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#青春
十色
319
バガラジー
41
240
京太郎@ドラマ部門1位獲得
2,162
午前中の準々決勝、四試合が終わり、昼休憩に入った。
俺たち七人は、天宮記念ホールのカフェテリアでテーブルを囲んでいた。
午後の部からは、いよいよ準決勝が控えている。
あと1回、勝てば全国大会出場が決定する。
だというのに、久条亜里沙の表情はどこか冴えない。
奏:「女王様、いつもの自信満々な雰囲気がないな・・・」
ミラー:「女王様の戦法は、その場の空気と感情を支配すること。全く違うタイプとどう戦う?」
久条は、マグカップの縁を指先で静かになぞりながら、ぽつりと呟いた。
「私の感情を揺さぶるやり方は、あの本田将也に通用するのかしら。
あの論理の怪物を、私の世界に引きずり込めるかどうか──そこに自信が持てないの」
その声には、いつもの女王然とした覇気はなかった。
その強さが仮面ではないと知る俺たちですら、一瞬だけ呼吸を飲むほど、脆くも人間らしい言葉だった。
その一言に、テーブルが一瞬、静寂に包まれた。
最初に声をかけたのは、やはり結城莉奈だった。
彼女は柔らかな微笑みを浮かべながら、そっと久条の肩に手を置いた。
「亜里沙。午後の本田とかいう相手。ちょっとだけ手強そうね。でも大丈夫よ」
その言葉に柴田が拳を握って言う。
「そーだそーだ!亜里沙ならイケるって!あんな感情ゼロのロボットなんか、亜里沙のトークで秒殺だよ!」
斎藤も静かに頷く。
「もし人間に心がなかったら、論理だけで勝てるさ。でも違うだろ?
ディベートは人間が評価する。心を揺さぶるのは、君だよ、亜里沙」
これまで黙っていた山中がおずおずと口を開いた。
「そ、そうですよ。久条さん!あの本田ってやつの話は、退屈っていうか、つまんないですよ」
その山中の言葉に柴田が乗る。
「確かに、客を引き込む力が少し足りてないかもな。てことは?やっぱ亜里沙の勝ちじゃん!」
仲間からの温かい激励。
その言葉が久条の胸に、少しずつ熱を取り戻させていく。
彼女はすっと顔を上げ、ゆっくりと口角を上げて微笑んだ。
結城莉奈は、そんな久条の顔を見つめながら、そっと囁く。
「それに・・・これは亜里沙の力を証明する、最高の舞台じゃない?」
女王の瞳の奥に、再び炎が灯るのを俺は確かに見た。
「ええ。さすが莉奈、よくわかってる。少し目が覚めたわ。私は私のやり方で、あの機械人形を壊してあげる」
その眼差しには、もう迷いはなかった。
そこにあるのは、ただ勝ち続けてきた女王としての光だけだった。
コメント
1件
いやあ、第75話、めちゃくちゃ熱かったですね…!普段は絶対的な女王様である久条さんが「自信が持てない」と弱音を吐くシーン、思わず息を呑みました。でも、結城さんや柴田、斎藤たち仲間の一言一言が彼女の心に火を灯していく流れが本当に美しかった。あの「機械人形を壊してあげる」の台詞、女王帰還って感じで痺れました!準決勝、絶対勝ってほしいです🔥