから関わらない方がいい』
ふっかからのものだった
これが、嘘じゃないと、
現実だと知らせるものだった
「くっそ……」
結局、何も出来ない
きっと、今、2人は人を殺しに行っているんだろう
自分の手が汚れるのも構わず
さっきからずっと思っているものがある
“もうやめたい”
もう、何も守れていないのなら、
やめてもいいんじゃないか
めめと2人で、”普通”の暮らしをしたい
“普通”に、幸せになりたい
でも、それは叶わない
布団をかぶろうとすると、横から風が吹いて俺の髪を揺らした
「誰……」
フードを目深く被り、全身黒の服で、闇に溶け込んでいる
窓に足をつけ、しゃがんでいる
少し見える口は、僅かに笑っているようにも思える
ただ、その口は見たことがあって__
『眠れないの?』
聞いた事のある声だった
少し、加工されている声
「まさか……」
『お見舞いに来たよ』
「なんで……貴方が……」
『今ねぇ、大変なの』
『深澤くんの組織がうちの組織の人間を人質に取ってさぁ』
『困っちゃうよねぇ』
「ふっかが……」
俺が知らない間に、1番恐れていた事態が起きていたみたいだ
ボスまでもが外に出ているということは、相当のことだろう
「俺も行きます……!」
『だーめ』
『病み上がりなんだから』
ほら、またこう言う
うちのボスは、いつも組織の人間を気遣ってくれる
自分の駒だとは思ってない
『大切な、仲間なんだからさ』
すると、大きな風が吹く
それと同時にパーカーのフードが脱げる
「ぁ……」
見てしまった
でも、それよりも、俺は、目が離せなかった
「なん……で……」
なんで、なんで、
なんで、
「阿部ちゃんが……?」
「あは、バレちゃったか」
「まぁ、とりあえず、翔太はここから出ないでね…ッッ!?」
ぐらりと阿部ちゃんの体が後ろに倒れる
落ちる……!!!!!
そう思った瞬間、俺はベッドから出て窓に走り、阿部ちゃんの腕を掴む
「しょ……た……」
そして、引き上げ、部屋に入れる
「ごめん、助かった」
俺は、衣類が入っているカバンの中から、黒いパーカーと黒いジーンズを取り出す
「翔太……!!」
それに着替えると、黒いコートを羽織る
その裏のポケットに、隠していたナイフ、銃、それから銃弾を入れる
「俺も行く」
「なんで……!!」
「可愛い後輩が戦ってんのを、」
「黙って見てろって言うのかよ」
「ッッ……!!」
「めめだって、どうせ戦ってんだろ」
「なら、俺だってやるよ」
「それに、まだ若いやつらもいる」
「そいつらを死なせる訳にはいかねぇよ」
いつになく強い口調で阿部ちゃんに言う
「……分かったよ」
「ただ、やるからにはちゃんと使わせてもらうからね」
「ドンと来いだよ!」
「さすが」
「それじゃあ、行こう」
『はいオッケー!!』
「お前、ちゃんと食ってる?」
阿部ちゃんの腕を掴んで引き上げる時、意外と軽くてびっくりした
「食べてるよ?」
「なんか前にもそんなこと言われたなぁ」
寝た阿部ちゃんを家に送るべく、俺とめめで阿部ちゃんを車に運んだ時のことだろう
めめが持ち上げたけど、え、軽……とか言ってた
ついでにしょっぴーより軽いよって言われてあん時は本気で殴ろうかと思った
「バンバン」
「ねぇ笑やめて?笑」
自分の声で効果音を出して阿部ちゃんを撃つ真似をする
そして、2人で笑い合う
気づけば、スタッフさんも笑っていた
コメント
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まさか、阿部ちゃんがボスだったなんて、、びっくりしすぎて、倒れるわ笑
もうこの物語好きすぎて喉こわしましたねw…←は?