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山中 Side .
障子の隙間から入る光で、ゆっくり目が覚める。
「……ん」
ぼんやりしたまま動こうとして、すぐ気づいた。
――近い。
というか、ほぼくっついてる。
腕に抱き寄せられたまま、顔も距離ゼロ。
昨晩のままの体勢で寝てたらしい。
「……はやちゃん」
小さく呼ぶと、少しだけ眉が動く。
「んー……柔太朗?」
寝起きの声、ずるい。
「起きて」
「もうちょい」
むしろ抱きしめる力が強くなる。
「ちょ、離して」
「やだ」
即答。しかも目閉じたまま。
「朝だよ」
「知ってる」
「じゃあ起きて」
「柔太朗が離れたら起きる」
「……」
理不尽すぎる。
どうしようかと思っていた、その時。
――ガラッ
「おはよー……って」
襖が開いた音と同時に、固まる。
クラスメイト数人が、完全にフリーズしたこっちを見ていた。
「……え、ちょ」
「うわ、ガチじゃん」
「距離えぐ」
一気にざわつく。
「はやちゃん、起きて!!」
小声で焦るのに、隣はまだ半分寝てる。
「んー?なに……」
ゆっくり目を開けて、状況を理解した瞬間。
「あ、おはよ」
「おはよじゃない!!」
全然動じてないのが腹立つ。
「いやお前らさ」
クラスメイトの一人が笑いながら言う。
「同室でそれはもうアウトだろ」
「朝からいちゃつくなって」
「いちゃついてない!」
即否定。
でも腕はまだ外されてない。
「説得力ゼロ」
「離して」
やっと腕をほどいて距離を取る。
でもその瞬間、はやちゃんが小さく笑った。
「顔真っ赤」
「うるさい」
また周りが盛り上がる。
「はいはい、ごちそうさまでーす」
「修学旅行でこれ見せられるとはな」
「後で詳しく聞くからな」
好き勝手言われて、完全に詰み。
「……最悪」
小さく呟いたら、隣からさらっと一言。
「俺は最高だけど」
「黙って」
でもちょっとだけ、否定しきれないのが悔しい。
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ぶつかったって遠慮は無用だ