「おー!宮舘くん!久々やなぁー」
そう言って向井さんはにこにこ笑う。
「こんにちは。お久しぶりです。」
「こんにちは!今日も話していこうか。」
「…はい。」
「…?元気ないね?」
「…目黒さんとラウールさんからお話を聞きました。」
俺がそう言うと、向井さんは表情を無くした。それがとても怖くて思わず肩をビクッとさせると向井さんは慌てた様子でさっきまでの表情に戻った。
「ごめんな!怖がらせてもうたな。」
「いや、大丈夫、です。」
「…大丈夫ならええけど…そっかぁ聞いたか…」
「…」
「…じゃあ俺からは…まぁ、めめと似たようなもんやけどラウールの話を…って言いたいところなんやけど…」
「…?」
「今日は言わんでおくわ。俺と…多分やけどめめの過去も聞いたんやろ。聞くには重い話ばっかやからな。」
「…」
「っ、て!?宮舘くんどうした?」
「…え?何、が?」
「泣いてるやん!?辛いことあった?」
自分が泣いてる?まさかと思い頬に触れると指先が少し濡れた。
「…、すみませ、ん…泣く、つもりじゃ…」
「…もしかして…俺らの過去を聞いて、悲しくなったん?」
「…は、い…」
俺が泣きながら返事をすると、向井さんはとても驚いた。
「何でぇ!?宮舘くんが泣くことないやろ!?」
「だって、悲し、い…」
「…悲しい?」
「はい、俺、だったら、耐えられないからっ…3人は、強いな、って…」
「…」
「…辛かった…ですよね、俺に自分のこと、話すのも…勇気、いりましたよね…?…年下が何言ってんだって、なると思うんですけど…すごいな、って、苦しくて、っ…」
いつの間にか号泣しながら話す俺に向井さんはただただ驚いた様子だった。
「…俺らの話を聞いて泣く子なんて初めて見たわ。」
「…っ、うぁ…」
「…ありがとな。こんなに親身になってくれて。」
そう言って向井さんは俺の頭を撫でた。顔をあげると、向井さんも一筋の涙を零していた。
「向井さん、泣いて、る…」
「…ほんまや。あれから泣いたことなかったのになぁ…」
「…」
「…今日はカウンセリングしないでおく?」
「…したい、です。お話、したい…」
俺の初めての我儘にまた向井さんはびっくりして、でも嬉しそうに笑った。
「分かった。じゃあラウールとめめも呼ぼか。今日は宮舘くんで最後やし。」
「…はい。」
こうして目黒さんとラウールさんも来て4人で色んな話をした。過去の話もしたし、お互いの話もした。暫く話していると頭がズキっとなった。
「っ…いた…」
「舘さん?どうしました?」
「…なんでもないです。」
「嘘だぁーいたって言ったもん。」
「…」
「何?どっか痛いん?」
「……頭が痛いです。」
「あちゃ…熱あるかな…」
そう言って向井さんは俺のおでこに手を当てた。
「あー…ちょっとあるかもなぁ…今日はここでお終いにしようか。」
「…すみません。」
「いーの。もういい時間だし。ってかどうすんの帰り。」
「…歩いて帰るんで、大丈夫です。」
「何も大丈夫じゃないですよね?」
「うーん…俺たちの家くる?」
「…俺たちの家?」
「はい。…と言ってもこの病院の2階にあるんですけど。」
「…でも、申し訳ない…」
「大丈夫!この状態で1人にさせる方が申し訳ないし。」
「…じゃあお言葉に甘えさせていただきます。」
「うんうん。賢明な判断だね。」
「そういや明日は平日やけど、学校は?」
「…また友達に欠席連絡してもらいます。」
「了解。じゃあ行こか。」
こうして、俺は3人の家にお邪魔させてもらうことになった。
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