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ある日の夕暮れのこと。浜辺を歩いていた彼女の視界にある一人の男性が写った。最初はその男性が誰だか分からなかったが男性と通り過ぎる瞬間、はっとその男性のことを思い出したのだ。
その男性は、彼女の初恋の相手。
「あっ……あの。私のこと、覚えてますか」
彼女は咄嗟にそう言った。それに対して男性は
「うん……覚えてるよ。」
そう言って彼女を抱きしめた。
彼女はその懐かしい声と包囲力のある胸に包まれた時、彼女は泣きそうな顔をして『今までどこにいたの』と言った。
雨の世界の空に夜が広がった。ヨーロピアン風の街に夜が咲いた。
この街には夜も良く似合う。今彼女が住んでいる部屋の窓からそんな事を思っていたし、煉瓦造りの建物にランタンの灯りがとても幻想的だった。右の居住区見れば人の営みが映し出されとても落ち着く。そして左の繁華街見れば露店が建ち並び、普段の街よりもっと賑わっている。
そして、遠くを見て耳をすませば汽車のコトコトという音とともに汽笛が聞こえてきた。
「やっぱり、雨も良いかも」
そう彼女は呟いた。
彼とは何回かデートを重ねていた。
「どう?お腹空いた?何か食べようか」
そう彼が言った。
「あっ!ちょっと待って!」
そう彼女が言うと彼は『ん、なに?どうしたの』と言う。
「前から気になってたんだけどあのエリアってきちんと建物はあるのにあんまり人入って無いよね」
そう彼女が言った。
「入ってみようか……」
そう彼女が言った。
みんな入らないのは何か理由があるから、そんな事は知っていた。
そして、いざそのエリアに入った瞬間ーー
ゴーっと言う轟音と共に鳴り響く雷の音。そして土砂降りの雨。空を見れば真っ黒い雨雲に支配され、黒い人々がヨタヨタとこちらに向かって来ていた。
「君たち‼︎一体どこにいるんだ!ここは立ち入り禁止区域だぞ」
そうキャノルの声が聞こえ、黒い人々を見た瞬間、『これはやばい。私一人では手に負えない』と言いどこかに行ってしまった。
それからは雨の世界の人々の抵抗も虚しく、黒い人々に街を破壊され続けた。
人々の泣き声、呻き声、叫び、恐怖の声がどこに行っても聞こえてくる。
彼女もその一人で、ずっと泣き叫んでいた。
「いや‼︎もうやめて‼︎おねがい‼︎」
彼女の悲痛な叫びにも近い訴えは街を破壊している黒い人々には聞こえていないようで、ただただ今までの鬱憤を晴らすように街を破壊し尽くしていた。