「そろもん!!」
仲間が、俺の名前を呼ぶ。
俺は目を見開いた。
この光景は…
俺が、飛び降りた時の…?
なんで、…?あれは、夢…?
なにかおかしい事が起こっているということだけは理解出来る。
まあ、問題ない。もう一度、同じことをすればいいのだから。
俺があの時みたいに、みんなにありがとうを伝えようと口を開いた。
「はる、」
「そろもん__っ!!!」
俺の話を遮ったのは……
「__あすた、、」
あすたはずかずかとこちらに近づいてくる。
俺が飛び降りた時と、違う……
「え、っちょ、あすた?笑」
「おいっ、ちょ、あすた!?」
はるてぃーたちも混乱しているようだ。どうやらあすたの勝手な行動らしい。
そして俺が落ちないように安全な所へ突き飛ばし__
パンッ!!
頬に熱い痛みが走った。
突然のビンタに、驚きが隠せない。
「…あす、」
「__馬鹿!!!」
俺より少し背の小さい、華奢な身体が俺の胸に飛び込んできた。
(__ッ、!/)
あすたさーん、?
ちょっと……、近くないですか…?
「…ばか、そろもんの馬鹿」
あすたは泣いていた。
俺のために泣いてくれていた。
「生きてる…!そろもん生きてる……!」
…少し、様子がおかしい。
普通なら『無事でよかった』とか、『何してるの』とか言うのがセオリー通りでは無いだろうか。
だけどあすたが俺にくっついて号泣している事実は目の前にある。
(…なんか…死ねなかったな、)
もしかして、これは夢なのか?
俺はもう死んでいて、天国…地獄か?で見ている夢なのか?
それか、走馬灯…?
あの時と違う結末に、俺の頭はクールダウンしそうになった。
それよりも。俺の最愛の人が
俺に抱きついているといこの事実の処理が先だ。
「あす、あす…」
やばい、舌が回らない。
「……今度は、生きてた…」
…え?
やっぱり、もしかしてあすたは…
あすたは、俺の耳元で囁いた。
「俺、2度目の今日なんだよね」
__やっぱり。
「あすた___俺もなんだよね」
あすたは少し驚いたように目を見開いた。だけどその後にわざとらしく頬をぷくっと膨らまして、
「…もう、死なせないからね」
「__ッ、!?//」
いや。ちょっとびっくりしただけだし。
「……んふ、媚びんなよ……笑」
本当はそんなこと、1ミリも思っていないのだけど。
「よかった、…そろもんっ!」
あすたがもう一度泣き叫んだ。
「そろもん!!」
「そろもんくん!!」
弾かれたようにはるてぃー達が駆けつけてきた。
その中でも1番泣いていたのは…
「そろ、もん…君さ、ぁ…ッ」
「__うたくん…」
意外だ。うたくんって泣くんだなぁ。いつもは整っている顔が、涙と鼻水でぐちゃぐちゃになっていた。顔も耳も真っ赤だ。
「…ごめん、心配かけたね、」
「いや…俺らこそごめん…話も聞かずに責めて…ほんとに、ごめん」
うたくんたちは、俺がみんなに責められてショックだったって勘違いしてるみたいだ。
でも俺は、ほんとに幸せなところで俺の人生を終えたかっただけだ。
でも__こんなに愛されてるのに、死ぬのは勿体ない。
何故か時間が巻き戻り、俺は死ねなかった…そしてこれは現実だ。だから俺のあの、飛び降りた時の勇気は水の泡になった。けど、俺は2日目の今日が来て本当に良かったと思ってる。
どういう原理なんだろう。
まあ、いいや。
「…よし!じゃ戻ろっか!」
今日、この事は…__
「俺らだけの…秘密だね。」
そう呟くと__俺の最愛の彼は、にこっと微笑んだ。
▶to be continued……
コメント
4件
えっっっ???好き、、、、神じゃん、、、、
あっ好き 毎度入り込める位の語彙力で本当に尊敬 そろもん君さぁを言ってるのがどストライク 5時!?絶対見るしめっちゃハート押しておくね
最新話は5時頃に公開します! 是非♡いっぱい押して待っててください✨️