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???「…………」???「よっ!あ・め・か!」
「雨花」は「化茶」に話しかけれた。今回の雨花の目はどこか遠いような近いような場所をみているようだった。
化茶「何かあったのかぁ〜〜!その目その表情……!絶望している……!!たまん”なぁい!アタイが食べちゃいたいくらいだ!」
雨花「それも良いかもね」
化茶「え?」
雨花「誰かに必要とされて死ねるなら少しは楽になれるかな」
化茶「…………ふぅ〜ん」
今の雨花は、「黒い彼岸花」って言われた頃のように絶望に打ちひしがれてる
何でそうなったか知らないが……
この雨花なら、普段よりもっと面白いことを言ってくれるかもしれない!
化茶「雨花!ちょっと付いてこい!」
雨花「は?嫌だ」
化茶「よし連れていきまーす」
雨花「あっちょ……!」
化茶は、雨花の手を取ると、コンセントに前に立ち、小さくなった。
雨花「どういうつもり?」
化茶「まぁみてれば分かるって!」
そして次の瞬間……
ビリリリ!
雨花「え」
化茶「さぁ光の世界へ!」
雨花と化茶は吸い込まれると、電線の中に入り、光の速度でどこかへと移動した。
雨花「…………っ!」
化茶「今からお前をある場所に案内するからな!」
雨花「あ、ある場所?」
そして……
化茶「はい着いた!」
雨花「ここってもしかして……」
「「無法地帯?」」
雨花たちがやってきたのは、元々妖怪たちがいた場所……「無法地帯」だった。
化茶「ここにはもうほとんど妖怪が居ない。でも、『トウヒガ学園』は妖怪と共存するため、「無法地帯」にも支援を送っている。だから電線が繋がってるんだ。地下を経由して。だからここにも簡単に入れる」
雨花「お前はどうして「無法地帯」に入るの?」
化茶「寝泊まりするためとか時間を潰すため。『トウヒガ学園』はそこらじゅうに妖怪がいる。だから派閥に一度も属したことがないアタイは、攻撃の対象になりやすい。だから、ここで寝泊まりするんだにゃ〜」
雨花「こんな寂しい場所で過ごしてるの?独りで?寂しくないの?」
化茶「アタイには親が居ないから元々行く場所もないし、だからといって他の妖怪とつるむのもアタイの性にあってないし、ここが一番丁度良いんだ!」
雨花「まぁあなたが良いならそれで良いけど……。…………」
しばらく沈黙が続くと……
雨花「ここ良いね。静かで。何もなくて。」
化茶「へへ!そうだろうそうだろう!そのまま堕落しろぉ〜くっくく」
雨花「…………」
雨花は「無法地帯」を歩く、建物に触れながら少しずつ少しずつ進んでいく。
辺りは音の欠片もなかった。
化茶は質問する。
化茶「何で人間は寂しいとか苦しいとかに固執するんだ?そんなもんに固執するから辛くなるんじゃないのか?」
雨花「そういうものに固執するから人間として成立できるんだよ。…………それすらも感じられなくなったらただの肉塊だよ」
化茶「ふーん。でもそういうものに固執した人間を幸せにできる人間もいるのか?」
化茶は単なる質問のつもりだった。でも……
雨花「わたしも聴きたい……」
化茶「!」
「「人に人を幸せにする力なんてあるの?」」
その瞬間、温度のない良い心地も悪い心地もしない本当に”何もない”絶望そのものが紡がれていた空間があった。雨花の目はいつもの何倍も「何も映っていない目」だった。
化茶「わぁぁぁ!!!!素敵だ!!その表情!その目!!それを待ってたんだ!!」
化茶は雨花の手を取ると、ぴょんぴょん飛び跳ねた。
雨花「………はぁ」
雨花は一つ溜め息を吐くと、言葉を繋げた。
雨花「力自体は幸せにできない。でも幸せにする力がないからこそ幸せにしたいと望むんだよ。力なんてなくたって、幸せにすることはできるから。幸せにするために何かしたいと望むその願いが真に幸せにしてくれる可能性のあるものなんだよ。だから幸せにするのに力なんていらないよ。……本来ならね」
雨花はどこか冷めてるような諦めてるような声色と言い方でこの言葉を言った。
化茶「……やっぱりお前は面白い奴だぁ!」
雨花の言う「人を幸せにしたいという願い」は、雨花にとってはあまりにも途方もない旅の話みたいなもんなんだろうな
化茶「くっくく。面白いにゃ〜」
雨花はしばらく無法地帯を歩くと、化茶と一緒に学園へ戻って行った。
雨花の目には、カラカラに渇いて何もなくなった闇が自身の鼓動ともに広がっていった。