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秘密を連れた転校生こっちで最初から書くね…
こっちの事情でごめんね…
チャットノベルと少し変わってる所あるから見てって〜
―どこまでも澄んだ青空。だけど、ここは僕の知っている空じゃない。
「ここが……現代の世界、か。」
校門の前で立ち止まり、小さくつぶやく少年。
淡い青銀色の髪を、春の風がそっと揺らす。
その横に、落ち着いた声が寄り添った。
「チグサ様。緊張なさっていますか。」
黒髪をきちんと整え、朝の光を受ける黒いスーツ。
控えめに微笑むのは、執事のラオ。
「ここでは『様』は禁止って言ったよね、ラオ。」
ラオは一瞬だけ目を見開き――そして、ふっと小さく息を吐いた。
「……わかってるよ、チグサ。」
“チグサ”と自然に呼ばれたことが、ほんの少しだけくすぐったい。
「今の、わざとじゃないなら合格。」
「俺だって、すぐには慣れねぇよ。長年“様”って呼んできたんだからな。」
「……そうだよね。」
そんなやり取りをしていると――
「おーい!君たち、見ない顔だね!」
声がして振り向くと、明るい茶髪の少年がこちらに歩いてきた。
黄色のスニーカー。笑った時の目がやたらと人懐っこい。
「今日の転校生って、君ら?」
「あ……うん。僕、今日からこの学校に。」
「やっぱり!俺、あっきぃ!本名あるけど、みんなそう呼ぶし、君もそう呼んでいいよ!」
太陽みたいな声。春みたいな笑顔。
「で、君は?名前。」
「チグサ。チグサで大丈夫。」
「あっ、いい名前!なんか風っぽい感じする!」
ラオは控えめに微笑む。
だが、チグサにだけ向けられた声は――少しだけ柔らかい。
「チグサ、そろそろ行くぞ。遅れる。」
「あ、うん。」
あっきぃが目を丸くした。
「え、さっきと話し方違くない!?なんか仲良し感あったよね今!」
ラオはすっと表情を戻し、いつもの丁寧な口調に戻る。
「私はラオと申します。チグサの、同行人です。」
「あっ、やっぱすごい丁寧な人だ……でもチグサには普通なんだな!いいなそれ!」
チグサは苦笑しながら、春の匂いのする風の中を歩き始める。
――この世界の風は、少しだけ優しい。
おかえり~
これからもよろしくぅ!