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手首に違和感を覚え、目が覚めた。
「ここは…」
何処なのだろう。
縄で括られている感覚があるが、
後ろで縛られているため なんとなく動きづらい。
おそらく拉致されたであろう自分は
床に放置され、
夏の今、その床のひんやりとした冷たさが
とても心地よい。
足は自由。
ためしにジタバタと動かしてみる。
幼少期に戻ったような気分だ。
小さい窓のある部屋に1人ぽつねんと。
落ち着かない。
コンコン。
ドアがノックされた、
助けが来たのだろうか。
「はぁい。」
ガチャッ
なんて律儀なんだ。
返事をしてから入ってくれる奴なんて、
今まで会ったことがない。
「ふふ、おかしな子。
君は誘拐されて、閉じ込められてるのに、
なんでそんなに呑気なの?」
なんと、優しい声のイケボだ。
艷やかな黒髪で、短髪。
真っ白な肌。
垂れ目で少し糸目にも見える。
猫のような、しなやかな体つき。
仕草も服装も大人びている。
爪には黒いマニキュア。
それに…
「そんなにジロジロ見ないでよ。
大丈夫。
私、銃は持ってないから、 まだ。」
そうか、なら安心だ。
「お兄さんの名前はなんですか?」
ふ、と微笑んでから、
しゃがんでボクと目線を合わせた。
「…ソラ。にしよっかな。」
このお兄さんの名前は、
今後変わる予定でもあるのだろうか。
まあ、今気にすることではないか。
「ソラさん。」
「はぁい。」
にこにこと、柔らかな返事が返ってきた。
「…ソラさんは、
なんで僕を誘拐したのですか。」
ふと、ソラさんは真顔になった。
うっすらと見える瞳の黒さが 急激に
深くなったように感じ、 背筋がゾッとした。
「ふふ」
ああ、声と目が笑っていない。
なんなら口角すらも、ピクリともしていない。
「それはねぇ…」
顔を僕の方へと近づけ、
ソラさんの吐く息が
首筋のあたりでくすぶる。
「本来、
人にしちゃいけない事ってあるでしょ?」
息が、上がっている。
「暴力、辱め、レイプ。」
もうすっかり興奮して トロンとした瞳は
もはや何を見ているのかすら分からない。
「僕はね、
その中にある美しさを
見てみたいと
思ってしまったんだ 。」
君を使って