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りょん.
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# m .🪄
21
m「く、んぅ」
w「ふ、笑ほら、力抜いて?」
m「んぁ、ぅ”ッ、く」
若井の指がそっと大森の髪に触れる。
梳くようにして撫でるたび、指の間からさらりと柔らかく零れ落ちる髪を若井は愛おしそうに見つめた。
大森は、その優しい瞳が好きだった。
もっと言えば、彼自身のことが何よりも好きだったからかもしれない。
二人の視線がどこからともなく絡み合う。
熱に浮かされるように身体を合わせ、大森が若井の首にその白い腕を回す。
そうしてぐいっと顔を近づけると、フローラルの甘い香りがした。
当然、その匂いの持ち主は大森の知るところではない。
大森は若井の手を取りそっと自身の頬に寄せると、縋るようにその名を呼ぶ。
m「ねぇ、わかい」
w「ん、どした?」
ふっと優しく微笑む。
その温もりを横たえた表情に、凍えそうな心がじんわりと解凍していくのを感じた。
それが決して自分だけに向けられる表情ではないと知っていても。
せめて今だけはと、繋ぎ止めるように言葉を紡ぐ。
m「いまね、ちゅーしたいの。だめ、?」
w「ふふ、今日は素直だね笑」
m「うん、だって」
ーだって、若井が好きだから。
w「目、閉じて」
言われるがまま大森はそっと目を閉じた。
若井への期待を胸に、くりっと長いまつ毛を震わせる。
形のいいふっくらとした唇は、むにっと遠慮がちに押し出され、それがまた愛らしさを強調させていた。
高鳴る胸が最高潮に達した瞬間、
ふにっと優しく頬を摘まれる。
触れられた場所は、大森の予想とは遥かに異なるものだった。
m「えっ」
驚きで目を見開く。
長いまつ毛に縁取られた、まるで小動物のような面影を感じさせるその丸い瞳は、困惑の色に満ちていた。
m「な、ん……」
打ち砕かれた期待は、大森の瞳の輪郭をじわっとぼかしていく。
w「あ、そんな顔しないでよぉ。」
やれ困ったという表情で、若井はまるで幼児を相手にしているようにあやす調子で大森に話しかける。
w「ほら、…前にも言ったでしょ?そういうのは好きな人としたほうがいいって」
その声色は極めて優しさを帯びたものだったが、暗に自分は好きな人ではないと言われた大森の心には、その優しさが酷く冷たく感じられた。
m「ひっ、ぅぐ」
一度決壊してしまった理性の奥から、言葉にならない感情が涙となって溢れ出す。
ぼろぼろと大粒の涙を流しながらただ若井の胸元で泣き続ける大森に、若井はそっと話しかける。
w「ねぇ、どうして泣くの?」
泣く原因をつくった張本人が何を言っているんだと、大森は回らない頭の片隅で静かに怒りの感情が湧く。
m「っそんなの、……自分の胸当てて考えてみたらいいんじゃない。」
瞬発的に出てくる言葉は大森自身でさえ驚くほど可愛げのないものだった。
けれど一度ついた勢いは止まることを知らず、一気に言葉が溢れ出す。
m「てか、もうおしまいにしよ。こんな下手に慰められたってしょうがないし。」
若井はただ何も応えず、じっと静かに大森の一挙一動を見つめていた。
ただ、大森の腰に回した腕が決して緩むことはなかった。
m「あ、離してよ?暑苦しいんだけど、」
そう言えば、ぱっと腕を離す。
あまりにもあっさりした対応に、どれだけ言葉を重ねても大森の心には悔しさが滲んだ。
下を履き上のシャツを着たところで、ふっと自嘲を含んだ言葉を投げつけた。
m「変に真面目だからなぁ、だいぶ損しちゃった。」
しかしあまりにも反応がないので、ここまで言われたら一体どんな顔をしているのかと、ふと横目に若井を見やる。
すると、そこにはまるで幼児の癇癪でも見守っているかのような若井の顔がただ大森の瞳に映されていた。
w「ふふ、黙ってたらこれだもの。……しょーがないなぁ。」
若井は有無を言わさない態度でぐっと大森の腕を掴み、耳元でそっと呟く。
w「ねぇ、…おれがもときのこと好きなの、気づいてなぁい?」
声は軽く笑うような調子だけれど、その眼はまっすぐに大森を見つめていた。
一方大森は、その「好き」という文字が存外すっと胸に落ちたことで、欠けたパズルのピースが急速に揃っていくような痛快さが全身を駆け巡っていた。
そしてその文字を完全に理解した瞬間、自分の気持ちと先ほど言ってしまった言葉への後悔が入り混じり、どうしようもない気持ちになる。
m「ぁ。…ぇ、そういう、こと、、」
w「ところでさぁ。下手に慰められたってーとか、離れてーとか、暑苦しいーとかさぁ、」
w「あれ、悲しかったなぁ。」
若井は、わざとらしくしおらしい声を上げた。
m「ぁ、…ぇと。っおねが、ぃ、ゆるしてっ」
若井の着ているパーカーの裾をきゅっと握る。
w「ん、じゃあさ」
ちゃんと好きって言って、キスしてよ。
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