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高地を連れて京に戻ってきた慎太郎。道場の仲間に紹介しようとやってきたが、いるのは北斗と大我だけだった。

「樹はおらぬのか? 珍しいな」

そうなんだよ、と北斗が云う。「今日は姿を見ておらん」

ふうん、とうなずいて後ろの高地を振り返る。

「俺の幼馴染の優吾。これからこの道場で武術を習うことになった」

よろしくお願いします、と頭を下げる。

「勿論」と北斗は笑った。「此方こちらこそよろしく」

そして二人も自己紹介をした。

「では早速」と大我は竹刀を持って立ち上がったが、慎太郎が制す。

「新選組の屯所に行かねばならないんだ。近藤さんに話をするから」

「また参ります」

高地が云って、二人は出て行く。

「折角新たな相手ができたと思ったのに」

大我は少しばかり不服そうだ。「北斗、相手をしてくれぬか」

しかし、声を掛けられた北斗は逡巡するように眉尻を下げた。

「うーん、彼奴あいつが来んことはおかしい。一度様子を見てくる」

そう云って立ち上がる。大我は、「気を付けて」と見送った。



「おーい樹ー、おるのか?」

長屋の引き戸を開けて、北斗は中へ踏み込む。樹の自宅に来たところだ。

「…北斗?」

奥のほうで声がした。下駄を脱いで上がり、床の間の襖を開ける。樹は畳に座って刀を研いでいた。

それを見て、北斗は暫し固まる。

「……如何したのだ」

「昨晩、任務があったんだ。大名屋敷に忍び込め、という。護衛には見つからなかったので…油断していた。甲賀が先にいたんだよ」

甲賀、と北斗は繰り返す。

「ああ。甲賀衆の奴らに見つかって、手裏剣を投げられて…」

樹は右腕の袖をまくり、軽く掲げて見せる。布が巻かれていた。

お主は甲賀ではないのだな、という発見は心の内にしまっておいた。「大事ないのか」

ああ、とうなずいてみせる。「掠り傷だ。何ともない」

「……ならば道場に来てはどうだ。皆案じておる」

樹は薄く笑う。

「刀は振れぬ…。治ってから行く」

そうか、と顎を引いて北斗は踵を返す。しかし立ち止まった。

「……おまえは、一体何処の流派なのだ?」

何処でも良いだろう、という声がする。「この事、皆には云わないでくれ。案じさせたくない」

北斗は何も云わずに戸口へ向かった。

風魔ふうま党」

「はっ?」

風魔――それは、戦国時代に北条家に仕え、滅亡後は盗賊として暴れていた集団。その首長であった風魔小太郎の名は京にまで轟いている。しかし、江戸幕府に捕えられ、処刑されたはずだった。

「の、子孫だった。だが捕縛の目が厳しくなり、此処に逃げて来たところ、伊賀のお方が俺を見込んで組み込んでくれたんだ。だから今は伊賀。俺は自由な伊賀や甲賀のほうが向いていたかもしれぬ」

「そうか」

京の町で、道場の師範を目指していた北斗。忍びの仕事の片手間に町をふらりと歩いていた樹。そんな二人は出会い、竹刀を交わした。そこにやってきた仲間たち。

「おまえがいなければ張り合いがあらぬ。早く来い」

御意、と樹は笑って答えた。



Happy Birthday Jesse!!!!!!

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