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海道うる
23
#死表現あり
(株)姫神V
494
俺は宇宙誕生から宇宙消滅までの時間にアクセスできるようになり、神中となった。俺は諦めない。 「あなたが神…」
巨大な玉座に座った神がそこにいた。俺は神に顔を見られないように仮面をつけ、フードを被った。
「お前が記念すべき3人目の神中だ。誠 浩。」
「何故あなたはマルチバースを嫌うのですか?」
「この虚記空間のサーバーが重くなるからだ。ただでさえ全生物の記録があるんだ。それが増えるなんて管理が行き届かない。」
そんなに話していいのか。
「あなたがいなければ俺の彼女も死なずにすんだ。」
俺は神を通り過ぎて「世界」の記録を見た。宇宙誕生。俺は興味本位で宇宙を見た。
生き物の気配がした。
「お前は誰だ。」
「私に名はない。」
気体が喋った。そして続けた。
「お前、体が炭素でできてるのか。」
「そうだが…」
「なぜ真空で生きれる?」
俺は少しふざけて言った。
「俺が神だからだ。」
そう言い残して、俺は宇宙の鬼門をくぐった。今のでわかった。魂だけを過去に戻す方法。これで肉体から離脱できる。
俺は俺の記録を呼んだ。
「…未来の俺が過去の俺の歴史改変をとめる…」
どんどんページをめくる。
もうすでに俺は全てを知ったつもりだ。俺は鬼門へ向かった。
俺と永遠を救う。
俺は魂を器から取り出した。
空は曇っている。
「…永遠…」
彼女がひかれる瞬間を見た。そして周りの野次馬に俺の魂を移し替えた。
過去を思い出す。
スマホの名前をコンポタージュに変えた。
高校生の頃の思い出に浸る。
俺は俺の記事を見た。カリオストリスの予言。
“その日の東京では溶岩ではなく冠水が起きる。”
俺はそう書いて、魂を抜き出した。
寝ていた。夢を見ていた。俺は直感から過去の誠 浩が俺に会いたがってることに気づいた。
彼の家の鬼門をくぐった。
「俺に会いたいのか。」
過去の俺はビクッと一瞬だけ痙攣した。
「う、うわぁー…」
「うるさい。叫ぶな。来い。」
「やだよ!ってかお前誰だよ!」
俺はコイツに俺の正体を教えるべきか?いや、無理だ。
「俺は未来人だ。だから、来い…」
俺は誠 浩の首根っこを掴んで引きずった。鬼門に向かって。
俺は虚記空間のドアを開けた。
「入れ。」
いつも通りの図書館。
俺は俺の記録を開いた。
「お前は何歳だ?日にちまで答えろ。」
「えーと、16年2ヶ月2日…」
記憶を探る。
「だったら623ページくらいか。」
俺は623ページを呼んだ。
過去に戻りたいと書いてある。
「お前は今過去に戻りたい、そうだろ?」
「……」
「俺はお前の気持ちがわかる。」
「あんたに何がわかるっていうんだよ。」
俺もお前と同じ、永遠を失った。
「まぁそう思うだろうな。」
俺は席に座り、浩を手招きした。
「で、過去に戻るか、戻らないか、どっちだ。」
「戻る。」
「わかった。過去に行くことの忠告をする。」
コイツは忠告を破る。
「歴史を改変してはいけない。」
俺は623ページに浩の魂を吸収させた。
「…コイツはまだ現世に肉体がないと移行できないのか。」
浩は寝てる。
魂が戻ってきた。そしてまた抜けて、また戻る。
127618回目。
やつは急に口を空けた。
「これが死か。」
まだ目を閉じてる。
「お前は死ねない。」
浩の魂を器に入れ戻した。
「説明してなかったな。」
完全に浩は目を覚ました。
「お前は過去に戻った身体では死ねない。過去を改変することと同様だからだ。それに永遠を救おうとまでか…」
「俺を殺してくれよ。」
「無理だ。」
「なんでだよ。」
「俺がお前を殺させない。それはお前が俺を殺したと同じことになる。」
「は?」
「とにかく、この『虚記空間』では絶対的な管理者、神がいる。彼は歴史が乱れるのを嫌う。髪の毛の1mm単位でな。」
俺も嫌だ。あんな神。
「虚記空間…?」
「この空間は虚記空間。現世ではアカシックレコードと呼ばれている。」
「アカシックレコード…記事にしたことある…」
