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【ーーーーーーーーーーーーーーー』
朝日が昇りかけたころ、薄明るい光がグラウンドを包み込む。
「……む、ここは……のじゃ?」
ルカが目を覚ましたのは《モルノスクール》のグラウンドの中央だった。
「なんじゃ……これは?」
そこには、数えきれないほどの人々が倒れていた。老若男女、そして服を着ていない者も多い。
「ふむ、裸の男、女……」
そしてその中には、見覚えのある顔もあった。
「どうやら、アドベンチャー科のやつらもおるようなのじゃ」
クラスメイトたち——今まで失踪していた者たちも、そこに居た。
「とりあえず、ギルドに報告するのじゃ」
【ーーーーーーーーーーーーーーー】
ルカが連絡を入れて数分後。
《ミクラル》の騎士団やギルドの者たちが次々と現場に到着し、まだ目覚めていない人々を運び出し始める。
その中心で指揮を取っていたのは、ミクラル代表騎士《ナオミ》だった。
「……妙だな」
彼女は、手元のリストと照らし合わせながら、眉をひそめる。
「ここ最近、集団で行方不明になった人々が、全員ここに居る。なのに、その身体はまるで何年も動いていなかったかのように衰えてる……」
「こりゃ、まるで時間の進みが違う所に居たって感じだね」
小さく息をついて、ナオミはまた倒れている人を担ぎ上げる。
騎士たちも黙々と作業を進めるなか、誰もがその“違和感”の正体にたどり着いていなかった。
だが、真実はすでに起きていた——
【人間に変身していた吸血鬼と、吸血鬼に食料として囚われていた人間の全てが“入れ替えられていた”のだ』
何年も食糧として生かされていた人間はこの日この時間から自由に解放された。
だが、すべてを【戻した者』——その本人だけは、もうこの場には居なかった。