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あれから歩き続け、気付けばケンの家の近くまで来ていた。
何でなんだろう・・・。
会いたくないから電話に出ないし、ケンが嫌なのに。
勝手に足がケンの家の方向に向かっていく。
嫌なのに、
浮気されたかもしれないのに、
何で?
何でなの??
・・・やっぱり好きだから?
ケンが好き―――
何されても好きなんだって気付いていく。
一歩一歩、ケンの家に近づくうちにわかっていく。
認めたくないけど、好きなんだ・・・。
歩いていたのが早歩きになり、ケンの家が見えてからは走った。
早く会いたい―――
家の前にはケンの車が停まっていた。
玄関をノックして
「おじゃまします」
と言い、ケンの部屋を目指す。
会いたい気持ちが募り、胸が苦しくなる。
そしてケンの部屋の前につき、ドアを開けようとした時・・・
『じゃあ、ケンも決めたんだな』
―――男の声が部屋の中から聞こえた。
たぶん、明さんの声。
絵里はドアを開けようとする手を止めた。
なんとなく、開けてはいけない気がする・・・。
部屋の中ではケンと明さんが話し続ける。
『決めました、やりますよ』
『わかった。じゃあ話進めるからな。』
『東京には卒業してからすぐ行きます。』
・・・東京? どうゆう事なの??
絵里には意味がわからなかった。
しかし、話を聞くうちに理解できてくる。
ケンはあと三ヶ月で東京へ行き、明さんと働くんだ・・・。 それは、絵里とは遠距離になるって事。
頭の中が真っ白になってゆく―――
何も考えられず、絵里はドアの前で呆然と立ち尽くした。