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彼女はその片手で持っているすまない先生をポイッとブラックたちに投げ飛ばした、
バナナが受け止め、レッドたちが駆け寄った。
「すまない先生!すまない先生!!」
「起きてください!すまない先生!」
ぺちぺち頬を軽く叩くも、すまない先生は目を開けない。それどころか、糸が切れた人形のように動かない。
「・・・すまない先生に何をしたんですか!!」
ブラックはそう怒りを露わにする。だが、目の前の彼女はそんな怒りを諸共せず、不思議そうに首を傾げた。
【何って・・・ただ“魂を抜き取った”だけよ?】
まるで平然と話す彼女に、銀さんたちはぞわりと背筋が凍る。
「・・・魂、ですか?」
【そ、まぁ、魂引き抜いたから、別にそれだけじゃ何ともならないわ、そこにいるのは単なる“抜け殻” 私は要らないから、貴方たちにあげるわ】
彼女はまるで興味を失せたように、そうこぼした。
「・・・なら、その魂も返してください!」
ブラックがそう叫ぶ。彼女は嫌そうに顔を歪めた。
【えー、せっかくこんな綺麗な魂久しぶりにゲットしたのに〜】
「いいから、返してください!!」
ブラックはケロッと答える彼女に苛立ち、電磁砲を構える、レッド達も武器を構えた。だが、
【はい、ざーんねん】
「!?」
彼女の手にはそれぞれの武器が握られ、それを目の前でバラバラ落とされる。
皆、自身の手元を見る。さっきまでしっかりもっていたのに、盗られたことすら気付かされずに奪われ、皆驚愕した。
【ダメよ?こんなおもちゃで私を殺そうとするなんて、ま、こんなので死ぬわけないけどね】
バラバラと彼女の前に落とされた武器は、彼女の影に呑まれ、影も形も無くなった。
次の瞬間、彼女の髪が膨れ上がり、ブラックたちに襲いかかる。
そして、ブラックたちの手足を絡め取り、拘束した。
「ぐっ・・・!!」
バナナが引きちぎろうと暴れると、強めに縛られ、呻き声をあげる。
【全く、なんともまぁ、野蛮な子達。本当にこの人の生徒さん?】
彼女はふわぁと欠伸をこぼしながら、目の前の光景をものともせず、平然と話していた。
【まぁ、いい暇つぶしにもなったし、返してあげてもいいわよ?でも、いいの?】
「・・・何がですか・・・」
【今、彼を戻してもいいのかってことよ】
彼女の言っていることが意味が分からず首を傾げる。
彼女は答えた。
【今、彼は“もしもの世界”を夢で見てるのよ】
「・・・もしもの、世界?」
【えぇ、例えばそうね・・・“あの時こっちを選んでいれば” “もし、あの選択をしたら”といったパラレルワールドのこと。今、彼は“両親が死ななくて、親友が死なない世界”のパラレルワールドの夢を見ているのよ。】
ブラックはその言葉に言葉を失った。
すまない先生は、両親、そして、親友を亡くした。と前にすまない先生の強さに興味を持ち、パソコンのデータから見た。
すまない先生は、その事を口にはしない。
母も、父も亡くしたブラックにとって、両親をすまない先生の当時の気持ちは、苦しいほど分かる。
それと加え、親友まで失った・・・
その両親が生きて、そして、親友まで生きている。
【ねぇ、大切な人を無くしたあなた達に問うわ】
彼女の声がじわじわ頭に染み渡る。
【今、彼は“誰も死ななかった世界”の夢を見てるの・・・貴方たちは、そんな彼を起こせる?】
──・・・彼女はそう笑った。それは“美しい”と思ったし、“恐ろしい”とも思った。