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ゆり組 喧嘩

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ゆり組 喧嘩

30 - 第30話

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2025年10月16日

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あれから、どれくらいの時間が経っただろうか。

サービスエリアの隅で、二人はようやく涙が枯れたのか、静かに寄り添って座っていた。しかし、その距離は、先ほどまでとは比べ物にならないほど、近い。


「…で?俺がいないと、寂しいんだ?」


宮舘が、ニヤニヤしながら、からかうように言う。


「…るっさい…」


渡辺は、顔を真っ赤にしながら、宮舘の肩にこつんと頭を預けた。その手は、宮舘の服の裾を、ぎゅっと固く握りしめている。


「もう、どっか行かないで…」

「はいはい。どこにも行かないよ」

「ビジネスパートナーなんて言わないで…」

「わかってるよ」

「ぜったい、やくそくだからな…」


その、甘ったるい会話を、少し離れた場所に停めた車の中から、7人の男たちが、なんとも言えない表情で見守っていた。


そう。彼らは、二人を置き去りにしたわけではなかったのだ。ちゃんと、遠くから、固唾を飲んで見守っていたのである。


「…なぁ、俺たち、もう帰ってよくない?」


最初に、深澤がうんざりしたように言った。


「見てよあれ。俺たちの心配、全部無駄だったじゃん」


深澤が指差す先では、宮舘が渡辺の頭を撫で、渡辺が猫のようにそれに擦り寄っている。さっきまでの険悪な空気は、微塵も感じられない。


「うわー…しょっぴー、完全に赤ちゃん返りしとるやん…」


康二が、ドン引きした顔で呟く。


「でも、よかったじゃん!仲直りできたんだから!」


佐久間が、一人だけキラキラした目で言うが、


「いやさっくん、これは僕たちが求めていた感動の和解とは、少し違う気がする…」


ラウールが、冷静にツッコミを入れた。


「俺たちのあの涙の訴えは、一体なんだったんだろうな…」


阿部が、遠い目で呟く。


「…とりあえず、良かった。…良かったんだよな…?」


目黒でさえ、若干、自信なさげだ。


岩本はもう何も言うまいと、固く腕を組んで、天を仰いでいた。


「…おい誰か、あいつら回収してこいよ…」


深澤の疲れ果てた声が、車内に虚しく響き渡る。


しかし、誰一人として、あの甘ったるい空間に足を踏み入れる勇気のある者はいなかった。


Snow Manの、長くて、面倒で、そして最高に気まずい一日は、ようやく終わりを告げようとしていた。

だが、メンバーたちは知っている。明日からはきっと、今まで以上の「いちゃいちゃ地獄」が待っているということを…。


その日の夜、グループメールには、岩本からの一言だけが無慈悲に投稿された。


『今日の会議の経費、全部ゆり組に請求する』

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