コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
《日曜日、痛見の家にて》
「なぁ、痛見。」
「なんだどろりィ。」
「おまえが薦めてきたこの《バカラカラ》ってゲーム。」
「オゥ。」
「…..めちゃめちゃクソゲーじゃね?」
どろりのスマホ画面には『You Lose.』
という 文字が表示されていた。
「そうだなどろりィ…….だがそれが良ィッ!!!!」
「わかるぅぅぅぅッ!!!!!!!!」
そう言って二人はガチッと握手をした。
痛見とどろりはすっかり仲の良い友達に
なっていた。
彼らはしばらく、《バカバカラ》をやったり
スマブラをやったり、能力ありの死闘をしたりした。
「てかどろりィ!!!!おまえのその消えるやつ
ずりぃんだよォ!!!!!それ禁止にしようぜ!!!!!!」
痛見がどろりを高速で殴り続けながら
言った。
「ハァ!!!???おまえの歯ァ砕いて飛ばして
くるクソ技の方がずりぃだろ!!!!いてぇし
くせぇしなんかべっちゃりするしでまじで
やめろよなァ!!!!!!」
どろりがそれを躱したり弾いたり、能力
《独りんぼエンヴィー》で姿を消したりしながらそれを捌き続けた。
「臭くありませんんんんんん!!!!!!!
親が歯科医師だから毎日毎回歯磨きしてますぅぅぅぅ!!!!!」
痛見がそう言って蹴り技を放った。
「シャァッ!!!!脚払いッッッ!!!!」
どろりはそれを躱し痛見の足を払った。
「しまッッッとでもいいと思ったかどろりィィィィッッッ!!!!」
痛見、骨をボキボキいわせながら無理矢理
身体を 捻った。
そしてどろりの背中を打ち、
どろりを捩じ伏せた。
「オッシャァッッ!!!!俺の勝ちィィィ!!!!!!」
痛見はそう言ってガッツポーズを取った。
痛見の身体はすでに完全回復していた。
「ゼエッ….ゼエッ…..やっぱずるいって、
お前の能力……..。」
どろりは汗を垂らしながら言った。
《夕暮れ時にて》
「じゃあなッどろりィ!!!!また激辛担々麺食い行こうぜぇッ!!!!」
「死んでもごめんだ。」
どろりは帰り道を歩いた。
痛見の家はド田舎の米津町のさらにドドド田舎、山の奥に あった。
「こえぇんだよなぁここ…..なんかずーっと
虫の声するし……あいつ、クマと毎日闘ってたっていうけど本当かなぁ…….。」
ふと、どろりは郵便ポストを見つけた。
(妙だな…..こんなとこにポストはなかった
はずだ……道間違えたか?)
すると郵便ポストが、ややハスキーな女性の声で啜り泣きながら言った。
「たすけてください…….たすけてください
……..。」
どろりは辺りを警戒し、ポストに目を向けた。
能力者による罠の可能性があるからだ。
「たすけて……たすけてください……。」
郵便ポストは身体を震わせながら、
しくしくと泣いた。
どろりは悩んだ。
悩んで、悩んで、悩んだ末。
「すいません、ちょっと能力見ます。」
どろりはポストの頭と自分の頭をごっつんこ
した。
すると能力、《ODDS&ENDS》で
彼女の能力が分かった。
彼女の能力は《パラメーター》、限りなく
正確に近い統計を取る能力。
つまり彼女は何者かの能力者によって
ポストにされた被害者だ。
どろりの目の色が変わった。
必ず彼女をポストにした能力者を
彼の能力《メルト》で消すと心に誓った。
「あなたをポストにした能力者に心当たりは
ありますか?」
「ああ、それボクだよ。」
ふいに、どろりの背後から気配がした。
どろりは周囲を警戒し続けた。
しかしまるで気づけなかった。
どろりと、彼女をポストにした張本人、
ピノッキオ弟には、それほど隔絶された
力の差があった。
(攻撃すれば……喋れば……殺される
……..ッッッ!!!!!!!)
ピノッキオ弟が垂れ流す、殺気に、狂気に、
どろりの心はすでに折れかかっていた。
それでもどろりは言った。
「お願いします。…..彼女を…..彼女を戻してあげてくださいッッ……!!!!!」
どろりは何とか頭を下げた。
ピノッキオ弟はうーん、と悩んだ。
そして
「ごめんねぇ、これも人類の繁栄のためだから。」
と言ってどろりの顔以外を木に変えてしまった。
(……は?何を…..されたんだ…..?)
これはピノッキオ弟の能力《神っぽいな》の
効果……ではなく、ピノッキオ弟が能力者達を解剖•実験し、能力を今ある技術と彼の背後に隠れている複数の能力者達で再現した
ものだ。
彼が《神っぽいな》を使えば、少なくとも
米津町は滅ぶ。
その時だった。
どろりとピノッキオ弟の間を割って入るように 鋼鉄の身体をした男が空から飛んでやってきた。
「シリアスブレイカー参上ッッ!!!!
シリアス展開はッッ私が破壊するッッッ!!!!!!」
どろりの先輩、米津高校二年生のウルトラバカ、シリアスブレイカーだ。
シリアスブレイカーとピノッキオ弟との
間にも、当然果てしない力の差があった。
しかしシリアスブレイカーは彼をまるで
畏れていない。
何故か?
