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第9話「赫の残響、碧の決意」
📷 シーン1:地下通路の交戦
カムリン族の古い石造りの寺院の地下。その深部は軍の施設へと繋がっていた。
ナヴィスは黒いスーツに迷彩柄のポンチョを羽織り、慎重に足を進める。
ゼインは後ろに構え、黒のジャケットにフラクタル装置を装着した腕を光らせていた。
ギアは背負ったバックパックから、碧素ランプと検知装置を取り出して通路を照らす。
静寂を切り裂くように、金属のきしみが地下空間に響いた。
「来るぞ……」
ギアが低く呟いた瞬間、天井を破って赫軍兵団の自律兵が降下してきた。
「戦闘モード、起動する」
ナヴィスが腕を振り上げると、足元に青白いリングが走る。
「《サンクチュアリ・コード》、展開!」
柔らかな光のドームが仲間を包み、敵の銃火を受け流す。
📷 シーン2:赫軍兵団の強襲兵器
敵兵の装甲が弾け、内部から赫共産部隊の強化兵が姿を現した。
機械と碧素が融合した異形の肉体。碧族を模倣した人工体だった。
「ゼイン、右の装甲を砕けるか?」
「……やってみる」
ゼインの瞳が光を帯び、黒のジャケットがはためく。
その右腕に集まるのは《オーバーライド》の力。
《オーバーライド》
ゼインが地面を蹴ると同時に、敵の装甲の内部コードが強制書き換えられ、動作が一瞬鈍った。
「チャンスだ、ナヴィス!」
「《フォールトシフト》!」
一瞬で位置を入れ替え、敵の死角に移動したナヴィスが、逆手に持った小型爆弾を敵の関節へ。
「消えてろ、模造品」
爆音と共に敵が崩れ落ち、碧素の火花が天井まで弾けた。
📷 シーン3:すずかAIの警告
「ナヴィス、ゼイン、注意して。後方通路からエネルギー反応……かなり高出力」
すずかAIの声が、ナヴィスのイヤーデバイスから流れる。
少女のような優しい声だが、解析結果は冷徹だった。
「碧族由来のフラクタルが、外部から強制的に引き出されている」
「まさか……また“生きた碧族”を?」
ギアが顔をしかめ、装置の波形を確認する。
「その可能性が高いな。連中、まだやってやがる……!」
「目標更新。その実験中枢を破壊する」
ナヴィスが短く言い、すずかAIがすぐに新たなマップを投影した。
「経路設定完了。最短ルートは南西側、20メートル先の通気口から侵入可能」
📷 シーン4:突入、そして決断
通気口を破って突入した先には、碧族の少年が機械に拘束され、碧素を抜き取られていた。
彼の瞳はすでに虚ろで、命の光が揺れている。
「これが……赫軍兵団のやり口か……!」
ゼインが拳を強く握った。
「奴ら、兵器を育ててるんじゃねぇ。殺して、力だけ奪ってる……!」
ナヴィスは少しだけ視線を落としたが、次の瞬間、鋭く命じた。
「ギア、解除コード。ゼイン、守れ!」
「了解。《リバースバリア》!」
ゼインの腕が光り、侵入してきた敵の弾丸を反射する。
ギアが端末を展開し、光の軌跡を数本走らせた。
「ロック解除完了。あとは、お前が決めろよ、ナヴィス」
ナヴィスは拘束から解放された少年を抱きとめた。
「大丈夫。もう、お前は“碧族の道具”じゃない」
すずかAIの声が静かに重なる。
「ナヴィス。あなたがこの子を選んだこと、私は正しいと思うよ」