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──朝の食卓に並んで着くと、「だいぶ遅いお目覚めでしたね?」と、華さんからちらりと視線が寄越された。


「うん、ああ…ヒゲを剃っていてな」


蓮水さんが軽く咳払いをして、コーヒーの一口をごくりと飲み込む。


「ヒゲをですか? けれど、陽介様がいつもヒゲを剃るようになられて、ちょっともったいないような気もされていませんか? ねぇ、三ッ塚さん」


ふいにそう話を振られて、「は、はい」と、慌てて返した。


「ヒゲもとてもお似合いでしたのにねぇ?」


「えっ、ええ、はい」


鏡の中の髭を剃る彼の顔を見つめながら自分でも思っていたことが、華さんから告げられてドキリとする。


「三ッ塚さんは、陽介様がヒゲを生やされているのといないのとでは、どちらがお好きですか?」


一瞬どう言おうか迷って、「どちらもです!」と、答えた。


「……どちらも、その、素敵ですから……」


照れ隠しにコーヒーを含んで口にすると、


「まぁ、お熱いことで」


華さんからどこか含むような物言いが返されて、きっと何かしら察しているのだろうなと思うと、ますます照れる羽目になった……。


ダンディー・ダーリン「年上の彼と、甘い恋を夢見て」

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