やだ。嫌だ。
俺を、
俺以外を、瞳に映さないで
好きにならないで___
衝動に駆られ奏斗を押し倒した。驚いたように目を見開いている奏斗の唇を奪う。
さっきより、頭がクラクラして回らなくなってきた。でも、いいや、どうでもいい
「ッひば!?なに、してッ…っ、ッ、?なに、この匂い…ッ」
奏斗は焦ったように鼻を塞いで、俺から離れようとした。
『逃げんでよ、奏斗…ッ、……ね、』
「ッ…!!」
奏斗に甘えるように頭を擦り寄せた
ピクリと奏斗の動きが鈍る。息の音が聞こえて、心臓の音を聞く
無意識に腰を揺らしてしまっている自分が急に恥ずかしくなり奏斗に視線を向けた
その時だった
『ッ、え…っ、かな、とッ…、?ん”っ!?』
急に押し倒されたと思ったら、乱暴に口を塞がれた。あまりの展開に思考が止まる。
薄く開いた唇から奏斗の舌が入り込んできた
『んッ…あ、ふッ、ぅ…あ、…っ、んぅッ』
「ッ…は、…ん、ふ……雲雀、」
奏斗と目が合った。いつもの綺麗な瞳とは違う、雄の目をした奏斗に恐怖を感じる
『っ、…奏斗、?……な、っ、え、!』
その綺麗な唇がゆっくり開き、歯が見える
ゆっくりと近づいてくる。俺の首筋に顔を近づけた。その瞬間、ぞわりと背中に冷や汗が伝う
フワフワとした頭の中でその行動の意味を理解した。うなじを噛もうとしていると俺の頭は判断した
咄嗟の判断で手でうなじを隠す。
『ッ、まって、奏斗…ッ、そこはだめやって!』
「手、邪魔」
温度のない声でそう言われ、ドクリと心臓が鳴った。
『まっ……やだ、ッ……やめ、ッ』
グッと俺の腕を掴んで引き剥がした。
声が震えて力が入らない
いつもの奏斗じゃない、嫌だ、怖い
そんな事を考えてるうちに奏斗の顔がどんどんと俺のうなじに近づいてくる
もう何も力が入ってない手で軽く奏斗を押した
『やだ、…かなと、…いや、ッ…』
ガリッと音がして、俺の目から涙が一粒溢れた
_srf side
“やだ、…かなと、______ッ”
扉の向こう側からそんな雲雀の声が聞こえた。_これはやばい。と、咄嗟に思いドアを勢いよく開ける
『ッ奏斗!雲雀!!______…っは、?』
「っ…ふー、ふーッ…!」
ブチブチという音と共に自分の手の皮膚を噛んでいる奏斗と目が合った。血がボタボタと雲雀に垂れていた。___どういう、ことだ?
『ッ奏斗、!!なにしてんの!!』
混乱した頭の中で、奏斗を雲雀から引き剥がす。奏斗の瞳はとっくに理性を失っていて、ふー…ふーっ、と荒く息をしながら、未だに自分の手を強く噛んでいた
雲雀もそれに気づいたのだろうか、奏斗の姿を見て嫌というほどに顔を歪めて目を見開いた
「ッ、は、奏斗っ、まって、おい!手ッ、手がッ…!」
その声も奏斗には届いていないのだろうか、今もまだ強く強く自分の手を噛んでいた。
もちろん、俺の声も聞こえていない
このままだと奏斗は自分の手を噛みちぎってしまうだろう
『…っ、ごめん奏斗。ちょっと痛いけど我慢してッ___』
荒治療だが、思い当たる方法がもうこれしかない。ギュッと握り拳を握り一つ息を吐く。
渾身の力を込めて、奏斗の頬を殴った
バキッと鈍い音がして、今何が起きているかを察する。奏斗の頬が痛々しく腫れ上がってセラおが殴って止めたのだと認識する。
次の瞬間、奏斗の瞳に光が戻って俺に必死に謝ってきた。混乱したように瞳を震わせて、言葉を必死に紡いでいた。
「ッ雲雀…っ、ご、めん俺ッ…!」
『ぃや、大丈夫やけど、お前、手がッ…』
痛々しく腫れ上がり、赤くなった頬を見て、手に視線を移した。
歯形がつき、血がダラダラと出ているその手を、俺はどんな顔をして見ればいいか分からなかった。
きっと奏斗は、俺を守るために自分の手を噛んでうなじを噛む事を防いだのだろう
__俺の、せいで。
『…ごめん、奏斗…』
震えた声で謝る。
奏斗の顔を見るのが怖かった、
_______________________
_そこからの記憶はあまり覚えていない。
その数分後ぐらいにアキラが来て、奏斗となにかを話していたことは覚えている。
あの後、アキラから抑制剤のクスリを貰ってそのまま家に帰った。パッとしない頭の中、風呂に入ってご飯を食べて、そのままベットに入った。
心とは裏腹に、ずくずくと疼く自分のナカに指を入れる。すんなりと入っていく指の感覚を感じながら、前立腺らしきところで指を曲げた
ピリッと刺激が走り、足がガクガクと震える
『ッ…あ、…っふ…』
自分の口から変な声が漏れる。吐息も全部消すように枕に顔を埋めた
ぐちゅぐちゅと卑猥な音が部屋に響く
自分の指だけじゃ奥には届かなくて、少しだけ物足りない
『ぁ”…っ、…ん、…ぅ”……』
少し激しく指を動かして前立腺を刺激するも、ただピリッとした感覚が続くだけでイケそうもない。
_これが奏斗の指だったら、きっと、優しく奥を刺激してくれて、それで_
“雲雀、気持ちいい…っ、?”
『うぁ”ッ…♡ッ…』
ビリッと電流に似た快楽が身体中を駆け巡る
肩が震え、呆気なく果ててしまった。
そのまま、枕に顔を押し付ける
______結局、好きな人のこと、聞けなかった
あの後、聞く時間ならいくらでもあったはずなのに。聞いたら奏斗はきっと、答えてくれていただろう。
頭の中で何回も何回も聞く言葉を思い浮かべていたのに、俺の口は動かなかった。
いや、違うのかもしれない
_本当は聞きたくなかっただけだなんて。
奏斗の口から他の誰かの名前が出てくるのを聞きたくなかった。知って後悔するなら聞かない方がマシだなんて思ってしまったんだ。
それで、俺は自分を見て欲しくて、濃いフェロモンを出した。
そして、結局このザマ
奏斗のことを、心も身体も傷つけてしまった。俺が最初からフェロモンなんて出さなかったら、最初から奏斗の部屋に行かなかったら、きっと____________________
きっと、
『っ…うぅ、……ッ、ぅっ、』
こんな事にはならなかったはずなのに。
コメント
16件
今人生で一番楽しみなのこれですね。ほんとですよ!!信じてください!!2人はこれからどうなるんだろ……気になって夜も寝れない…
更新ありがとうございます‼️2人の気持ちが近づきそうで近づかない...🥹 話で描かれる心情が奏斗→雲雀への行き場のない気持ちから、恋心を自覚した雲雀→奏斗への気持ちに変わってるのめっちゃいいですね✨💕内容がLuNaさんの表現力でより引き立ってて最高〜〜🫶🏻︎💗これからも素敵な作品待ってます‼️応援してます🔥💪