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とある日、ブラックはチョコレートケーキを買え、嬉しそうにしながら研究所へ戻ろうとした。
だが、
「・・・!スケルトン・・・?」
ふと、目線の先にスケルトンが。だが、スケルトンは本来白いはずの骨は暗く、瞳が無い目元が赤く光っていた。
(弓矢が飛んでくるでしょうが・・・逃げればなんとか・・・)
と、ブラックは逃げようと足に力を入れた。だが、次の途端、
“スケルトンが突っ込んできた”
「は?」
ドンッ
と音が響く。ケーキの入った箱が宙を舞い、地面に叩きつけられた。
ブラックはそのスケルトンの腕を首を締められるギリギリで受け止めた。
だが、力が強い。スケルトンは、普通は弓矢を使うのに、突っ込んでくるなんておかしい。今はこうやって抵抗しているが、目の前のスケルトンの力に今にも押し負けそうだ。
すると、スケルトンから
べチャ、べチャリ
と、黒い泥のようなものが。それが頬に落ちる。
その途端、激しい痛みが走る。
「ッ!?」
痛みに手が震えた。そして気がつく。このスケルトン、泥のようなものでコーティングされているようだと。
スケルトンの腕を掴んでいる手も酷い激痛と共に、感覚が無くなっていた。
段々力に押し負けて、万事休すかとブラックは固く目をつぶる。すると
「そのまま動かないで下さい!!」
その声に目を開けた。それと同時に、スケルトンの頭が吹っ飛んだ。そして、体はバランスを崩し、叩きつけられたブラックの横に倒れる。
手元を見ると、黒い泥が付いており、ジクジク痛む。そして、指先がまるで錆び付いているかのように動きずらさがあった。すると、
「大丈夫ですか?」
と、声が聞こえ、顔を上げた。そこには、自分と同じ顔をした、別世界の自分こと、アートルムが。どうやら、アートルムがあの骸骨に蹴りを食らわせたようだ。意外と体術も出来るようで、そこは少し自分と違う。
「え、ええ・・・ですが・・・これは一体・・・?」
「・・・ともかく、早くウィオラの元に行きましょう。ウィオラなら、その泥を取り除けますので」
と、ブラックはアートルムに連れられ、ウィオラの元へ駆けた。
✵✵✵✵✵
「ウィオラ!大変です!!」
そうアートルムがウィオラ達のいる教室へ飛び込んできた。
「どうしたどうしたってそれ!?“嘆きの泥”!?どうしてこの時代に!?」
「そんなことより早く取り除いてください!」
「分かった」
✵✵✵✵✵
ウィオラによって黒い泥を取り除かれ、ブラックは指をにぎる。まだぎこちなさはあるが、泥に汚染された時よりかは動く。
「・・・にしても、おかしいなぁ、この時代には“英雄”という存在がいるから、嘆きの泥の目撃情報は限りなく無いってこの本に書かれているよ」
「なんですかその本」
思わずウィオラがパラパラ本を捲りながらそう呟く。ブラックは思わずツッコミを入れた。
「・・・ところで、“嘆きの泥”とは?」
「ん?んーっと・・・神様が世界を蔓延る泥を追い払ったって御伽噺であるでしょ?その追い払う前の泥の名前が“嘆きの泥”それに触れれば草木は生えないし、人によっては酷い激痛や、動けなくなるんだ。人が“正”としたら泥は“負”。切っても切り離せない存在だ。軽く言うと、負のエネルギーの上位互換みたいなものだね。普通ならこの世界は発見された記憶が無いはずだけどなぁ・・・別世界だからかな?」
と、ウィオラは首を傾げた。それに、ふと、アクアが呟いた。
「・・・もしかして、僕らがここに来ちゃったから、おかしくなってるとか?」
その呟きに、皆シーンと静まる。パラパラめくっていたウィオラの手がピタリと止まった。
「可能性は高いね」
そう呟いた。
「本来、僕らは“あいまみえない存在”なんだ。それがこうやって出会うことで、何か不具合が生じてるのかも・・・悲しいかもしれないけれど、早めに帰らないとやばいかもね」
そのウィオラのつぶやきに、アクア達は頷いた。
すまない先生達は口出しはしなかった。いつか帰ると分かっていた。それが、すこし早まってしまっただけ。
すまない先生達は少し寂しさを感じつつも帰る手助けをすることとなった。