あれから、どれくらいの時間が経っただろうか。
サービスエリアの隅で、二人はようやく涙が枯れたのか、静かに寄り添って座っていた。しかし、その距離は、先ほどまでとは比べ物にならないほど、近い。
「…で?俺がいないと、寂しいんだ?」
宮舘が、ニヤニヤしながら、からかうように言う。
「…るっさい…」
渡辺は、顔を真っ赤にしながら、宮舘の肩にこつんと頭を預けた。その手は、宮舘の服の裾を、ぎゅっと固く握りしめている。
「もう、どっか行かないで…」
「はいはい。どこにも行かないよ」
「ビジネスパートナーなんて言わないで…」
「わかってるよ」
「ぜったい、やくそくだからな…」
その、甘ったるい会話を、少し離れた場所に停めた車の中から、7人の男たちが、なんとも言えない表情で見守っていた。
そう。彼らは、二人を置き去りにしたわけではなかったのだ。ちゃんと、遠くから、固唾を飲んで見守っていたのである。
「…なぁ、俺たち、もう帰ってよくない?」
最初に、深澤がうんざりしたように言った。
「見てよあれ。俺たちの心配、全部無駄だったじゃん」
深澤が指差す先では、宮舘が渡辺の頭を撫で、渡辺が猫のようにそれに擦り寄っている。さっきまでの険悪な空気は、微塵も感じられない。
「うわー…しょっぴー、完全に赤ちゃん返りしとるやん…」
康二が、ドン引きした顔で呟く。
「でも、よかったじゃん!仲直りできたんだから!」
佐久間が、一人だけキラキラした目で言うが、
「いやさっくん、これは僕たちが求めていた感動の和解とは、少し違う気がする…」
ラウールが、冷静にツッコミを入れた。
「俺たちのあの涙の訴えは、一体なんだったんだろうな…」
阿部が、遠い目で呟く。
「…とりあえず、良かった。…良かったんだよな…?」
目黒でさえ、若干、自信なさげだ。
岩本はもう何も言うまいと、固く腕を組んで、天を仰いでいた。
「…おい誰か、あいつら回収してこいよ…」
深澤の疲れ果てた声が、車内に虚しく響き渡る。
しかし、誰一人として、あの甘ったるい空間に足を踏み入れる勇気のある者はいなかった。
Snow Manの、長くて、面倒で、そして最高に気まずい一日は、ようやく終わりを告げようとしていた。
だが、メンバーたちは知っている。明日からはきっと、今まで以上の「いちゃいちゃ地獄」が待っているということを…。
その日の夜、グループメールには、岩本からの一言だけが無慈悲に投稿された。
『今日の会議の経費、全部ゆり組に請求する』
コメント
23件

まってましたー!!!今回も神作品すぎて5周ぐらいよんでる!!!!疲れない程度に頑張ってください!!
この後の顔合わせの話とか出ますか!!?? 翔太が少しつんつんしながらも、舘様から、離れない感じとか出来ますか??😭 できなかったら、全然大丈夫ですっ!!
もう何周目かわかんないぐらい読んでるwww しかもこれ翔太が可愛すぎていつでもニヤけてる( ̄▽ ̄) なんか想像というか目の前に情景が広がるよねwww