「あっ、ん……」
初めて知る感応に、自分のものじゃないみたいなあられもない声が口をついてこぼれた。
「そんな声を出されたら、止められなくなりそうだ」
耳にぴったりと唇が付けられ、低く抑えられた声音で告げられて、
恥ずかしさに顔をうつむけて、無言でふるふると首を何度も振ると、
「少しいたずらが過ぎたかな。ここまでにしようか」
温かな手の平で、頭が優しく撫でられた。
結ばれたタオルがするりと解かれ、膝裏に差し込まれた片腕で、座るようなかっこうで抱え上げられる。
「いたずら……って、もしかしてお仕置きだなんて、嘘で……」
「ああ、ちょっとしたお遊びのつもりだったんだが、君の反応が可愛くて、つい本気になってしまって、悪かったな」
「ううん、悪いだなんて……。だって、私も本気にさせられてしまったもの……」
口にするそばから恥ずかしさが募り、彼の肩に顔を伏せるようにして首筋にぎゅっと抱きついた。
「ああ、そんなに可愛らしい顔をされたら、もっとキスがしたくなるな。顔をこちらへ向けてごらん」
鼻先が触れる距離で顔を突き合わせると、下から掬い上げるように口づけられて、しっとりと濡れた舌が唇を薄く割り、口内へ挿り込んだ。
「……ん、ぅ……」
唇を咥え込むかのような激しさで、キスが繰り返される。
「……だめ、感じちゃうから。だから……」
「もっと、感じてくれていい。感じるだけ、もっと好きになるだろう?」
「……ん、もう、これ以上は、好きになれないくらいに、あなたが、好きだもの……」
途切れ途切れに告げると、
「……ああ、好きだよ、私も……」
応えるように、何度目かの口づけが落とされた。
絡め取られる舌が湿り気を含んで、口の中で甘いチョコみたいに蕩けていくようにも感じる。
レストルーム内で、いつまでも離れがたくキスをしていたら、
「──もう、起きられたのですか?」
と、華さんの声が廊下から聞こえてきて、反射的に身体を離した──。
コメント
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華さんタイミングが良いんだから悪いんだか😆