地獄を見た
何度も、何度も
どうして
そう問う暇もなく
幸せだったものが、一瞬にして崩れ落ちたのだ
両親が殺され、ころんと離れることになって
恨まれようが、憎まれようが
あいつが生きていてくれれば、何でも良かったんだ
それなのに
目の前に広がる光景に、悟った
俺たちは、ずっと抜け出せない地獄の中にいるのだと
ドクドクと流れる血に、青白くなっていく顔
今腕の中にいるころんは、今にも死にそうになっていた
「……こっ……」
「ころん…?…なぁ…嘘やろ…目をさましてや、ころん」
ゆさゆさと揺らすが、ころんは目を瞑ったまま動くことはなく、カヒュー、と今にも消えそうな呼吸だけをしていた
ひんやりと、喉に冷たく尖ったものが触れる
それを辿って、上を見上げる
ころんを切り裂いた張本人の、黄金に輝く瞳が俺を映していた
「____…今、この剣で此奴を殺せば、お前を生かしてやろう」
逆光で、見えない顔
口角がニィっと上がった事がわかり、ゾクリと背筋が凍った
「…………ぁ……」
まるで、死ぬまでの暇つぶしの様に男は楽しげに笑う
「もちろん殺さなければお前も其奴も殺すがな」
ギラリと輝く瞳が、弧を描く
結局は
この地獄を抜け出す事など
出来やしないのだ
____________
橙side
「…………」
あの日を堺に、毎日見ている悪夢
幸せなど、続くことなんてないと、思い知らされたあの日の夢
昨日の夜から降り続けている雨は、激しくなり、窓を強く叩いていた
「自分を殺そうとした奴を、許してくださいなんて」
自分の手のひらを見つめる
「誰ができるんや…」
その手で目を隠す様に抑え、髪の毛を握りしめた
コメント
5件
続きは♡200〜
投稿ありがとうございます❣️ めちゃくちゃ楽しみにしてました!! 主様最高です!! 続き楽しみにしてます( *´꒳`* ) これけらも頑張ってください( •ᴗ•)و゙🔥