テラーノベル
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3話目もよろしくお願いします!
童話風に書いているのでレトルトの喋り方は関西弁は出さずに書いています。
『』レトルト
「」キヨ
スタートヽ(*^ω^*)ノ
レトルトは走りました。
その涙を隠すように、雨は容赦なくレトルトに降り注ぎます。
かつて大好きだった森を抜け、 見たこともない景色を横目に、ただひたすら走り続けました。
どれほど走ったのでしょう。
ふと振り返ると、
追ってきていたはずの家来の姿は、もうどこにもありませんでした。
レトルトは見知らぬ麦畑の中をふらふらと彷徨い続け、 やがて力尽きるようにその場に倒れ込みました。
雨が顔に打ち付け遠のいていく意識の中で、 レトルトは父と母の姿を思い浮かべていました。
レトルトは夢を見ていました。父と母に、優しく抱きしめられている夢。
「あなたは、私たちの宝物よ」
「愛しているわ。またね」
そう言って、微笑みながら遠ざかっていく両親。
「行かないで……!父さん!母さん!
ひとりにしないで……!」
必死に手を伸ばしても、 その姿はまるで霧のように指の隙間から消えていきます。
「お願い……! 行かないで――!」
叫びながら、
レトルトはハッと目を覚ましました。
⸻
「おーい、大丈夫か?」
目を覚ましたレトルトの視界いっぱいに、 ひとりの少年の顔が映りました。
『……ここは……?』
頬を伝う涙を拭いながら、 レトルトはゆっくりと体を起こしたずねます。
「俺の家だよ」
少年はあっけらかんとした声で答えました。
「お前、俺んちの麦畑に倒れてたんだ。
びしょびしょでさ」
「俺がおんぶして、ここまで連れてきたんだぞ? 感謝しろよな?」
そう言って少年は、
にかっと大きく笑ってみせました。
『ありがとう』
そう言ってレトルトはゆっくりと辺りを見渡しました。
そこは城とは似ても似つかない場所でした。
粗末な木造りの家。
家具と呼べるものは、机と椅子、それから小さな棚がひとつ。
寝かされていた布団も、ところどころ擦り切れた古い布でした。
けれど――
その部屋には、不思議とあたたかさがありました。
窓から差し込むやわらかな日差し。
風に揺れる白いカーテン。
どこからか漂う花の様な甘い香り。
そして、 目の前でにかっと笑う少年。
色を失ったレトルトの世界の中で、 その少年はひどく鮮やかに見えました。
眩しいほどに明るく、そして あたたかく。
まるで、灰色の世界にかかった虹 のようでした。
「お前、名前は?」
少年はきらきらとした目でレトルトを見つめながら尋ねました。
レトルトは、ほんの少しだけ唇を動かし 小さな声で答えます。
『……レトルト』
すると少年はぱっと顔を輝かせました。
「俺はキヨ! よろしくな!」
まるで太陽みたいな笑顔でした。
レトルトは、その眩しさに思わず目を細めます。
「――っていうか、お前、汚ねぇな!」
キヨはけらけら笑いながら、 レトルトの服を指差しました。
「川に水浴びしに行こうぜ!」
そう言うなり、
キヨはレトルトの手をぐいっと掴み、 ベッドから引っ張り出したのでした。
レトルトは何も言わず、 キヨに手を引かれるまま川へと連れて行かれました。
川辺へ着くと、 キヨは何のためらいもなく服を脱ぎ捨て あっという間に裸になり川へと入っていきます。
その姿にレトルトはただぼんやりと目を向けるだけでした。
そして、キヨを追うようにして 自分も静かに服を脱ぎ始めます。
振り返ったキヨが、 はっと息を呑んで目を見開きます。
「……レトさん、その模様……」
レトルトの白い肌に浮かぶ、 黒く不気味な模様。
両腕を覆い、 胸元にまで広がり始めているそれは 隠しきれるものではありませんでした。
レトルトは、光のない瞳でキヨを見つめ返します。
けれど――
何も答えませんでした。
その模様を見た瞬間、 キヨの脳裏に村で囁かれていた噂がよぎりました。
――体に浮かぶ模様の呪い。
その呪いにかかると
人の心は少しずつ失われていく。
喜びも、悲しみも、怒りも。
何も感じなくなっていき、 やがて人形のようになるのだと。
そして――
その模様が全身に広がったとき、 その者は死ぬ。
そんな、恐ろしい噂。
(……あの噂は、本当だったんだ)
キヨは、ごくりと息を呑みました。
確かにレトルトの瞳には光がありません。
無気力で、
言葉もほとんど発さず、
ただそこに立っているだけ。
まるで、本当に。
――人形のようでした。
キヨはそれ以上何も言わず、 ただそっとレトルトの手を引き、 川の中へと導きます。
そして、自分の体を洗い始めました。
ばしゃ、ばしゃ、と。
水をすくう音だけが、静かな川辺に響きます。
ふと顔を上げたキヨは、 怪訝そうに眉をひそめました。
「おい!レトさん! 何突っ立ってんだよ!
早く洗えよ!」
けれど、レトルトは ただぼんやりとそこに立っているだけでした。
キヨは、ははっと吹き出します。
「……しょうがねぇなぁ!」
そう言って水をかき分けながら レトルトのもとへやって来ました。
「洗ってやるから、そこ座れ!」
キヨが指差したのは、 川の中にある大きな岩。
レトルトは何も言わず、 ただ静かにそれに従います。
ちゃぷ、と小さな音を立てて、
岩の上に腰を下ろしました。
キヨはじゃぶじゃぶと、 容赦なくレトルトの頭から水をかけ始めました。
冷たい水がレトルトの体に こびりついていた汚れを洗い流していきます。
何度も何度も水をかけ、 髪を撫でるように洗い終えると――
キヨは、ぱっと目を輝かせました。
「……わぁ! レトさんの髪の毛、きらきらだな!」
陽の光を浴びたレトルトの髪は、 金色にきらめいて見えました。
「俺んちの麦と同じ色だ!」
「すっげぇ、綺麗だな!」
キヨは嬉しそうに笑いながら、 次々と言葉をこぼします。
けれど――
レトルトは相変わらず、 何の反応もせず
ただ、ぼんやりと川の水面を見つめていました。
その瞳には、まだ何の色も映っていないようでした。
続く
コメント
4件

ァ"ァ"ァ"ァ"ァ"ァ"ァ"ァ"ァ"ァ"ァ"(ブレーキ音) 髪の毛を麦畑の色に例えるのすごく素敵です⟡.·*. キヨの明るさとは裏腹に、レトさんのモノクロの対比が、美しくもあり、切なさもある感じになってて泣きそうです( ¯꒳¯̥̥ ) よし、これで明日も頑張れそうです( ー̀֊ー́ )و🔥

キヨォォォォォォ!?!?!?!?!?つ、ついに救世主たる者が…!!キヨ!レトさんを救うんだァッ!!!!応援してるからなぁ!!!
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