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なんて答えれば良いのだろうか。
「あ、あはは、は、は…」
「ふざけてるの?」
言われてしまった…。でも何を言えばいいのか分からないのだから仕方がない。
「まぁ、いいや。それに、君ほど性格悪くは無いだろうし。」
…は?何を言っているのだろう。この人は。
「…知らないの?噂になってるよ。塩野さん、昔いじめっ子だったんでしょ。」
え…。あたしがいじめっ子?誰がそんなこと。
「なん、で…」
意味が分からず先輩に訊ねてしまった。
「俺ら三年のフロアでも噂になってるよ。小学校の頃クラスメイトをいじめてたって。」
小学校の頃…?この学校に同じ小学校出身と言ったら1人しかいない。
「誰ですか?」
「は?」
「誰がそんなこと言ってたんですか!」
「そんな事言われても、知るわけないだろ」
そりゃそうだ。先輩に八つ当たりしても、何かいいことがあるわけない。
「…すみません。」
そう言って屋上から飛び出してしまった。
何故だろう。いじめ…。いじめ…。あたしがしていたって?いつもひとりで友達もいないあたしが?どうやったらそんな事に。
確かに、あたしの小学校ではいじめがあった。教師はみんな気づいていたし。同学年の人はみんな知っていた。でもいじめていたのはあたしじゃない。むしろ、いじめられていた本人だ。そして主犯は、この学校唯一の同小出身、小川 優莉奈だ。いつもあたしを除け者にして、あらゆるいじめを受けてきた。先生も、前まで仲の良かった友達も、誰もあたしを助けてはくれなかった。
噂の内容が知りたい。あたしがいじめいたとして、一体誰がいじめられているのだろう。でも、聞く相手なんて居ない。…仕方がない、先輩に聞くしかないのか。そう思って通ってきた廊下を戻ると、聞いたことのある、嫌な声が聞こえてきた。大人数の、いかにも陽キャラな声。男女大勢で笑う声。先頭の中心を歩いていたのは、優莉奈だった。気づかれたくない。誰にも見られたくない!そんなあたしの願いも遠く、今まで聞こえていた笑い声は消え、目の前で止まった。
「ちょっと!なんであんたがいんのよー!」
「お前って本当最悪だよな」
「優莉奈の気持ち考えろよ」
「なんとか言ったらどうなんだよ、ボッチ。」
と、さんざんな声が聞こえた。何故、あたしがそんなことを言われなくてはならないのだろう。優莉奈は一体どんな顔をしているだろう。チラリと見上げると、鳥肌が立ってしまった。周りの人が気づかないように下を向いた顔。この場にいる中で一番背の小さいあたしには見えてしてしまった。歪んだ満面の笑みが。なんて恐ろしいんだろう。高校でもあたしはいじめらてるのだろうか。
「ちょっと聞いてんの!?」
優莉奈の隣にいた派手な女子にグイッとネクタイを引かれ、髪の毛を掴まれた。キッと睨まれ、さらに強く掴まれる。
「痛っ…」
「何が痛いんだよ、そんなん優莉奈のに比べたら全然だろ?(笑)」
と、あたしよりはるかに背の高い男子に言われた。優莉奈に比べたら…?どう比べるのよ。っていうか、いつまでこのままにされるのだろう。
「離してくれる?それ」
このままにされる訳には行かず、思い切って言ってみた。でも聞くわけが無い。
「あんた何様?」
「あたしはあたしよ」
「はぁっ!?あんたいい加減にっ…」
「待ってっ!」
と、喧嘩を止める声が聞こえた。
「そんなことしたら可哀想だよ!」
どうして…。意味が、分からない。なんで優莉奈が!
「昔のことはもういいの!」
何、を、言っているのだろう。何故優莉奈が被害者のようにしているのだろう。まさか…。
「優莉奈が言ったんだ!そうでしょ!?あんたがあたしに虐められてたって言いふらしているのね!?」
掴まれたのを振りほどき優莉奈に向かって怒鳴った。
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