シリアスブレイカーが超がつくほどの
ウルトラバカだからである。
ピノッキオ弟は目を輝かせて言った。
「ピカピカの玩具ダァッッッ!!!!!!!!」
すると、シリアスブレイカーは
小さなロボットのような姿になった。
「シリアスブレイカー……先輩。」
どろりは考えた。
手の平で触れさえすれば 自らの能力《メルト》で、もしかしたらあの狂人を消せるかもしれないと。
(…….どうやって?
…….無理だ。
……..いや、考えろ考えろ、僕が考えなきゃ
最悪今ここで全員死ぬ!!!!!! )
どろりは恐怖の中で、必死に頭を回し続けた。
ピノッキオ弟はロボットの姿をしたシリアスブレイカーを手で拾い。
チョコのようにペロリと舐めた。
そして、味を分析した。
「おお!!!!すごいねぇ君ッ!!!
まるでiPS細胞のようにどのような金属にも
なりうる全く新しい金属ッッッ!!!!!!!
しかもすごくしなやかだぁぁ美しいッ。
これ使えば携帯は5Gから13Gぐらいは
進むぞッッッ!!!!!
君ッ、どうやってこんなすごい能力を
身に付けたんだいッッッ!!!!?」
ピノッキオ弟はシリアスブレイカーに 頬擦りとペロペロを高速で繰り返しながら 言った。
「シリアスッッ、日アサの仮面ライダーと戦隊ヒーローで変身を覚えたッッッ!!!!」
シリアスブレイカーは元気に言った。
「へぇ、いいねぇボクも見よっと。
君の身体をちょい削っていいかい?」
「いいともッッ、ただこの身体だと明日学校いくのにシリアスだからもどしてくれッッ!!!!」
「いいよー。」
ピノッキオ弟は軽く小刀でシリアスブレイカーの身体をちょっと削った。
ポンッとシリアスブレイカーは元に戻った。
どうやら大怪我はしてないようだ。
「ふんふんふーん、これだけあれば
いくらでも増やせるねぇ。これは相当
繁栄ポイント高いんじゃないのォ???」
なんかくねくねしたキショイ動きをしながら
ピノッキオ弟は言った。
その時だった。
「ゴォラァ!!!!ピノッキオォォ!!!!また
余所様に迷惑かけやがってぇぇぇ!!!」
そういってピノッキオの兄が姿をあらわした。
なぜだか分からないが周囲の草木が枯れた。
「あ、兄さんまた国消しちゃってんじゃん
うけるー。」
「誰のせいだと思ってんだピノッキオォォ!!!
今すぐこの二人を戻せぇぇ!!!
あと毎回俺の人妻コレクションをキメラに
すんのやめろやぁぁぁ!!!!!」
「ごめんごめん、これも人類の繁栄のためだよ。」
「それそんな便利ワードじゃねぇからな?
今すぐ戻せぇぇッッ!!!!」
「ほいほーい。」
どろりとポストは元の姿に戻った。
「オラァッッ!!!!お前は先帰っとけ!!!!
俺はこの人らに謝るからァァ!!!!」
「はいはーい、さ、帰ってけんきゅー
けんきゅー。」
ピノッキオ弟はウキウキで帰っていった。
ピノッキオ兄は申し訳なさそうに三人に
頭をさげた。そして頭を戻しポリポリ頭を書いて言った。
「あーーー、その、なんだぁお前ら。
あのアホに巻き込まれて災難だったな。
あいつまじで悪気ねぇんだ。だから最悪
なんだけどよォ……。」
ピノッキオ兄はぽりぽり頭を書いた。
どろりはその姿から、彼の並々ならぬストレスと苦労を感じた。
「お詫びってわけじゃないが …..お前ら甘いもんは好きか?これ、俺の人妻コレクション達が作った人妻キャンディーだ。それじゃぁな、弟には後できつく言っとくわ。ほんとすまなかったな。 」
なんか甘くてエッチな匂いのするキャンディーを 渡されたまま、どろり達はぽかんと口を開けた。
気づけばピノッキオ兄はどこかに消えていた。
気づけばもう夜だった。
じっとりとした風が吹いた。
「助かったのか…….?」
どろりは人妻キャンディーを口に加えて言った。
「シリアスッッ!!!シリアス展開は、どうやら
破壊されたようだなッッ!!!」
そうやってシリアスブレイカーはニカッと
笑った。
「たすけてくれてありがとう。わたじ、もう
闇バイトなんかに応募せずに真面目に働くね
……..。」
ポストからくたびれたスーツを着た美女に
変わったおねぇさんは泣きながらそう言った。
「シリアス!!私は彼女を家まで
送り届けてくるッッ、どろり君もどうだい!!」
そう言ってシリアスブレイカーは飛行機の
ような姿になった。
「ありがとうございます。でも、歩いて
帰ります。」
「シリアスッッ!!!それじゃぁまた学校で会おう
!!!!」
そう言ってシリアスブレイカーはおねぇさんを乗せて飛んで言った。
どろりは帰り道を歩きながら
(帰って宿題しないとな ……。)
と、人妻キャンディーを口に加えながら
思った。
(最後まで読んでくださりありがとうございました。)