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「校外学習に興味はございませんか?」
些か、というよりかなり胡散臭い調子でそう訊いてきたのは変態担任こと、和住暁先生である。毎週金曜日の放課後、担任のための恋愛助言授業(?)という名目で時間を設けているが…二人きりのときの質問は大抵ロクなもんじゃない。
「チラシをお渡ししますね」
私の返事を待たずに進めていく強引さは相変わらずで、受け取ったチラシには『秋の歴史ツアー』と書かれていた。
「歴史ツアー?」
「はい。歴史科の先生方が毎年開催なさっている校外学習のことです」
行き先は群馬県館林市らしい。なるほど、有名なつつじが岡公園があるからそれに因んでいる訳か。黐躑躅学園のツツジ愛は凄まじいようだ。
館林市の歴史的建造物は魅力的だけど…まだ迷うなぁ。担任の提案は嫌な予感しかない。
「うーん」
「参加してみれば良いんじゃないか」
顔を上げると担任の横には七宮先生が立っていた。
「えっ」
恋愛助言授業(?)のことをバラしてしまったからだろうか…。先生が増えちまったぞ。
「校外学習なんて滅多に無いし、楽しんで歴史を学ぶことができる。それに他の生徒と交流する良い機会にもなる。日帰りで費用も安いし、好条件だと思うぞ」
「確かに…そうかもですね。七宮先生は参加なさるんですか?」
「まぁな。俺は同行しろって上から圧かけられて断れねぇんだよ。…どうせなら、成瀬を道連れにしてやろうと思ってんの」
「聞き捨てならないですね。しゃーなし、独りぼっちの七宮先生と一緒に回ってあげてもいいですよ?」
「うるせー」
正直、七宮先生のおかげで助かった。…担任と二人きりだとなんだかギクシャクしてしまう。校外学習に担任が来る可能性は高いけど、二人の状況は何とかして避けて過ごしたい。
すると、担任が不意に呟いた。
「私は……どうやら思い違いをしていたようです」
普段と変わらない無表情だけど、その逸らされた視線に私は拒まれたように感じた。
「私の言動が迷惑だと、そう言って頂いても構いませんよ」
なんだそれ。自分だって分からないのに。
「そんなことー」
「ヤキモチ妬いてんね、和住」
聞き馴染みの無い声がした。