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#ご本人様には関係ありません
𝕔𝕠𝕔𝕠
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仁人のデジタルデトックスは功を奏したようで、あの日以来仁人が無駄に頭を悩ませる機会は減っている。
代わりに、仁人のSNSに届くコメントは、俺が読んでから、仁人に会った時に良いコメントだけをまとめて伝えている。もちろん過激な内容のものについては一切耳に入れていない。
「勇人ー、お風呂ありがとうー」
夜、俺の家で。
最近頻繁に居座るようになった仁人が、家主よりも先にさっぱりとした姿でリビングに現れた。俺のTシャツとタイパンツに華奢な体を包んで、首にかけたタオルで髪の水分をぐしゃぐしゃと拭き取る。
勝手に冷蔵庫を開けて、中から見つけた桃のジュースを取り出すと、キラキラとした目で、飲んでいい?と問われた。
ボトルの中で、飲みかけで少なくなったそれがちゃぽんと音を立てる。
頷き返すと、全部飲み干すように、直接口を付けて勢いよく上を向いた。
勢い余った液体が仁人の口端から漏れて細い筋が顎から首にかけて伝っていく。
うっすらと蒸気した顔、しっとりと湿った髪、ちらちらと覗く小さな舌、、
無意識ながらも色気を醸し出す仁人から目を離す事ができずに、俺はゴクリと喉を鳴らした。
正直、仁人が家にいることがしんどい。
自分の好きな相手だ、もちろん来てくれること自体は嬉しい。俺にしか見せない素の姿や、大きな目に俺だけを映して微笑む彼を独り占めできるこの空間は、むしろ至福の時間だと言える。
一方で、狭い空間に二人きりでいるこの状態で、無意識とはいえ甘い姿を見せられて、手を伸ばせば触れられる距離にいる仁人に、つい手が出そうになるのを、ギリギリの理性で抑え込む忍耐の時間でもあった。
仁人を想いながら自分を慰めることも、眠る本人を隣にしては出来るはずもなく。
これまで仁人が何度か家に来て泊まっていくことはあれど、そのどれも俺は仁人に指一本すら触れていない。
触れたが最後、それまで抑えていた衝動を止められる気がしなかった。
「俺も入ってくるわ」
無理矢理顔を背けるようにして、俺はソファから立ち上がった。それまで見ていたスマホを投げ出す。
「んー」
キッチンから戻った仁人が代わりにソファに腰掛けた。目を擦りながら、少し眠そうな空気を纏い始めている。
「眠かったら先に寝てていいよ」
こんな無防備に、安心しきった表情を見せてくる仁人を見ながら、俺は今日も自分の理性を褒めてやりたい、と達成感にも似た気持ちで脱衣所へと向かった。
自身の熱を覚ますように、最後に頭から冷たい水を浴びて浴室から出た。
簡単なスキンケアだけ済ませてリビングに戻ると、ソファに座ったままの仁人の後ろ姿が見える。
髪はほとんど乾いていて、ピンク色の耳だけが髪からのぞいている。
ん、ピンク…?
いつもより明らかに濃く色付いた仁人の耳に、どうしたのかとソファを回り込んだ。
「仁人?」
「は、はやと…」
見れば、顔を真っ赤に染め上げた体操座りの仁人が見上げてきた。その手には、俺のスマホが握られている。
その姿を見て、俺はつい先ほどまで自分が見ていたページの内容を思い出した。
それは、頻繁にファンから送られてくる過激な内容のDM。その中でも、特に今開かれているページは、俺たちの関係性を二次創作として小説にしたものが掲載されたリンク先だった。
ファンの動向を知るためと言い訳しながら、密かに夜な夜なお世話になっているページでもある。
「仁人…それ…」
「ごめ、ごめん!見るつもりじゃなくて、電池切れそうなのが見えたから、じゅ、充電しといてあげようかなと思って、それで、俺…っ」
自分と俺の名前が表示された画面にふと目を走らせてしまったのだろう。
よりにもよって、そんな…濡れ場のシーンを開いたままで行ってしまった数分前の自分を殴りたい。
目の前には、手の甲で口元を隠して見るからに恥ずかしそうに動揺している仁人。
あぁ、、、やばい。
「あ、あのさ…はやとには、こ、こういうのよく届くの…?これ、前言ってた、DM…?」
「あ、う、うん…そう…」
しん、と痛いくらいの沈黙が部屋を包む。何か話さなくては、と思えば思うほど、頭が白くなって何も考えられなくなる。
それと同時に、目の前で膝を抱えて座る仁人の戸惑い恥じらう姿が、俺の理性に揺さぶりをかける。
今までそういった類いから守り続けてきた仁人が、生々しい性に触れてしまった様子に、今まで押さえてきた俺の中の欲が一気に溢れ出してくる。
仁人本人を前にして、小説の流れ通りに身体を暴かれて、淫らに快楽に悶えて震える姿を想像する。
きっとそれを感じ取ったのだろう。
俺を見る仁人が緊張の面持ちに変わった。
「じんと…」
「っ!!」
ギシっと仁人の横に片膝を乗せて、その体を挟むように両手を背後の背もたれにかける。予想以上に切羽詰まった俺の声に、仁人はさらに体を硬くさせた。
初心な反応に興奮を掻き立てられた俺とは反対に、見上げてきた仁人の顔には、困惑したような、どこか怖がっているような、軽い拒絶の色が浮かんでいた。
その様子を視界の端で捉えながらも、もういっそ口付けてしまおうかと、熱で沸く頭のまま、強引に顔を近づけると、手に握っていた俺のスマホでガードされた。
「……嫌?」
「……ご、ごめっ、俺、」
合わない目が、左右に宙を泳ぐ。
だんだんと溜まりはじめた涙が、瞬きにより頬へと溢れ出した。
「こ、こんなことまでと、思ってなくて…っ、ごめん、…お、れ…で、できな…っ」
目の前で泣き始めてしまった仁人に、庇護欲を掻き立てられながらも、俺は思考を止めない。
はいそうですかとは出来ない。
「いいよ、仁人。俺のほうこそごめん、もう今日は寝よう」
「っ…はやと…?」
簡単に離れていく俺に、素直に驚きの声をあげる仁人。シャツを掴もうとして、一瞬躊躇って、その手はオレに届くことはなく大人しく下ろされた。
「い、いいの…?」
「もちろん、仁人の気持ちが一番大事だから」
とびきり紳士の表情を作って見せた。
それに仁人からふたたび安心したような安堵の微笑みが溢れる。
「あ、ありがとう…」
その可愛らしい顔を眺めながら、俺もおやすみと告げて、部屋の明かりを消した。
コメント
3件
💛ちゃんの無自覚色気に耐えしのぐ🩷さん😖頑張れ、でも💛ちゃんが応えてくれるといいなぁ🥹

仁人が可愛い!でも勇斗つらそ〜
あんこさん、第2話読ませていただきました。勇人が仁人を想いながら必死に理性を保ってる姿に胸が締め付けられました…。お風呂上がりの仁人が無意識に見せる色気と、そのあとのDMを見てしまった気まずい空気。二人の距離感が絶妙で、読んでるこっちまでドキドキしました。「仁人の気持ちが一番大事」と言いつつ葛藤する勇人の内面描写がとてもリアルで、続きが気になります!