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「…おどろくさん」
「凸さん、どうし…ってふらふらだよ!?」
凸さんの顔は赤くて今にも倒れそうだった。
「実は風邪引いたっぽくて…」
「大丈夫なの!?」
「いやちょっときつい…」
「じゃあ寝てて!」
「いやおどろくさんにお願いがあって…」
「お願い?」
「実は近くの大拠点に手紙を届けたいんだけど…俺はこんな状態だし、べるさんとしぇいどさんは今探索行ってるし、うたいさんは相変わらず部屋に籠もってるし…おどろくさんしか頼める人がいないんだよ。」
「いいよ!凸さんはゆっくり休んでて!」
「ありがとう、地図渡すから、赤い丸が書いてあるのが大拠点。水色の旗が目印」
「わかった!行ってくるね!」
私は手紙と地図を持って上着を着て外に出た。
「…大丈夫かな、ちゃんと着くといいけど…」
「うぅ…寒い…」
猛吹雪で目の前が見えない。
えっと地図…あれ黒丸も書いてある、別の大拠点かな?
………なんでこんなに気になってるんだろ…
でも今は目的地に行かないと…
水色の旗が目印…
………
いや猛吹雪のせいで全然前が見えない…
どうしよう…たどり着けるかな
『ガオオオオオオオ!!!!!!!』
「えっ何何!?」
巨大な白い狼が襲いかかってきた。
ま、魔獣…
恐怖で動けない。
目を強く瞑る。
………でもしばらくたっても何も起こらなかった。
おそるおそる目を開けると、白髪の少女と少年が魔獣のことを剣で斬っていた。
「ふう…お怪我はありませんか?」
「あ、はい…」
「よかった…あ、僕は北園あふぇりるです。」
「妹の北園瑠璃です。」
「マルベロスです。長いのでおどろくと呼んでください!」
「それでおどろくさん、おどろくさんはどうしてこんなところに?」
「私大拠点に用事があって…この地図の赤いところなんだけど」
「あ、それ僕たちが住んでるところですね。」
「大拠点まで案内しますよ。」
「いいの!?ありがとう!」
二人とも猛吹雪の中迷わず歩いてる…
「この猛吹雪の中で分かるんだ…」
「流石に自分たちが住んでるところですし、なんとなく感覚でわかるんですよ。」
「凄い…」
そんな話をしているうちに大拠点に着いた。
「あふぇさんと瑠璃さん!お帰りなさい。…あれ、その人は?」
「ニグさん、この人は…」
「マルベロスです。長いのでおどろくと呼んでください!」
「おどろくさんですね、俺の名前はニグです。…それで、おどろくさんはどうして大拠点に?」
「私、この大拠点に手紙を届けに来て…」
「手紙?」
あふぇさんに手紙を渡して、ニグさんと瑠璃さんが手紙を覗き込む。
…そういえば手紙の内容知らない。
なんて書いてあるんだろう?
手紙を覗き込む。
『……………今年は、』
その部分が見えた瞬間、あふぇさんが手紙を半分に折る。
「………なるほど、後で話し合いですかね。」
話し合い?
「おどろくさんありがとうございます。僕たちはやることが出来たので、ニグさんに拠点まで送ってもらってください。」
「あ、はい…」
ニグさんに送ってもらう途中、自分自身のことを話した。
「………なるほど、おどろくさんは記憶喪失なんですね。」
「うん…だからこの世界のことも詳しく知らなくて」
「うーん…俺は記憶喪失のことをよく知らないので…何か記憶を戻す力になれたら良かったんですけど。」
「まあ…いつかは記憶が戻ると思ってるよ。何かのきっかけで戻るかもしれないし!」
「…おどろくさんは前向きですね。」
「…?」
「俺たちは寒さで厳しい生活を強いられてます。気持ちが沈むこともありますけど、おどろくさんは前を向いて生きてる感じがして…」
「?うーん…自分でもよくわかんないなあ…」
「そうですか…あ、着きましたよ。」
「ニグさんありがとう!…ニグさん?」
ニグさんに話しかけても反応がない。
「…あ、すみません、少しぼーっとしてました。」
「大丈夫?」
「大丈夫です。…おどろくさんも寒さには気をつけてくださいね。」
「うん!バイバイ!」
ニグさんに手を振ると、ニグさんも手を振り返してくれた。
私は扉を開けて拠点に入る。
俺、ニグは拠点に入っていくおどろくさんの背中を見つめてた。
「………おどろくさん、いや、マルベロス…どこかで」
そう言いかけたところで、寒さを思い出す。
………帰るか