「家の鬼門に体をぶつけろ。そうすればここへ来れる。」
そういったのが悪いがコイツは何度も永遠を救おうとする。やかましい。
「とにかく今のお前は疲れすぎている。元の時間に戻す。」
魂を元の時間軸に持っていった。
いや、帰ってくる。
「来るな。」
あいつの頭に直接語りかける。
「俺を殺すつもりか?」
「永遠を生かすつもりだ!」
この返しには驚きだ。
「神の逆鱗に触れるぞ。」
扉を空けた。
「来るなと言ったろ。」
浩はポケットからカッターナイフを取り出した。そして切りかかってきた。やかましい。
俺は浩が後にどんな動きをするにかも全て知っている。浩の胸ぐらを掴む。
「いい加減諦めろ。お前じゃ無理だ。」
俺の手を振りほどいてヤツは記録へと走っていった。
「お前のことは何でも知っている。」
何度こいつの相手すればいいんだよ。
俺は神の顔を知っている。だがヤツは俺の顔を知らない。
あいつも人間だ。記録があるはず。神の魂は現在、虚記空間にいない。
全ての人間の記録を見た。
神に一番近い人物。カリオストリスという男だ。中世ヨーロッパで預言者…
「くだらねぇ。」
俺はカリオストリスの記録をそっと戻した。神の魂が戻ってきている。
ただの人間…ただでかい玉座に座ってるだけ。
俺はひたすら虚記空間の技術を磨いた。そして、こっそり神中2人の記録を書き加えた。
「神は神ではない。神の人間の姿はカリオストリス。」
そして俺は浩に会いに行った。
「誠 浩。お前歴史を改変させると言って何も変わってないぞ。」
「え?」
「このままだとあの時みたいに永遠がトラックにひかれるぞ。」
コイツの記憶を全て思い出させる。
「あぁ…」
「変わらないならそれでいいが。」
「…変える。」
「お前、何も変わらなかった癖に何なんだ。一度でもあいつを助けたか?」
「…助けれなかった…」
「歴史は変わったか?どこが変わったんだ?」
「何も、変わらなかった…」
「俺も人間なんだ。いい加減にしてくれ。」
本当にいい加減にして欲しい。
浩の目は暗かった。覚悟は決まったようだ。
「誠 浩。覚悟ができたか。」
俺はそう言い、俺も事故現場に戻った。
そして、時を止めた。
浩は永遠と抱きしめ合っていた。永遠は驚いたような目で俺を見た。
「浩くん?」
俺はそっと仮面を外した。
「そんな簡単に気づかれるとは。永遠、あんたは歴史に沿って死ななければいけない。神のいたずらのせいでな。」
「許せない。何でこんなことになったの。」
俺は俺の記録をすべて永遠に読み込ませた。
「俺は諦めない。神を殺してお前をいつか生かせて見せる。そのために死んでくれ。」
「わかった。」
時を進める。
そして背を向け鬼門へと入っていった。
「これでようやく浩は諦める…」
「こっからが本当の浩だ。」
俺は仮面を外したまま、2人の神中を集めた。
「浩さん、あなたが神になるべきです。」
「やってやる。神殺しを。」
神中は神を囲んだ。
「世界を救わなければならない。」
「私を殺す、か。」
ヤツは肩を震わせながら大笑いしだした。
「全て私が書いたシナリオ通りだよ。さぁ私を殺せ!消せ!」
気味が悪い。
「最後に神からの一言…」
ヤツは2人の神中に抑えられている。
「俺が全て作った!この宇宙も、この虚記空間も、全てなぁ!俺が作った初めての生物は失敗作だった。形を作っても蒸発し、気体となった。知能があるが手も足もない。そう神はお前だ!誠 浩!やつらもそう認めた。それを俺も知っている!お前の大好きな、彼女の結末もぉ、俺が決めたぁ!」
俺はカリオストリスの記録を消去した。
「そう、俺が神だ。」
空は曇っていた。
「浩くんー。」
「おはよ!永遠!」
コメント
1件
「神中」という設定、すごく重厚でかっこいいですね…!未来の自分と過去の自分が対話する緊張感がたまらなかったです。特に「俺を♡♡♡つもりか?」「永遠を生かすつもりだ!」の掛け合いには鳥肌が立ちました。同じ人間なのに立場が違う、その切なさがじわじわきます。永遠を救うために何度も挑戦する執念、そして神への怒り――まだ2話目なのにこの奥行き、続きがすごく気になります。